「50歳を過ぎて分かった、台湾人の『差不多』の凄さ。
【今日覚える中国語 差不多(chà bù duō)】
これは、私が30代で台湾駐在していた頃の話だ。
台湾人の性格を一言で表すのは難しい。
いい意味で言えば“大らか”。
悪い意味で言えば“大雑把”。
台湾ではよく、
「沒問題(メイウェンティ)」
「差不多(チャブドゥオ)」
という言葉を聞く。
日本人感覚だと、
「問題ない」
「だいたいできてる」
という意味に聞こえる。
だが、台湾では時々、
“本当に大丈夫なのか分からない”
のである。
ある時、台湾の合弁会社から、
「社用車を1台買ってほしい」
と言われた。
会社の規定で、役員には社用車を貸与することが定款で決まっていたからだ。
当時、私は台湾の営業部長。
いろいろ見て回った結果、日産セレナを購入することになった。
数日後、日産の営業マンがやって来て、
「車を地下駐車場に停めておきました」
と、鍵を渡して帰っていった。
私は上司である社長と一緒に、
「おお、来た来た!」
と少しワクワクしながら地下駐車場へ向かった。
新車というのは、何歳になっても嬉しいものだ。
そして車に乗り込み、鍵を差し、エンジンをかけようとした。
……かからない。
「あれ?」
何度やってもダメだ。
最近の車のように、
「ブレーキ踏まないとダメなのか?」
とか、
「シフト位置か?」
とか、
いろいろ考えた。
しかも説明書は中国語。
私も頑張って読んだ。
だが、原因が分からない。
すると突然、社長が、
「あっ……」
と言って鍵を見始めた。
そして次の瞬間、二人で固まった。
鍵が、ツルッツルだったのである。
要するに、鍵が削られていない。
営業マンは鍵を2本持ってきていた。
自分が使っていた鍵は本物。
だが、私たちに渡した“予備キー”は、ただの鉄の棒だった。
当然、エンジンなんてかからない。
私たちは急いで事務所へ戻り、クレームを入れた。
すると営業マンが慌てて飛んできた。
そして開口一番こう言った。
「沒問題、沒問題(メイウェンティ、メイウェンティ)!」
いやいやいや。
問題しかないだろ。
鍵できてねえじゃねえか。
私は思わず、
「いつ鍵できるんだよ?」
と聞いた。
すると営業マンは笑顔でこう言った。
「差不多(チャブドゥオ)!」
ふざけるな。
私はあの時、本気でそう思った。
日本人の「だいたい」は、80〜90%完成している状態だ。
だが台湾の「差不多」は違う。
0%から100%まで全部含まれる。
だが不思議なことに、台湾で生活していると、だんだんその感覚に慣れてくる。
そして最後には、
「まあ、なんとかなるか」
と思うようになる。
これが台湾の怖いところでもあり、面白いところでもある。
もちろん、日本人から見ると適当すぎる時もある。
だが、その大雑把さの中には、不思議と“人情味”がある。
だから、なぜか憎めない。
今でも私は、台湾の「差不多」を思い出すたびに笑ってしまう。
銀河と共にあらんことを✨️🙏🏻
今日の中国語
差不多(chà bù duō)
意味:だいたい、まあまあ、ほぼ
※台湾では「完成している」とは限りません(笑)
