暮らして初めて見える函館の素顔――移住者が語るリアルな魅力と課題
函館への道:nostalgiaが導いた人生の転換点
「観光地としての函館は知っているけれど、実際に暮らすとなるとどうなんだろう?」 移住前の私は、そんな疑問を抱いていました。
2022年、東京から函館へ移住。人生の後半にさしかかったタイミングで、大きな決断をしました。 きっかけは、若い頃の記憶です。1992年からの2年間、私は第一生命函館支社で勤務していました。その時に出会った街の風景、人の温かさ、穏やかな時間の流れ――そのすべてが、私の心に深く刻まれたのです。以来、ほぼ毎年のように函館を訪れ、いつかここで暮らしたいという思いを募らせていました。
函館の魅力:自然と都市機能の絶妙なハーモニー
そして移住して実感したのは、「観光では見えない函館の魅力と課題」が確かにあるということ。
なんといっても自然と都市機能のバランスが絶妙です。 海と山に囲まれ、わずか10分も車を走らせれば、絶景や静けさに出会える一方で、街中にはスーパーや病院も揃っており、生活に不便はありません。朝市では新鮮な海産物が並び、四季折々の風景も格別。特に春の五稜郭の桜や、秋の立待岬からの夕景は、何度見ても心を奪われます。
地元の人々の距離感も魅力的です。 親切だけど干渉しすぎない、ちょうどいい距離。 地域行事や商店街のイベントに参加してみると、人と人とのつながりが自然に育っていくのを感じます。

移住生活の現実:直面する課題と向き合う知恵
ただし、課題もあります。一つは、冬の厳しさ。 北海道のなかでも、比較的降雪量は少ないとはいえ、雪かきの大変さ、冷え込みの強さ、そして日照時間の短さは、慣れるまで心身に堪えます。特に高齢の方や車を使わない生活を考えている人にとっては、事前の対策が必要でしょう。

もう一つは「仕事」と「交通」の問題です。 首都圏に比べると求人の幅が狭く、専門職や中高年層向けの職は少なめ。フリーランスやテレワークなど、自ら働き方を構築できる人にとっては快適ですが、安定した雇用を求める人にはやや厳しい側面も。 また、市内の公共交通はバスや市電が中心で、本数や路線の制約を感じる場面もあります。特に郊外に住むと、車がないと不便さを感じることも少なくありません。
函館で見つけた、本当の豊かさとは
それでも――私は函館に移住して良かったと、心から思っています。この街には、「時間に追われず、自分のペースで暮らす」という豊かさがあります。 人との関わりの中にある温かさ、自然に囲まれた暮らし、そして何より「自分らしくいられる」安心感。 東京では得られなかった感覚です。

移住は、夢だけを見て決断するものではありません。 でも、夢と現実の両方を見つめながら、「自分に合った暮らし方」を選べる時代に、函館という選択肢は確かに輝いています。
もしあなたが、今の生活にどこか違和感を覚えているなら―― 一度、函館を"暮らす目線"で訪れてみてください。 観光では見えない、街の素顔がきっと見えてくるはずです。
