「だから何ですか?」想像力の欠如は致命的
11年間この仕事を続けられた理由
みなさんこんにちは内藤です。
何から書いていくべきか悩んだのですが、
頭に浮かんでくるものは過去の失敗ばかりなので、その辺からお伝えしていこうと思います。
私は11年間福岡のローカル局でプロ野球の取材や番組制作を行っています。
担当する福岡ソフトバンクホークスはその間に
リーグ優勝5回、日本一6回を達成しており、
1月の自主トレーニングから12月のオフの特番までほぼ一年中ホークスの仕事があるような年が多いです。
ナイター後は深夜作業になるし、
時間に追われるし、ルールや専門用語も多いので野球を全く知らない人、興味がない人からしたらしんどい仕事なのかもわかりません。
ですが学生時代野球をやっていた私は楽観的で、新入社員の頃は
「野球を見て給料もらえるのか、ラッキー」
くらいにしか思っていませんでした。
私がこれまで11年間スポーツディレクターとしてやってこれた要因の一つは間違いなく野球をプレーしていた経験があるからです。
忘れられない失敗例
しかし競技経験があるということが、
失敗につながるケースも多々あります。
一つ例をお話したいと思います。
私が1年目の話です。
あるプロ野球選手(ビジターチームです)に
高校時代から知っている選手がいました。
プロになるくらいなので高校生当時から
既に全国的に有名で、
直接話したことはもちろんなかったですが、
間近で見れるのかと人知れず興奮していました。
取材パスを手にした私は、
話しかけるチャンスを伺っていました。
もうワクワクです。
打撃練習を終え、引き上げてきたその選手を
私はベンチ裏で引き留めました。
ディレクターという仕事をしていても、
選手に声をかけるのはそれなりに勇気がいります。
ですが自分がプレーしていた分、
ワクワクが上回って…
妙な親近感を勝手に感じてしまって…
年齢が同じであることや、自分も過去同じ球場で
野球をしたことがあるなどの話をしました。
(してしまいました。)
最初は僕の目を見て話を聞いていたその選手が、
バッティンググローブを外しながら言った言葉はこうです。
「だから何ですか?」
僕は一瞬で頭の中が真っ白になり、
言葉に詰まりました。
読んでいるみなさんもおわかりだと思いますが、これは取材ではないですよね。
その日の放送に必要な情報であるとか、
視聴者に有益なコメントであるとか
そのような考えは一切なく、
当時の私はただプロ野球選手と
お喋りしたくて必死だったんですね。
もちろん、既に選手と信頼関係を築けていれば日々のコミュニケーションとして成立します。
それができる先輩方はたくさんいます。
ですが当時の私にそんなパワーはないですよね。
その選手はそっとベンチ裏へと消えていきました。
想像力の欠如は致命的
今振り返ってみて、
この出来事から考えないといけないこと。
それは、
「想像力の欠如は致命的」だということです。
具体的に話します。
選手は当時も今も試合前練習の合間や終了後に
取材を受けることが多いです。
その練習が終わって、
次の試合直前のウォーミングアップまでは
1時間程度しかありません。
着替えたり、食事したり、治療したり、
相手のデータを確認したり、
場合によっては寄付活動や
ミニイベント出演だってあります。
他にもやるべきことは山のようにあるはずです。
簡単に言えば「無駄に過ごす時間なんてない」。
経験豊富なレギュラーやベテランならまだしも、若手選手は尚更です。
今思えばその選手にとっては、
その時期が「プロとして一流になれるか」の
分かれ目だったように思います。
そんな中、
試合開始2時間前くらいに会った事もない謎の
ディレクターが話しかけてきた。
しかも内容が記憶にもないような昔話。
普通ブチギレますよね?
会話してもらえたのが不思議なレベルです。
「だから何ですか?」は文面だけ見ると
きつめの言葉に見えますが、
時間がない中で最も芯を食った
ごもっともな感想だと思います。
当時の私は狭い視野で自分のことしか
考えていなかった、
つまりは「想像力が欠けていた」んですね。
「相手のことを考えよう」というのは
人間関係の基本だと思いますが
ディレクターは特にその要素が大事です。
そんな当たり前のこと言うなよと
思われる方もいるかも知れませんが、
想像力を欠いて、
取材対象者との信頼関係を失った時の空気感は
洒落になりません。
そしてその空気はカメラのレンズを通して
映像に残ります。
そういった映像を会社に戻って
一人で見返したときに、
なんとも言えない気持ちになるんですよね。
ですので、私はこの経験をした時に、
『選手の今の状況、心理状態を可能な限り
イメージしアプローチする』
これを意識して今でも取材しています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
