自分が受け取った歪みを、次の世代に手渡さないために
2022年10月31日。
月曜日の朝、いつもより遅い時間に家を出ました。
週末のイベントを終えたあと、むすめが熱を出したのです。
お昼前に病院へ連れていき、風邪という診断を受けて帰ってきました。
しばらくは家で安静に過ごすことになり、妻はアトリエの机で、静かにアイデアを書き留めていました。
土曜日の「オータムフェスタ」は、入場制限がかかるほどの大盛況でした。
ぼくも出店の手伝いに入りましたが、息つく暇もないほどの忙しさでした。
妻は「いてくれて本当に助かった」と、何度も言ってくれました。
しかし、妻の頭のなかには、別のモヤモヤが残っていました。
先日、小学校の健診で感じた、理不尽な給食費の引き落としこうざの件です。
個人の力ではどうにもできない昭和のルールに、妻は静かに憤っていました。
妻は、よく聴いている音声番組で、男性パーソナリティに、スマートフォンの画面からしつもんを投げかけました。
「どうしようもない古い制度に直面したとき、どうしますか」
その日の夜、その番組で妻のしつもんが取り上げられました。
「個人の力で戦っても動かせないときは、仲間を引きつけることを考えてみてはどうか」
番組の声をききながら、妻は小さく頷いていました。
一人で怒りをぶつけても、制度は変わりません。
なにより、これから学校に通うのは子ども自身です。
「出る杭」になって打たれてしまうのは避けなければなりません。
それでも、おかしいとおもう違和感をそのままにしておけば、次の世代の親たちが同じ理不尽を繰り返すだけになります。
「おなじように、おかしいなとおもっている保護者のなかまを見つけるのがいいのかも」
妻は、おでこに冷却シートを貼って眠るむすめの髪をなでながら言いました。
「みんなで、こういう対案はどうですか、と少しずつ声をあげていく」
田舎の古い習慣や、面倒な地域のきまりごと。
それらをただ批判するのではなく、次の世代が生きやすいように、頭をつかって形を変えていくこと。
静かになった寝室で、むすめの寝息だけが規則正しく響いていました。
妻はノートを閉じ、冷たくなったコーヒーを一口すすりました。
凡人夫の備忘録。アーティスト妻の歩み
地方の無名アーティストの妻が、東京に挑戦するまでの話。
シーズン1から、全部読めます。
独立して、迷って、それでも描く。
正解のない日々を歩くシーズン2はこちら。
生活と、創作。
泥臭い日々の記録、最新のシーズン3はこちら。
初めての個展を経て、外の世界と繋がり、
泥臭く価値を証明していくシーズン4(共鳴編)はこちら。
自己表現を確立し、他者と深く繋がっていく、
最新のシーズン5(対話と確立編)はこちら。
アーティストHannaの現在
妻の作品はコチラで見れます。
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