スモールスタートと、やりながら考える行動の力
2022年12月8日。
冬にしては暖かい青空が広がっていました。
ぼくが仕事へ向かう途中、妻と2さいのむすめが手を繋いで歩いている姿を見かけました。
運動不足を解消するために、今日は歩いて保育園まで送っていくのだと言っていました。
アトリエに戻った妻は、机のうえに広げた真っ白なノートにペンを走らせていました。
タイムマネジメントのために購入した少し高価な手帳は、細かく時間枠が区切られているのが窮屈だったようで、すでにお蔵入りになっていました。
「わたしには、普通の白いノートが合っているみたい」
そう言って、妻は一日の作業スケジュールを自由に書き込んでいました。
午前中で終わるはずだったオーダー品のデザイン提案が午後にずれ込むなど、時間の管理に頭を悩ませていたようです。
今週末には、2件の作品の納品を控えていました。
「大人になってからの学びは、まずやってみることだよね」
お昼休み、妻とコーヒーを飲みながらそんな話をしました。
ビジネスの本を読んだり、セミナーに通ってから準備をするのではなく、まずは手元にある作品をアプリに出品してみる。
そこで出た結果を見て、足りないものをあとから学べばいい。
「頭で考える前に、スモールスタートで始めるのがいちばん近道だと思うの」
妻のその言葉には、実体験がこもっていました。
6年前にむすこを出産した当時、ぼくの帰りは毎日遅く、妻は家で一人、初めての育児に追われていました。
車の運転もできず、社会から取り残されたような閉塞感のなかで、妻は粘土をこねて作品を作っていました。
それがストレスの発散であり、外の世界との唯一の繋がりでした。
じぶんたちの結婚式のために手作りしたウェルカムボードが、式場のプランナーの目に留まり、新しいオーダーに繋がったこともありました。
どこでじぶんの得意が誰かと結びつくかは分かりません。
「とにかく、やりながら考えるしかないね」
妻はノートを閉じ、アトリエの暖房の温度をすこし上げました。
アトリエの窓から差し込む冬の光のなかで、妻は新しいキャンバスに向き合っていました。
凡人夫の備忘録。アーティスト妻の歩み
地方の無名アーティストの妻が、東京に挑戦するまでの話。
シーズン1から、全部読めます。
独立して、迷って、それでも描く。
正解のない日々を歩くシーズン2はこちら。
生活と、創作。
泥臭い日々の記録、最新のシーズン3はこちら。
初めての個展を経て、外の世界と繋がり、
泥臭く価値を証明していくシーズン4(共鳴編)はこちら。
自己表現を確立し、他者と深く繋がっていく、
最新のシーズン5(対話と確立編)はこちら。
アーティストHannaの現在
妻の作品はコチラで見れます。
https://www.instagram.com/hanna.iwanuma
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