インプットとアウトプットが同時に進む、贅沢な時間
2022年11月23日。
夜、ぼくが仕事から帰ると、玄関に見たことないリースが飾られていました。
妻が、昨日参加したというワークショップで作ったものです。
リビングに入ると、妻は少し疲れた顔で、雨の窓を見つめていました。
今日は一日中、はげしい雨が降っていました。
ぼくが仕事に出ているあいだ、妻は2さいのむすめと、6さいのむすこと家で過ごしていました。
雨の日の家の中は、どうしてもこどもたちがグズグズとしてしまいます。
妻は、こんな日のためにスライムを用意していました。
お盆のうえで遊ぶ、という約束。
のはずが、そうはならない。
こどもたちはすぐにそれを無視して、床のうえでスライムをこね始めました。
「ルールを守らないなら、もう遊べないよ」
妻は、おもわず強い声でおこってしまったそうです。
実家のおばあちゃんなら、床を汚されても怒らずに静かに見守るのに。
じぶんは鬼のような母親だな、と妻は落ち込んでいました。
イライラがたまって限界になり、妻は夜の雨のなか、こどもたちを車に乗せてドライブに出かけたと言いました。
助手席に妻、後ろの席でこどもたちにお菓子を食べさせながら、ただ雨の暗い道を走る時間。
そうして、少しだけ気分が変わった妻は、昨日のワークショップのことを思いだしました。
ドラァグクイーンであり、建築家でもあるヴィヴィアン佐藤さん。
ヘッドドレスの制作で有名なその人のワークショップは、妻にとって少し背伸びした金額でした。
それでも、参加した価値は十分にありました。
妻が選んだのは、リースの制作でした。
できあがったリースを玄関のドアにかけると、家の空気がすこし変わったように見えました。
「インプットとアウトプットが、いっしょに進む感じがしたの」
リースを作りながら、他の参加者と話をすること。
東京でドキュメンタリーを撮っている人や、フラメンコを習っている人。
ふだんの生活では出会わない人たちの言葉を聞くことは、妻にとって大きなインプットでした。
同時に、じぶんがどんな活動をしているかを語る、アウトプットの場でもありました。
妻は、来年の春にじぶんのワークショップを開きたいと考えています。
木材に大切な人のための誕生花を描く、カラーセラピーを取り入れた時間。
筆だけでなく、手や身の回りにある道具を使って、色を重ねていく試み。
ヴィヴィアンさんのワークショップは、午後2時から夜の8時まで続きました。
4時間の制作のあと、2時間はみんなでテーブルを囲んで食事をしながら語り合う時間でした。
「ごはんを食べながら話すの、すごくよかった。わたしのワークショップでも取り入れたいな」
妻の目は、さっきまでの疲れを忘れたように、すこしだけ輝いていました。
凡人夫の備忘録。アーティスト妻の歩み
地方の無名アーティストの妻が、東京に挑戦するまでの話。
シーズン1から、全部読めます。
独立して、迷って、それでも描く。
正解のない日々を歩くシーズン2はこちら。
生活と、創作。
泥臭い日々の記録、最新のシーズン3はこちら。
初めての個展を経て、外の世界と繋がり、
泥臭く価値を証明していくシーズン4(共鳴編)はこちら。
自己表現を確立し、他者と深く繋がっていく、
最新のシーズン5(対話と確立編)はこちら。
アーティストHannaの現在
妻の作品はコチラで見れます。
https://www.instagram.com/hanna.iwanuma
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