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カレンダーをめくる手が、老いの予感に震える

2022年9月7日。

娘が熱から回復した翌日、
二人でショッピングモールに行きました。

「お兄ちゃんに会いたい、会いたい」と
ずっとくずっていたので、
気分転換に連れ出しました。

娘が欲しがっていたおままごとキッチンを
買いました。

家に帰ったら、
満足した顔でさっそく遊び始めました。


介護の仕事を10年していた妻には、
人の感情や考えてることに
少し早く気づくがあります。

元々の性格もありますが、
人の「最後」を
何度も見てきたからかもしれません。

施設の夜間勤務中に亡くなった方。

ご家族が病室で看取る場面に立ち会った時。

利用者さんが少しずつ弱っていく様子を
日々の介護の中で見続けてきた。


そのことを思い返しながら、
妻は言いました。

「私たちもいつかそうなるんだよね」

カレンダーをめくる手が、
少し震えるような感覚がある、と。


家の話をしていた時期がありました。

「古民家をリノベーションして住みたい」

と、二人で話し合っていたことがあります。

建築会社との打ち合わせまで進んで、
プランもほぼ決まった頃に、
妻が「やめたい」と言いました。

「何のためにお金を稼ぐのか、
わからなくなってきた」と。

家のためにローンを組んで、
そのために働き続ける人生は嫌だ、と。


今住んでいる家は、
中古で手に入れたものです。

以前のアパートより安い月々の支払いで、
僕一人の収入でも回せる設定にしました。

おかげで妻は、
「最悪、私が働かなくてもいい」という
余白を持つことができた。

その余白が、今の創作活動を支えています。


「子供たちに、どんな後ろ姿を見せるか」

妻が時々そう言います。

仕事にトボトボ行って、
疲れた、とだけ言って帰ってくる親よりも。

今日はこんなことがあって楽しかった、
と話せる親でいたい。

介護の現場で
人生の終わりを何度も見てきた彼女は、
「今」をどう生きるかを、
体で知っています。

続く。


凡人夫の備忘録。天才妻の歩み

地方の無名アーティストの妻が、東京に挑戦するまでの話。
シーズン1から、全部読めます。

独立して、迷って、それでも描く。
正解のない日々を歩くシーズン2はこちら。

生活と、創作。
泥臭い日々の記録、最新のシーズン3はこちら。



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