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逃げ出したいほどの不安は、本気で生きてきた「証」だ

2022年10月3日。

夜10時30分。

妻は子どもたちを寝かしつけた後、

静寂に包まれたウッドデッキに一人で座って言いました。


いよいよ明日。

妻のHannaの、初めての個展が始まります。

スマホのマイクに向かって、

個展前の「決起集会」のように

かっこいい意気込みを語ろうと思ったのですが。

いざ声に出してみると、

口をついて出たのは全く別の言葉でした。


「誰も来なかったらどうしよう」

「失敗したらどうしよう」

「逃げ出したい……」

準備に準備を重ねてきたはずなのに。

いざ「本番」として人の目に晒され、

評価される瞬間が来ると思うと、

心臓が壊れそうなほどの恐怖で波打っているのです。


キレの悪い言葉しか出てこない自分に苦笑いしながら、

圧倒的なプレッシャーと対峙する夜。

でも、ふと気づいたことがあります。

こんなにも逃げ出したいほどの不安に襲われるのは、

妻が、自分のすべてを懸けて

真剣にこの個展に向き合ってきたからこそなのだと。


もし、中途半端な気持ちで準備したことなら、

失敗した時の言い訳も用意できるし、

ここまで怖くはならないはずです。

この胸の激しい鼓動(ドキドキトゥナイト)は、

「逃げたい恐怖」なんかじゃありません。

次のステージへ上がるための、

「武者震い」なのだと再解釈しました。


大きな挑戦の前にやってくる不安を、

「ネガティブなもの」として消し去ろうとする必要はない。

怖いものは怖いと認め、

その震える足のまま、一歩を踏み出すこと。

そこにこそ、

人間の本当の強さと美しさがあると思うのです。


アートも人生も、

ギリギリの恐怖の中でこそ、最も輝きを放つ。

震えごと抱きしめて、

明日、胸を張って笑顔で初日の扉を開けたいと思います。

妻の、本当の挑戦が始まります。


凡人夫の備忘録。アーティスト妻の歩み

地方の無名アーティストの妻が、東京に挑戦するまでの話。
シーズン1から、全部読めます。

独立して、迷って、それでも描く。
正解のない日々を歩くシーズン2はこちら。

生活と、創作。
泥臭い日々の記録、最新のシーズン3はこちら。

初めての個展を経て、外の世界と繋がり、
泥臭く価値を証明していくシーズン4(共鳴編)はこちら。



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