中国の「爆速」vs 日本の「緻密」。AI時代の建設業で最後に笑うのはどっちだ?
ゴーレムに入社して1ヶ月半。毎週noteを更新していると、「次は何を書こうか」と頭を抱える日もあります。最先端のAIやDXの話題を追い続けるのも大切ですが、ふと立ち止まって「結局、私たちの本当の強みって何だっけ?」と考える今週です。
そんな時、ふと思い出したのは、私が前職で5年半過ごした中国での日々です。現地法人の立ち上げという、文字通り「ゼロからイチ」を作る現場で、私は日本と海外の決定的な「戦い方の違い」を叩き込まれました。
そして2026年の今、建設業界に押し寄せるAIの波を前にして、当時の経験を踏まえどう対応していくのがベストなのか、を少し考えてみました。
1. 中国で学んだ「属人性を排した仕組み」の正体
私は2012年から2017年まで上海に駐在していました。
今思えば、会社立ち上げ前に尖閣諸島問題が起き、当初のビジネスプランがほぼ白紙になり、ネームバリューもない中でビジネスを広げていくという大変な仕事でした。
一方で日本人同士は会社の枠を超えて、本当の意味での「戦友」として今でも仲良くさせてもらっています。とても意義深い5年半だったなぁと改めて感じています。
中国でのビジネスを振り返り、思ったこと。
中国のビジネススピードを支えていたのは、徹底した「割り切り」でした。
例えば、ドキュメントの品質。日本では完璧なパラメータシートを求められますが、中国では「基本設計の方針さえあれば、あとはログベースで追えればいい」と割り切る。また、会社へのロイヤリティについても、「2年でメンバーは一巡する」という現実を文化として受け入れていました。
ここで重要だったのは、「人が変わっても品質が落ちない仕組み作り」に全力を注ぐことです。 「個人の頑張り」ではなく「システム」に品質を担保させる。この冷徹なまでの仕組み化こそが、爆速の成長を支えるエンジンでした。今の日本の建設業界が抱える「属人化」という壁を壊すヒントが、ここにあります。

2. 「品質」の二面性:アジャイルか、精度か
「速い=雑」と捉えられがちですが、私は品質には二つの側面があると考えています。
満足度の品質(アジャイル): ユーザーの要望に即座に応え、マーケットにフィットさせる。新規事業やテックの世界では、この「速さ」こそが最大の品質です。
精度の品質(安定): 建物のように「止まらないこと」「狂わないこと」が求められる世界。ここは日本の独壇場です。
2026年、BIM確認申請が本格化している今、私たちが向き合うべきは「AIを使ってアジャイルに試行錯誤し、最後は日本流の精度で着地させる」というハイブリッドな戦い方です。
3. 私の使命:日本の「執念」を、世界標準の「システム」へ
私はゴーレムにおいて、あえて「テック側の代弁者」として動こうと決めています。
日本の建築業界は、これまで「品質」を何よりも重視し、世界一と言えるほど完成度の高いモノを作り上げてきました。その執念は、「日本の誇り」です。しかし、その執念を「手作業」や「個人の苦労」に閉じ込めておく時代は終わりました。
「描く」から「組む」への転換を加速させる 欧米の先進的なテックツールを活用し、日本の設計・見積プロセスを「製造業」に近い効率的なシステムへと変えていく。それが、日本の良さを次世代に繋ぐ唯一の道だと信じています。それには積算から施工まで一貫した構造化データが不可欠です。
「2年で人が変わる」前提のDXを 先週リサーチした「AutoReview」のような図面チェックの自動化も、人が変わっても、時代が変わっても、日本の高い品質を一定に保ち続けるための「仕組み」に他なりません。
翻訳者としての覚悟 テック界の「爆速」を、建設現場が信頼できる「精度」へと翻訳して届ける。私が中国と日本で見てきた両極端な景色は、この融合のためにあったのだと感じています。日本の精緻な技術と欧米の最新のテックを構造化データを武器に日本にフィットさせる、それが翻訳者としての役割だと自負しています。
おわりに:魂は「細部」に、効率は「仕組み」に
2026年の夏季休工試行 を控え、私たちはこれまで以上に「時間の密度」を問われています。「AIに仕事が奪われる」と怯えるのではなく、「AIという名の爆速の部下」を使いこなし、自分たちは「日本人にしかできない1mmの判断」に命を懸ける。それを全力でサポートしていきたいと思います。
「書くネタがない」と悩んでいたはずが、結局は自分の原体験に立ち返ることになりました。道具がどんなに進化しても、最後にそれを動かすのは「この業界をどうしたいか」という意志。
来週もまた、その意志を形にするためのインプットを、現場の皆さんに届けていきたいと思います。
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