【設計者インタビュー】サンゲツはなぜ“塗った”のか ─ 左官素材が生んだ創造の場
自然と融合するオフィスデザイン ─ ルミデコールが支える創造の空間
日比谷公園を臨むオフィス空間「PARCs Sangetsu Group Creative Hub」は、株式会社サンゲツがグループ内で設計・施工した拠点です。空間コンセプトは“touch the prism”。左官材「ルミデコール SOLID」を採用することで、社員の創造性と偶発性が交わる空間が実現されました。
本記事では、プロジェクトを手がけた4名のデザイナーが語る、「自然と共鳴する素材の魅力」や「空間づくりの裏側」、そして「素材がもたらす企業文化の変化」に迫ります。
インタビュイー紹介
株式会社サンゲツ
1849年創業。
「すべての人と共に、やすらぎと希望にみちた空間を創造する。」を企業理念に掲げ、空間の可能性を広げるスペースクリエーション企業。

インタビュー参加者(左から):
小野 竜哉(空間総合事業部 スペースデザイン部/デザイナー)
葛貫 智之(空間総合事業部 スペースデザイン部/チーフデザイナー)
石田 健介(空間総合事業部 スペースデザイン部/デザインディレクター)
小木曽 茜(空間総合事業部 スペースデザイン部/デザインディレクター)
掲載商品紹介
採用商品:ルミデコール SOLID
用途 :床面、植物の鉢、什器の側面など

泡色 036+002(5:1)トップコートSD有

濃色 041+002(5:1)トップコートSD有
インタビュー
■PARCsと日比谷公園をいかにしてつなぐか

葛貫さん(チーフデザイナー)
「空間コンセプトは“touch the prism”。光 の屈折・拡散を意味する“prism”のように 社員の個性の輝きを広げ、ジグザグと角度を つけた通路やランダムに配置したファシリティといった、偶発的な会話やアイデアが生まれる工夫を凝らしました」
床材や壁紙など、多 様な内装材を手掛けている同社があえて四 国化成の「ルミデコール」を採用した理由 は何だったのだろうか。
「この場所と日比谷公園をいかにしてつなぐか。このオフィスでいかに事業内容を伝えるか。社外と社内をい かにつなぐか。われわれが表現したい、お客様が望まれる空間を表現するには何を選ぶのが適しているか。外部らしい自然な表現をするときに素材が大事。骨材を入れた床は、外光が入ると見え方も違うなど、いろんな表情が出せるのが特長ですね。カスタマイズ性があるので表現の可能性が広がります。左官は職人さんにしか表現できない技術。今、職人さんが減ってきているからこそ、大事にしたい素材です」
■不自然が集まり自然となる

小木曽さん(デザインディレクター)
「塗りムラだったりとか、塗っているときにはね たりする鏝ムラに、自然光が当たるときれいですね。既製品だとエラーになってしまうものが、四国化成さんの商品だとむしろその味が出せる。自然というのは自然だけど不自然なものが集まってできているものが自然だよねという話があって。不自然な味のあるルミデコール SOLIDのようなエレメントが集まることによって、外部的な印象が内部へと広がる。『オフィスとは何か』をみんなで考えて、われわれ で具現化しました。ちゃんとまとまるかが心配 だったけど、当社が考えるオフィスができたの ではないか。社員にも『こういうことをやって いいんだ』という自発性が高まった。提案す ればできるんだという証となった場所。こうい うオフィスができたからこそですね
■本物に触れることで開発に活かす
石田さん(デザインディレクター)
このオフィスが次の事業を作る場所として、 デザイン的にも素材的にも優れたものをと。 PARCs は壁が少ないので床が重要と考えました。ホテルみたいに目的がなくてもここにき てコーヒーを飲んだりできる。植物やフローリ ングをやわらかい間接照明が照らして、ここ ちよく休む場所。コロナのときにオフィス 不要論があったが、コミュニケーションの面 やエンゲージメントといった観点でオフィスが必要。この場所は、新しいものにチャレンジしていく姿勢を現している。それを『形』と して表現できたのではないかと。社員が予想していなかったものができたと思う。こういった左官の床を見て、商品開発のメンバーたちは『不均一なもの』をどう商品開発に取り入れていくかという前向きな動きが生まれている。やっぱり本物に触れることが開発に活 かされていく。例えば、左官を塗った壁紙に 挑戦するなど、可能性はあると思います」
■ディテールまできれいに仕上がる

小野さん(デザイナー)
「四国化成さんの良さは、その時にしかできないこと、職人さんのやり方がそのまま形になることだと思う。そこはわれわれとは違うところですね。
今回は床以外にも、植物の鉢や什器の側面にもルミデコールSOLIDを採用しているのですが、定型サイズではないので既製品を使うとどうしても目地が出てしまう。塗りだと思い通りに仕上がるし、仕上がりがきれいにな る。ディテールまできちんと作ることができる。こだわりのあるデザイナーが左官をスペックする というのは、職人の技術がそのまま形になるこ と、不均一にできるというところがいい」
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写真クレジット
Photo: Akihiro Itagaki(Nacása & Partners)
