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【ADHDの日常】vs エレベーター待ち


靴を履いた。手荷物も持った。
スマホも家の鍵もポケットだ。お尻に感触があるから間違いない。

いってきます、と鍵を開けて扉を押しながら家を出る。
少し廊下を歩くと、うちの方からウィーン…ピーとSwitch botが鳴った。
音を確認しながらエレベーターの↓を押す。
どうやら最上階の30階で止まっていたのが降りてくるようだ。
予定通り出られたので、エレベーターを急かすほどの時間ではない。

昨晩のうちに手荷物を準備していたので、バタバタしなかった。
玄関に置いておくとスムーズに出られるなと満足していたのに、ふと 日焼け止め が脳裏に降ってきた。

塗ってない…。
顔は乳液と共に塗ったけど、腕。忘れてた。
今からこの曇り空の下を片道15分歩く予定だ。
往復で30分。

焼ける。

エレベーターの表示は28階で停まっている。
ここは16階。

…行けるか?

家まで5秒。鍵を開けて10秒。扉をあけて3秒。靴を脱げば2秒。
日焼け止め、どこやったっけ?
洗面台か。あ、いや違う。玄関にあるはず。それなら、靴は脱がなくていい。

エレベーターの表示は26階。また停まった。

いける!!

と思った瞬間、走って戻った。

廊下に足音とSwitch botの機械音がよく響く。
いつもなら感謝しながら聞けるのに、今はもどかしくて堪らない。
そんな自分を、「焦ってるなー」とのんきに客観視してしまう。
今じゃない、と自分にツッコミを入れながら鍵の開いた玄関扉を勢いよく開ける。

玄関にない。どこだ。
あるとすれば洗面台か。いやないはず。
そうだ、出かける前に忘れないようにダイニングテーブルの上に移動したんだった!

テーブルの上の日焼け止めを引っ掴む。
靴を爪先に引っ掛けて家を飛び出した。

間に合え…!!!

14階と表示されるエレベーターを見送りながら息を整える。息を吐きながらボタンを押す。

屋外に出る前に日焼け止めをゆっくり塗る時間が確保できたので、よしとしよう。

エレベーターが来たのは、日焼け止めを塗り終え、靴もきちんと履き直した少し後だった。


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