経審のY点を改めて見直す|財務指標の整え方
「W点が変わるなら、Y点は気にしなくていいのでは?」
W点改正の話をしたあと、社長からこういう質問を受けることがあります。
結論から言うと、W点改正後は、Y点をこれまで以上に意識する必要があります。
W点改正で「会社の姿勢」が点数になる方向に変わっても、Y点が示す「経営の実態」がベースにあることに変わりはありません。
むしろ、改正後はY点の意味合いが変わってきます。
今回は、改正後の視点で経審のY点を改めて見直します。
✅ 結論:W点改正後は、Y点をこれまで以上に意識する必要がある。Y点は「経営の通信簿」だから
📌 ① Y点とは何か(簡単におさらい)
Y点は経審の経営状況を示す点数で、P点全体の20%を占めます。
8つの財務指標で構成されています。
純支払利息比率/負債回転期間(安全性)
総資本売上総利益率/売上高経常利益率(収益性)
自己資本比率/自己資本対固定資産比率(財務健全性)
営業キャッシュフロー/利益剰余金(絶対的力量)
これらはすべて、決算書の数字から計算されます。
つまりY点は、「経営の実態を数字で見せる点数」です。
📌 ② なぜ改正後、Y点をこれまで以上に意識する必要があるのか
これまでの経審は、X1(完成工事高)、X2(経営規模)、Z(技術力)、W(社会性)、Y(経営状況)の多角的な評価でした。
W点改正で社会保険加入が外れ、自主宣言制度などが入ることで、「会社の姿勢」が点数になります。
ただ、姿勢だけでは事業は続きません。 姿勢を裏付ける「経営の体質」が、Y点の数字に現れます。
たとえば、自主宣言制度で「働きやすい職場づくりに取り組む」と宣言したとします。
・人件費が経営を圧迫していないか
・利益が出ているか
・借入返済の余裕があるか
これらがY点の数字に出ます。
つまり、W点の宣言とY点の数字は両輪です。 宣言だけで数字が伴わない会社は、姿勢に説得力がありません。
📌 ③ Y点を「経営の通信簿」として読む
Y点の8つの指標は、見方を変えるとこう読めます。
安全性 → 倒産しにくい会社か
収益性 → ちゃんと儲かっているか
財務健全性 → 借入に頼りすぎていないか
絶対的力量 → 本業で現金を生み出せているか
これらは、銀行も同じ視点で見ています。 だからY点を上げることは、銀行評価の改善とほぼイコールです。
経審のためだけにY点を追うのではなく、 「経営の通信簿」として読み、改善することが大切です。
📌 ④ 改正後の視点で、Y点を見直す3つの観点
今期中に社長が見直したいのは、この3つです。
⑴ 利益が「姿勢」と整合しているか
自主宣言制度で「人材育成に投資する」と宣言した会社が、 利益剰余金が積み上がっていない/経常利益が薄い、では宣言に説得力がありません。
宣言の方向と利益のバランスを今期中に整えることが大切です。
⑵ 借入が「投資」につながっているか
借入残高が大きくても、それが自社施工力の強化や経営体質改善のための投資なら、説明できます。
ただ「資金繰りの穴埋め」のための借入が膨らんでいると、Y点でも銀行評価でも不利になります。
⑶ キャッシュフローが本業から出ているか
営業キャッシュフローがプラスかどうか。
「黒字なのに資金が苦しい」状態が続くと、ここがマイナスになります。
本業でキャッシュを生む仕組みを今期中に整えることが、Y点改善の土台です。
📌 ⑤ Y点改善は「経審・銀行・経営」の三方良し
Y点の改善は、経審点数アップだけでなく、
・銀行評価の改善(融資条件UP)
・経営体質の改善(事業の持続力UP)
にもつながります。
W点改正で「姿勢」が点数になる方向だからこそ、 その姿勢を裏付けるY点を整える意義が増しています。
経審・銀行・経営。 この3つは別々の話ではありません。
同じ数字を、別の角度から見ているだけです。
まとめ
・W点改正後は、会社の姿勢を示すW点と、経営の実態を示すY点の両方を見る必要がある
・Y点は「経営の通信簿」。経営の実態を数字で示す
・宣言(W点)と数字(Y点)の両輪が、改正後の経審で評価される会社像
・利益/借入/キャッシュフローを「姿勢と整合する形」で整えることが鍵
経審で評価される会社像が変わる中で、Y点はますます「経営の本質」を映す点数になっていきます。
次回予告
次回は、「銀行への資金繰り相談はいつ動く?社長が知るべきタイミング」を整理します。 Y点改善と地続きの「銀行とどう向き合うか」を、動くべきサインから整理します。
※「経審対策や財務の整え方を一緒に確認したい」方はこちらからご相談ください。 自社の経審状況の整理から、今期中の対策まで一緒に考えます。
※本記事は2026年6月時点の情報です。制度改正等により取扱いが変わる場合があります。
