獣化と私の出会い
これは私の獣化と着ぐるみとの出会いの話です。そして、獣化とは何か、それがなぜ自分にとって特別な意味を持つのかを、自分なりに整理してみた記録でもあります。そのため少し堅苦しく長い文章になりますが、お付き合いいただければ幸いです。
はじめに
幼少期の強烈な記憶というのは、そのときに抱いた感情とともに、いつまでも色褪せないものではないでしょうか。一方、当時はその感情の正体を理解(言語化)できず、様々な経験を経て過去を振り返ったときに「あの時の感情はこうだったのか」と合点がいくこともあるのではないでしょうか。
子どもには言語化しにくい感情として、「恋愛」「嫉妬」「後悔」といったものが挙げられます。これらは喜怒哀楽の入り混じった複雑なものであり、大人でも正直ひと言では説明できないため、親に諭されて理解するというよりは自分のなかで「消化する」ものだと私は考えます。
もう少し具体的な例として、幼少期から大人というスパンの話ではないのですが、『ハチミツとクローバー』という作品を挙げます。主人公の竹本くんが恋に落ちる瞬間を別の登場人物(及び読者)が目撃するというシーンが物語の序盤にあるのですが、おそらくそれが初恋である彼は、なかなか自身が恋をしているということに気づかず、心がズキズキする理由がわかりませんでした。周囲との交流の中で様々な恋愛の姿を見た後に「俺って恋していたんだ」「あのとき恋に落ちたんだ」と自分の感情を理解するのです。
では、そういった私自身の体験や感情とは何かというと、「TF」「獣化」と呼ばれるものです。これはとても複雑で、わくわくするもので、正直性的なニュアンスもあるものです。
ただ、調べるほど人によって捉え方やフェティシズムが異なるのだとわかりました。従って、素人の私がその中身に触れるのはなるべく避けて、あくまで私がどうやってその感情に気がついて、「消化」していったのかを順を追って書きます。
子どもの頃の体験、昨年ようやくその感情の正体に気づいた経緯、今回の着ぐるみとの出会い、そして獣化という夢が「実現」した先に何をしていきたいかの4つに分けました。TFとは切っても切り離せない関係にあるケモノ界隈の話も含みますので、その前提はご了承ください。
子どものときの出会い
体感として、ケモノ界隈ではイラストや漫画やアニメから興味を持った方が多いと思います。例に漏れず私の「ケモノ」への興味には、多数のアニメとゲーム作品が複合的に影響しています。ポケモンやデジモンのアニメが開始したのは私が小学生の高学年という多感な時期でした。インターネットを家庭で個人的に楽しめる環境になったのは中学生の頃で、自由に色々な調べごとをしました。
しかし、今思うと私がはっきりと「獣化」への憧れを抱いたのはアニメではなく、2冊の本からです。もちろん大人向けの難しい小説ではなく、小学生向けの本であり挿絵も多かったと記憶していますが、変身していく姿に思いを馳せられるとは我ながら想像力豊かな子どもだったようです。
ではその2冊の本をご紹介します。
ひとつめは『オオカミ少年の夜』です。この本に関してははっきりとタイトルまで覚えています。いわゆる嘘つきのオオカミ少年ではなく、月夜に変身するオオカミ男の少年版です。
動物園で年老いた狼に出会った少年が、生きているうちに外に出たいと願うその狼に取り憑かれて夜な夜な街を駆け回る、というお話でした。魂に取りつかれるだけでなく次第に姿形も狼に近くなっていきます。
これが強烈なインパクトを私に与えました。今調べてみると、子供向けホラー小説に分類されるとのことでしたが、当時の私にはそうは思えず、期待感のような興奮を覚えました。
もうひとつは『犬になった少年:イエスならワン』です。こちらは海外の作品でした。今回ストーリーは覚えていたもののタイトルが正確にわからず、AIの力で辿り着きました。
タイトルそのままですが、主人公の少年がある日突然犬になります。前触れもなく犬になったり人間に戻ったりを繰り返します。友人の助けを借りて、犬の姿のときに意思疎通できないと困るため、返答がイエスならワン、ノーならワンワンと鳴くルールを決めました。
よく覚えているのが、友人がイエスノーで答えられない質問(何が食べたい?等)を繰り返してしまい、怒った主人公がワンワンワンワン!とルール外の激しい鳴き方をして友人が謝るというシーンがあります。
これはただのコミカルな場面として描かれていると思うのですが、犬になったときの辱めや1種の不自由さと捉えるとこのシーンは極めてフェティシズムを感じるものではないでしょうか。当時の自分はそれを理解してはいないものの、よく覚えているのが「感情が揺さぶられた」証拠です。
この2つのお話が脳裏に刻まれたまま、その正体に気がつくのはなんと20年以上もの時を経た昨年でした。
ケモノの着ぐるみとの出会い
ケモノにはそれなりの興味はあったものの、たまにイラストを見る程度の活動しかしていませんでした。いわゆるROM専でした。
大学以降専らゲームやアニメにはまっていた私は、あるゲーム実況者をフォローし始めました。それがCO-DAさんでした。マリオメーカーやマリオカートのプレイで人気の、UUUMにも所属している方です。ただフォローした当時はまだ彼のキャラクター「こだぎー」は誕生していませんでした。
2024年秋頃、私はゲーム実況の動画から、なつめさんちというイラストレーター(YouTuber)のご夫婦を知りました。
さて、なつめさんちもフォローし始めたところ、YouTubeからある動画をおすすめされました。それがプロダクション体育館となつめさんちのコラボ動画で、それが私とプロダクション体育館(プロ体)との出会いでした。コラボ動画の実現もCO-DAさんのご尽力ですし、おそらくYouTubeのアルゴリズムによりCO-DAさんとなつめさんちが結びついたと思われますが、サジェスト機能がなければ私はプロ体に出会えませんでした。
実はその動画だけではまだどっぷりプロ体にハマったわけではなく、他に上げている数々のダンス動画を見て痺れました。着ぐるみの概念が変わりました。好きなダンス動画についてはまた別の機会にお話したいです。
さて、着ぐるみ自体の出会いはここまでですが、TFも同じ章でお話します。
プロ体にハマった私はマネージャー陣のトーク番組である「倉庫のラジオ」も聞き始めました。ハマったのが最近なのでかなりの量があったのですが、その中でもまずはこだぎー誕生秘話(CO-DAさん初登場)回から聞き始めると、知らない単語がトークやチャット欄に登場しました。それがTFでした。
TFについて調べたり、ジッポくんのマネージャーであるぽんさんの別の回のTFトークを聞いたりして、私の中でカチッとピースがはまりました。つまり「これが、私がかつて憧れた獣になることそのものだ」と理解するに至りました。先に述べた幼い頃の感情が蘇りました。
そして絵の中に入れなくても、超常現象であるTFが現実になくても、着ぐるみを身につければケモノになれるのだと気がついてしまいました。こうなると居ても立ってもいられず、まずは着ぐるみに会ってみようと思い、昨年けもケットに参加することにしました。
そこで憧れのジッポくんにも会えましたし、プロ体以外の様々なキャラクターにも会えました。そして、私はキャラクターを見る、触れ合うだけでなく、自分も獣化したいと決意しました。
リアル系ヘッドとの出会い
けもケット前後あたりから、着ぐるみはどのようなものがあるのか、誰が作っているのか、どのように手に入れるのか、それらを知るために様々なXアカウントをフォローしていきました。すぐ分析したがる、そのためにインプットをしたがるのが私の特性のようです。
そして、かわいいイラストのようなキャラクターだけではなく、リアルな動物に近い(リアル系の)キャラクターもいることが分かりました。直感的に「これだ!」と思いました。主にハーフスーツ(ヘッドと手や尻尾のみの着ぐるみ)にスタイリッシュな洋服や和服を身につけたキャラクターは、人間からケモノになったという感覚に近いものがありました。
昨年秋頃からこの思いに至りましたが、今は着ぐるみが非常に人気のようで、どの工房も常時コミッションを受け付けているわけではないようでした。臨時に開いていても見逃すこともありました。一度とある工房のコミッションにも応募したのですが、残念ながら落選しました。
運命の日は突然訪れました。出張の仕事先から新幹線でXを見ていた私の目に、あるポストが留まりました。それがFurtic Studioさんの一般販売(オーダーメイドではなく既製のヘッドの販売)でした。
そこにはかっこよさとかわいさを備えたリアル系の犬科のヘッドの写真があり、2作品同時販売されているという内容でした。しかも片方は商談中でした。ヘッドに一目惚れした私は急いで工房さんに連絡し、興味があることや購入時の不安をお伝えして取り置きしていただくことにしました。
そこから1日悩みまくりました。一目惚れしたものの本当に自分が手にして、今後きちんと活動できるのだろうかと、とても不安でした。確かに1年余りプロ体の活動を応援し、実際会うこともできたので、十分行動はできている。それでもほとんど知り合いはいない。
そこで、数少ない直近で知り合ったケモノイラストを描かれる方に相談をしました。そこで、素敵なヘッドであるし、縁というものはあると思うとアドバイスをいただきました。
最終的には、このタイミングでポストを見つけたのは自分であり、この縁は逃すべきではないと、購入を決意しました。
そして、届いてから身につけてみて改めて思いました。これが、獣化した姿の自分なんだ、と思いました。そして数年前に北海道の旭山動物園に行った際に会ったオオカミたちを思い出しました。これはファーソナというより、彼らのようなシンリンオオカミが乗り移ったと考えることにしました。名前は、体色のミルクティーから連想して、ロンドンの霧(ロンドンフォグというミルクティー)を彷彿とさせる朝の霧から、アサギリとしました。
アサギリは明日ケモノスクエア10でお披露目です!
さいごに 獣化のその後
着ぐるみを購入して終わりではありません。むしろここからが始まりです。私はケモノ着ぐるみとの触れ合いを始めたばかりでオーナーになったので、知らないことだらけです。
まずは慣れることや出会いの場を増やそうと思います。今回は割と規模の大きいイベントに参加することにしましたし、今年は残り、OFFF、東京ケモノフェスティバル、体育館の日と中規模から大規模イベントの参加予定があります。なお、ケモフェスは人の姿だけの参加になります。
ただ、今の界隈はそれだけではなく、少人数でまったり過ごしたり、クローズドな集まりをしたり、同じ趣味を共有できる環境になっています。
大規模なイベントは多くの出会いがあるものの、その分じっくり話せないので、知り合いを増やし、そういった少人数の場にも参加できたら人生(ケモノ生)を楽しく過ごせそうです。
ただ、難しいことは考えず、まずは全力で楽しもうと思います!これから出会う皆様、どうぞよろしくお願いします。
