カブトムシの命と、誤魔化さない性教育の話
2022年9月19日。
祝日の月曜日。
夏の終わりに神社で買ってきた、
ペアのカブトムシ。
オスはねぶた祭りが終わる頃に死んでしまい、
残されたメスもいよいよ弱っていました。
朝、虫かごを覗くと、
メスはひっくり返ったまま、
起き上がる体力すら残っていませんでした。
「ああ、もうダメかもしれないな」
そう思って見つめていた時、
彼女のお腹の下に、
白く小さな丸いものを見つけました。
2つの卵でした。
本来なら土の奥深くに潜って産卵するはずなのに、
彼女にはもう土を掘り返す気力すら残っていなかったのです。
最後の命を振り絞って、
土の上に直接産み落とされた小さな白い奇跡。
その姿を子どもたちと一緒に見つめながら、
「命を繋ぐ」というリアルな営みに、
僕は静かに胸を打たれていました。
「命の繋がり」を目の当たりにしたからでしょうか。
我が家のお風呂場では、
子どもたちからストレートな質問が飛んでくることがあります。
5歳と2歳の子どもたちと一緒にお風呂に入っているのですが、
そこでこんなことを聞かれるのです。
「なんでパパとママで、体が違うの?」
「ママから血が出てるけど、大丈夫?」
親としては、一瞬ギョッとするような質問かもしれません。
適当にはぐらかしたり、
照れ隠しで誤魔化したりして
逃げたくなる大人は多いと思います。
でも妻は誤魔化しません。
「あのね、ママのお腹の中には、
赤ちゃんのためのベッドがあるんだよ」
シャワーの音に負けないよう、
でも優しい声で妻は続けます。
「毎月毎月、そのベッドをきれいに整えるために、
古いベッドを壊して血と一緒にお外に出してるの。
そして、また新しいベッドを作るんだよ。
赤ちゃんが来たときに、一番きれいなベッドで寝られるように準備しているんだよ」
はぐらかさず、真剣に答える。
子どもたちは不思議そうな顔をしながらも、
自分たちの命がそうやって
大切に準備された「ベッド」からやってきたのだということを、
なんとなく理解しているようでした。
性教育というと、
なんだか身構えてしまうかもしれません。
でも、それは単なる「知識の伝達」ではなく、
「自分の体と命を大切にする」ための
自己肯定感を育むことだと僕は思っています。
「水着で隠れる場所は、誰にも見せちゃいけないよ。
大切な場所だからね」
そんな境界線の教育も、
日頃から嘘のない対話があるからこそ、
子どもたちの心に真っ直ぐに届きます。
「何を聞いても、パパとママはちゃんと答えてくれる」
その絶対的な信頼関係こそが、
彼らが大きくなった時に、
自分自身を守る最大の武器になると思うのです。
アートも子育ても同じです。
大切なものほど、照れずに、誤魔化さずに、
まっすぐ向き合う姿勢が必要なのだと、
教えられました。
小さな虫の命が教えてくれた、
親と子の対話の形。
今夜もまた、お風呂場での子どもたちの「なぜ?」に、
誤魔化さずに向き合っていきます。
凡人夫の備忘録。アーティスト妻の歩み
地方の無名アーティストの妻が、東京に挑戦するまでの話。
シーズン1から、全部読めます。
独立して、迷って、それでも描く。
正解のない日々を歩くシーズン2はこちら。
生活と、創作。
泥臭い日々の記録、最新のシーズン3はこちら。
初めての個展を経て、外の世界と繋がり、
泥臭く価値を証明していくシーズン4(共鳴編)はこちら。
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