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作品より、作るプロセス。その仮定に宿るもの

2022年9月17日。

土曜日の早朝、

息子が隣でスイッチをやっていました。

その横で、

妻は収録のボタンを押していました。

前の夜は、

深夜2時に息子がおねしょをして目が覚めて、

そのままYouTubeを開いて、

あるファッションデザイナーの対談を

朝まで見ていたそうです。

「港川明さんっていうデザイナーを初めて知ったんだけど、

話し口調がすごく好きだった」

そう教えてくれました。


その対談の中で、印象に残った言葉があったと言います。

「作品自体に価値があるというよりも、

そのプロセスに価値がある」

デザイナーがそう言っていた、と。


妻はその言葉を聞いて、

「それ、わかる」と思ったそうです。

美術館で絵を見る時も、

どんな技法か、どんなタッチかも気になるけれど、

最終的には

「なぜこれを描いたのか」

「この人はどんな気持ちでこれを作ったのか」

が気になる。

そこに触れた時に初めて、

「欲しい」と思えると言っていました。


「うちの旦那が今、NFTのイベントをやっていてね」

妻が僕の活動について話してくれました。

仲間たちと毎夜、

こうでもない、ああでもないとミーティングをして、

ゲストを呼んでどうするか、

サプライズはどうするかを話し合っている姿を

横で見ていたそうです。

「文化祭の準備みたいで、本当にいいな、と思って見ていた」


「出来上がったものが全てじゃない。

そこに至るまでの仮定、

関わった人、

そこで生まれた会話や感情。

そういうものが、最終的に残る」

妻はそう言っていました。


個展の準備が続いていました。

個展が目標なのではなく、

個展を通じて知ってもらった人に、

どうやって自分の思いを受け取ってもらえるか。

それを考えながら、

毎日絵を描いていました。

息子が隣でヨーグルトを食べていました。

カチャカチャという音が、

収録の中に混ざっていました。


凡人夫の備忘録。天才妻の歩み

地方の無名アーティストの妻が、東京に挑戦するまでの話。
シーズン1から、全部読めます。

独立して、迷って、それでも描く。
正解のない日々を歩くシーズン2はこちら。

生活と、創作。
泥臭い日々の記録、最新のシーズン3はこちら。



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