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相次いでプロボクサーが亡くなった件について

一つの興行で2名のボクサーが亡くなる

今月、8月2日に行われたプロボクシング興行『DYNAMIC GLOVE on U-NEXT Vol.35』で試合をした神足茂利選手、浦川大将選手の2名が、8日夜と9日夜にかけて相次いで亡くなった。
両選手には心よりご冥福をお祈り申し上げると共に、命を懸けてリングに立ったその姿勢に深い敬意を表します。また、ご遺族や関係者、対戦した選手のご心痛、いかばかりかと拝察いたします。皆様どうかご自愛ください。

しかしボクシングは本当に過酷なスポーツだ。
昔から世界中でリング禍が起こっていたとはいえ、このところ頻発しているリング禍のペースはちょっと異常だ。一昨年の年末に日本タイトルマッチに挑戦した穴口一輝選手が去年の初めに亡くなった事例から始まり、今年5月24日に世界タイトルマッチに挑んだ重岡銀次朗選手は試合後に容体が急変して開頭手術を行い、8月10日現在、いまだ意識が戻らずにいる。
そして今回、今月2日に開催された興行に出場した上記の二名、東洋太平洋スーパーフェザー級タイトルマッチのあと急性硬膜下血腫が起こり意識不明となって開頭手術を受けていた神足茂利選手と、日本ライト級挑戦者決定戦のあと同じく急性硬膜下血腫で意識不明になり開頭手術を受けていた浦川大将選手が相次いで亡くなった。

命懸けのスポーツとはいえ、同興行から二人も亡くなるなんて記憶にない。また、医療技術や安全管理は時代と共に進歩しているはずなのに、近年立て続けに事故が起こっている現状を鑑みると、今後プロボクシングという競技そのものを見直さざるを得なくなるだろう。
現役を退いた一ボクシングファンとして、ボクシングを愛する人間として、今後もプロボクシングが存続していくためにはどうすればいいのかを考えていきたい。

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デビュー戦で亡くなったボクサー

去年の初めに穴口一輝選手が亡くなるより以前、国内での死亡事故は10年前まで遡る。プロデビュー戦を行った21歳の4回戦ボクサーが最終回TKO負けを喫したあと意識を失い、やはり開頭手術ののち2014年に亡くなられている。
当時その興行を観に行っていた現役選手の僕は、選手が緊急搬送されたことでアナウンスが流れて会場がざわめいていたのを肌で感じながら、自分が取り組んでいる世界は命懸けなんだと改めて痛感させられて身が引き締まる思いだった。
今となっては、後遺症もなく無事に健康な体でリングを下りられたことに胸を撫で下ろしている。

その事故を受けて起こった当時の議論としては、プロテストを難化すべきという声が目立った。プロボクサーの減少に対する打開策としてプロテストが易化しており、わずか数ヶ月のボクシング経験でプロになれる人も度々いたのだ(30代以上じゃないとわからないと思うけど、ガチンコファイトクラブもそういうコンセプトだったよね)。亡くなった選手も、無名のジム所属でアマチュアキャリアも無く、ボクシングを初めて一年足らずの大学生だった気がする。(実は試合を観てはいないんだけど)評論を見ても相手選手の戦績(未勝利)を見ても、お世辞にもレベルの高い試合ではなく、ディフェンス技術の未熟さが生んだ悲劇であったのだと思う。なのでプロボクサー人数減少に歯止めをかけるためプロテストを易化するという愚策は事故を受けて是正され、徐々にプロテストの合格率は下がっていったようだ。

ちなみにプロボクシング興行というものは4回戦(4ラウンド試合)から始まって6回戦、8回戦とメインに向かって順に試合時間が長くなり、並行して長時間のファイトに耐え得る肉体と技量があると勝利を重ねて認められた選手のみが6回戦、8回戦と昇格していくシステムになっている。
実は同興行を観に行っていたのに僕がその試合を観ていないのは、「前座の4回戦はどうせレベル低いから観なくていいや」と遅れて会場に到着したからである。
しかし訃報を受けて、「選手は全員命懸けなんだから、最初から真剣に見届けなければ失礼だな」と深く反省したことを憶えている。

そして2014年のリング禍から10年、大小様々な怪我はあれど国内プロボクシング興行で死亡事故は起こっていなかった。プロテストの難化がどこまで実施されたかはわからないが、レベルは確実に上がっているし、井上尚弥君を始めとした世界的なスター選手も誕生して日本のプロボクシングは今まで以上に盛り上がっている。ディフェンス技術の向上による頭部への被弾数の低下もあるのではないか。

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頻発するリング禍

しかし、去年から立て続けに起こったリング禍は10年前とは明らかに様相が違う。日本のプロボクサーの中でも一握りの選手しか立てない大舞台で事故が起こっているのだ。

2023年12月26日、有明アリーナ(東京都江東区)にて、井上尚弥 対 マーロン・タパレス戦の世界戦の前座として行われた日本バンタム級タイトルマッチに出場した穴口一輝選手は、アマチュアボクシングで二度の全国優勝を果たし76戦68勝8敗の好成績を残してプロ入りし、プロボクシングでも6戦6勝(2KO)無敗の快進撃で日本タイトルマッチまで漕ぎ着けた期待のホープだった。
試合は壮絶な打ち合いの果てに惜しくも判定負けとなり、控え室で意識を失って帰らぬ人となった。リング禍が起こり穴口選手が亡くなったその試合は、2023年の国内年間最高試合に選ばれている。そこにボクシングという競技性の、どこまで行っても安全なスポーツにはなり得ない残酷な性質が現れているなと思う。
受賞したのは穴口選手が死去する前とはいえ、意識不明で入院中の出来事であった。年間最高試合に選ばれたのが死亡事故の起きた試合だというのは、ボクシング競技における素晴らしい試合の選考基準は、命を削り、傷つけ合い、死に近づいていく試合であることを、JBC(日本ボクシングコミッション)およびボクシングファンと関係者たちは公に示したことになる。
判定基準で最重要視されるのは相手に与えたダメージであるし、お互いがダメージの残らない試合なんて評価されないのだ。二人の戦士が傷つけ合い、血を流して殴り合う、命を削るような闘いを我々観客は望んでいるのだと証明していないだろうか?
そういう試合を普段楽しんで観ているくせに、事故が起こった時だけJBCやルールに文句や改善案をしたり顔で外から言うボクシングファンが僕は嫌いだ。

また、今年5月24日、インテックス大阪で行われた「3150×LUSHBOMU vol.6」でIBF世界ミニマム級タイトルマッチに挑んで12回1-2の判定負けを喫した重岡銀次朗選手は、二度の防衛を果たした元世界チャンピオンであり、今回は奪われた王座を奪還するべく行ったリターンマッチであった。重岡銀次朗選手はアマチュアボクシングでは5度の全国優勝を果たし、57戦 56勝 1敗(1敗は兄弟対決を断って決した不戦敗)の破格のレコードを引っ提げて鳴り物入りでプロになり、ここまで13戦 11勝 (9KO) 1敗 1無効試合と、世界タイトルを奪われた1敗のみという驚異的なボクサーだった。この試合もやはり死闘になり、試合後の採点結果を聞いていた最中に意識を失い、右硬膜下血腫により開頭手術を受け、現在も意識不明のまま大阪市内の病院で入院中である。

そして今回、8月2日に行われたプロボクシング興行『DYNAMIC GLOVE on U-NEXT Vol.35』で試合をした神足茂利選手、浦川大将選手の2名が亡くなった。
神足選手はメインイベントで東洋太平洋スーパーフェザー級タイトルマッチに挑戦者としてリングに上がり、前半ポイントでリードしながら後半追い上げられ、結果は12回判定引き分けに終わって涙を飲んだ。激しい試合ではあったが一方的に打たれるシーンはなく、試合が終わって採点を聞いている時もリングから下りる時も観客の声援に応えながら自力で歩いて控え室に戻っていったから、まさか危険な状態だとはとても思えなかった。
浦川選手は日本ライト級タイトルマッチの挑戦者決定戦に出場して、ポイントでリードしているように見えたが最終ラウンドに相手選手の猛攻に遭って逆転KO負けを喫した。強烈な右ストレートを被弾して背中からダウンした際にキャンバスに後頭部を打ちつけて失神して担架で搬送された。
神足茂利選手は試合後に意識を喪失して、浦川大将選手もおそらくは意識が戻らず、試合後に都内の病院に救急搬送されて開頭手術を行ったが両名とも亡くなってしまった。
本当に、心よりご冥福をお祈りいたします。

一握りのプロボクサーしか立てない大舞台での試合で、十分な肉体と技量を誇る優秀なプロボクサーが相次いでリング禍に見舞われた事態は、この競技に安全圏はないことを示している。頂点に立つボクサーですら例外ではない。
ではなぜ、選手の技量や医療体制が向上している今になって事故が頻発したのだろうか。そして今後もボクシングを存続させていくためには、なにを廃止してなにを改善しなければならないのだろうか。

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水抜き減量法が潮流を変えた

この10年で大きく変化して浸透したものといえば、『水抜き』という減量方法が広く普及したことだろう。直感的にはこれが事故の大きな原因の一つになっている気がする。

水抜きとは、計量に合わせて急激に身体の水分を落とし、計量をパスするとすぐさま水分を補給して体重を戻す減量テクニックだ。
プロボクシングの計量は以前は試合当日にしていたのだが、無理な減量と消耗した体力で試合をすると事故が起きる危険性が増すために、試合までの間にボクサーの体力回復を促進するためとして国内では1995年1月10日から、世界的にもこの前後に各団体が当日計量から前日計量に変更して今に至る。それからというものリカバリーに24時間以上かけることができるのを利用して、水抜きを行い一時的な脱水状態を意図的に作り、24時間かけて水分を補給していくことで筋肉量を落とさず一回り大きな身体で試合しようとする選手が増えていった。
ご存知の方も多いと思うが人体の大半は水でできており、体から水が抜けやすい状態を上手く作って計量に合わせて抜くことができれば、多い選手では5〜10kgほども1日で脱水することができる。計量をパスすると今度は速やかな水分補給に移り、試合のリング上では計量時の規定体重よりも10kg以上重い状態で試合に望む選手さえも出ている。……まるで人体実験である。

もっとも、水抜き自体は近年に始まったことではなく、昭和の運動部における「水飲むな」じゃないけど昔からボクサーは試合が決まれば飲みたいものも我慢して体重を落としていた。昭和の名王者ファイティング原田氏はジムの水道の蛇口を針金で止められて水分補給を強制的に絶たれていたという逸話があるし、僕が所属していたジムの会長でもある大橋秀行会長は現役時代、減量末期のある日気がついたら夢遊病のように水を求めて彷徨って水洗トイレに溜まる水を飲んでいたとか。……壮絶すぎだろ。
ただ、スポーツ生理学の研究が進んで急激かつ効率的な脱水ができるようになったことで、体水分の保持率でいえば壮絶な昭和のボクサーよりも現代のボクサーの方が計量直前はさらに水が抜けているのではないか。なぜなら、計量1週間前からあえて水分をたくさん摂り続けて(1日に6〜8リットルとか)体から水分が排出されやすい状態を作ったり、直前に塩分を控えて浸透圧の関係で体から水が抜けやすくしたりというような水抜きテクニックを昔の選手は知らないからだ。

また、この水抜き減量は格闘技ファンの間でも広く知られるようになってきており、人気選手が自身のYouTubeチャンネルで上げる『計量前の水抜きの様子に密着』というような動画は再生数を取りやすい人気コンテンツだ。風呂やサウナで極限まで汗をかき、命からがらリミットまで体重を落として計量に向かい、パスするとOS-1を飲んで最高に幸せそうな笑顔を浮かべる、というわかりやすい状態の起伏はついつい感情移入して見てしまうものなのだろう。
どこにでもビジネス乞食はいるもので、水抜きが流行ると知ったかぶったフィジカルトレーナーやらが減量テクニックの有料セミナーを開いたり有料noteを販売したりとやりたい放題だ。藁にもすがる想いで効率よく体重を落として試合に勝ちたい貧乏格闘家が詐欺師と変わらないような奴らになけなしの金を払っていると思うと泣けてくるぜ。……まあ中には実際に詳しい人間もいるだろうし、それも仕事っちゃ仕事なんだろうけどね。でもなぁ。
また、「水抜きで○○kg落とした!」という見出しはインパクトが強いせいか、数字ばかりがひとり歩きしているせいで細かな方法論を学ばずに、「○○kgくらいなら頑張れば落とせるだろう」と減量幅だけ真似て落とす選手もきっといるはずで、さらに危険だ。昨今の相次ぐ計量失敗もこの辺りに原因がありそうだ。

水抜きの危険性については、現役医師でありJBCのドクターも務める鈴木一裕さんが詳しく書かれている。

曰く、計量後に大量の水分を摂取しても、血管や全身の脱水は是正されるが脳実質内の水分回復には時間がかかるため、脳は依然として脱水状態のまま試合に臨むことになるとのことだ。
つまり、より多くの体重を水抜きに頼って減量し、その後に大幅リカバリーをして体重を戻しても脳は危険な状態にある。ボクシングという競技の特性上、衝撃は頭部へと集中して脳は深刻なダメージに晒されやすい。急激な水抜きによる減量から回復せず、脱水状態にある脳に強い衝撃が加わることで死亡事故が起こりやすくなっているのではないか。そう考えると、水抜きの方法を有料商材にして売ってる奴らとかマジで罪が重すぎるだろ。

ちなみに、選手は試合当日も会場で一応体重計に乗る。JBCからは計量体重よりも8%以上増加しているとウエイト変更勧告をされるのだが、勧告にとどまり実質的に意味をなしていない。
JBCによると今回の浦川選手は前日より6.5 kg(戻し率約10.6 %)増やしてきており、神足選手も前日より6.5 kg(戻し率約11 %)増やしている。10%超えは戻している方だけど、取り立てて目立つ数字ではない。この3ヶ月のデータだけでも試合に出場したうち200名ほどのボクサーが10%以上体重を戻しているのだから、今回の事故は他のどのボクサーにも起こり得るのだと思う。

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そもそもなぜ体重を戻すのか

なぜ体重を戻すのかといえば、ボクシングにおいて体重が重い方が絶対的に有利だからだ。ゆえに18階級に渡るほど細かい階級制が敷かれている。
選手の安全面を考慮して前日計量に変更したのに、法の網をかいくぐるかのように計量日だけに合わせてカツカツの身体を作り、リカバリーして重い身体でリングに上がる選手ばかりになっているのが今のボクシング界の現状だ。多くの選手が規定より10%以上も増量して試合をしているのだから本末転倒であろう。
かくいう僕も現役時代は水抜きに頼って減量していたし、試合当日は契約よりも重い体重で試合をしていた。というか多分、契約と変わらない体重で試合に望む選手は皆無だろう。どんなに減量幅が小さい選手でも飢えや渇きの感じる状態で計量をして、終えるとすぐさま水分補給をして食事にうつる。選手はなんとしても勝ちたいのだ。
だから気持ちはとてもわかるんだけど、やはりそれでは計量の意味がない。同じ体格をした二人が技と力を競い合うことに格闘技のフェアネスがあるのに、現状は体重戻しゲーの様相を呈しているのも事実だ。もしバカ真面目に契約体重でリングに上がろうものなら、そこには明らかに一回り以上体の大きな相手が待ち受け、体格差で自身を危険に晒すことになる。だから少なからず体重を戻さなくてはならないのがやるせない。僕はそういうところが腑に落ちなくて競技への興味が薄らいでいったのも本音だ。
現状への打開策としては、当日戻し制限やハイドレーションテストが挙げられる。試合当日に戻せる重量を10ポンド(4.5kg)までにするとか、尿比重屈折計を用いて脱水状態で計量に臨むことを禁止するためである。しかしどこまで効果があるかはまだ不明だ。

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危険性を排除することは叶わないけれど

原因は多岐に渡り、因子は複雑に絡み合っているので一概に何が悪いとは言えないだろう。
JBCの試合後の対応の悪さを非難する声もあったし、医療体制の不備やスパーリングのやりすぎを原因に挙げる声もあった。ボクシングの試合時間の長さも原因だろう。今回は高温多湿な日本の風土も関係したのかもしれない。頑張りすぎる日本人の気質や、激しい打ち合いを好む国民性の影響もあろう。他にも様々な複合要因があるはずだ。
しかし最大の原因は頭部への打撃が集中するボクシングという競技性そのものにあるはずだ。極論言えば、死亡事故を無くすためにはボクシングを廃止するか、根本的なルールを変更せざるを得ない。長時間に渡って顔を殴り合う競技が、命を危険に晒さないわけがないのだ。
暴論にはなるが、それがボクシングなのだ。危険性の否定はすなわちボクシングの否定でもある。だから僕はボクシングや格闘技をメジャースポーツに押し上げようという流れには反対であるし、幼少期から取り組む選手が増えたことにも反対だ。親が率先して子どものボクシングを応援するなんて健全じゃないよ、普通に。一握りの成功例に目が眩んで「うちの子もいつかチャンピオンに!」じゃねーのよマジで。
危険を承知で闘ってでもなにかを証明したいはぐれ者の仕事であるべきだ。そこに生き様がある。あくまでアンダーグラウンドな世界で、多くの子どもが憧れる対象になることを目指すべきじゃないと思うのだ。

そういえばうちの母親は僕がプロボクサーになってから毎試合応援に来てくれたが、「ボクシングなら見れるけど何でもありのやつ(MMA=総合格闘技)は怖くて見れない」と言っていた。僕はそのたびに「いや、ボクシングの方が危ないから!ボクシングのが死んでるから」とムキになったものだ。なんというか、自分のしてる競技が安全な世界だと思われることこそ嫌だったんだよね。……高齢の母親に言うことじゃなかったと今は思うけど。
命懸けであることに矜持があった。毎試合、下手したら死ぬかもしれないと覚悟してリングに上がっていたし、対戦相手を殴り殺してしまうかもしれないと思ってもいた。きっと現役選手は多かれ少なかれそうだと思う。

関係者がいくら尽力しても、それでもやはり今後もリング禍は起こるだろう。
リングを下りた身としては、無事で良かったと改めて思う。「勝ち負けなんてどうでもいい、とにかく無事にリングを下りて欲しい」と引退した選手や関係者が口々に言う理由が今ならよくわかる。後から振り返れば、スポーツの勝敗なんて長い人生と比べればちっぽけなものなのだ。しかし目の前の勝負こそが人生なんだと思う現役選手の気持ちもよくわかるし、そこに命を懸ける覚悟も理解できる。刹那を生きるボクサーの生き様が胸を打つ。それがボクシングなのだ。
だからボクシングに魅了された人間にできるのは、命を懸けて闘うボクサーへの最大限の敬意を持って試合を観ることと、亡くなったボクサー達をいつまでも忘れずに心の中で想い続けることだ。

改めて、亡くなられた神足茂利選手、浦川大将選手のご冥福をお祈りいたします。

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