給食費の手数料と、集めて終わる子育てセミナー
2022年10月27日。
あさから、むすこの小学校の準備で走り回る一日でした。
来年から小学生になる6さいのむすこのために、午前中は児童館の申し込み面談。
お昼からは、小学校へ移動して就学前の検診を受けさせました。
はじめて入る小学校の校舎は、どこか懐かしく、そして少し冷たい空気が漂っていました。
検診の合間、親たちに向けて給食費の引き落とし手続きの説明がありました。
これまでは集金袋にいれて手渡ししていたものを、引き落としに変更するとのことです。
しかし、その説明をききながら、妻は手元の書類を二度見しました。
児童手当の受け取りなどで、だれもが持っているはずの主要な銀行口座は使えません。
給食費の引き落としのためだけに、わざわざ地元のJA(農協)の口座をあたらしくつくるよう指示されたのです。
しかも、引き落としのたびに毎月手数料がかかると書かれていました。
「こどもにかかる費用の補助金が出ます、と説明された直後に、指定口座の開設と手数料を求められる」
妻は、手元の用紙をファイルにしまいながら、ぼくに言いました。
「なんだか、すごく矛盾しているとおもう」
そのあと、就学前の親をあつめた「子育ての不安解消セミナー」というものが始まりました。
となりに座っていたお母さんが、妻に小さく囁きました。
「4年前、上の子のときとまったく同じことをやっているよ」
セミナーでは、親たちがそれぞれの不安をポストイットに書いて提出しました。
「ともだちとうまく関われるか」
「家族以外の大人と接する機会がすくない」
提出されたポストイットは、ただ壇上で読み上げられるだけでした。
具体的な解決策をだすわけでもなく、これまでの集計をもとにしたアドバイスもありません。
ただ不安をあつめて、読み上げて、終わり。
妻は、その様子を静かに見つめていました。
「問題を取り上げるだけで、どうやってよくしていくかという改善に、だれも頭をつかっていない」
かえり道、むすこの手をひきながら、妻は言いました。
「これじゃあ、ただの自己満足じゃないかな」
学校のシステムそのものを、ぼくたちが変えることは難しいかもしれません。
それでも、妻は別のことを考えていました。
親がはたらいていて、放課後をすごす児童館のこどもたちのことです。
「アートを通して、児童館で何かボランティアができないかな。市にきいてみようとおもう」
むすこが、足元のどんぐりを見つけて嬉しそうにしゃがみ込みました。
昭和のまま止まっている仕組みのなかで、つまはすでに次のうごきを見据えていました。
凡人夫の備忘録。アーティスト妻の歩み
地方の無名アーティストの妻が、東京に挑戦するまでの話。
シーズン1から、全部読めます。
独立して、迷って、それでも描く。
正解のない日々を歩くシーズン2はこちら。
生活と、創作。
泥臭い日々の記録、最新のシーズン3はこちら。
初めての個展を経て、外の世界と繋がり、
泥臭く価値を証明していくシーズン4(共鳴編)はこちら。
自己表現を確立し、他者と深く繋がっていく、
最新のシーズン5(対話と確立編)はこちら。
アーティストHannaの現在
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