第2話 ふかふかな人生と7つの鍵 火の鍵 Part 1 〜目の前の仕事の意味を洞察する〜
7つの鍵は、それぞれが人生を支える大切な要素だ。
健康、人間関係、学習、行動、資産、運。
どれも欠かすことはできない。
ただ、その中で私が最初に得たのは火の鍵。火とは仕事だ。
なぜなら、仕事は人生を前に進めるエネルギーそのものだからだ。
RPGで言えばこれは攻撃力のステータスに直結する。次の敵に立ち向かう、次のステージに進む上で常に意識するステータスだ。
学校を卒業してから、多くの人は平日5日、1日8時間以上を仕事に使う。
週40時間。
睡眠を8時間とすると、起きている時間の半分近くを働いている計算になる。
残業や休日出勤があれば、さらに増える。
人生で最も長い時間を使う活動。
それが仕事だ。
健康も大事だ。
人間関係も大事だ。
学習も大事だ。
だが、仕事が安定し、成長し、自信を持てる状態になると、他の鍵も育てやすくなる。
逆に仕事で大きく揺らいでいると、人生全体が不安定になる。
だから私は仕事を火の鍵と呼んでいる。火力、エンジンとも言えよう。
出世のためではない。
肩書のためでもない。
自由になるためだ。
自分の人生を、自分で選べるようになるためだ。
そしていつか、大切な人を守れるようになるためだ。
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## 火の鍵とは何か
私は今でも、今の会社をいつでも辞めようと思っている。
入社した初日に転職サイトへ登録したほどだ。
それほどまでに、思い描いていた仕事と目の前の仕事にはギャップがあった。
無駄に見える会議。
複雑な承認手続き。
大量の資料。
古くさい慣習。
正直に言えば、がっかりした。
だから最初は、いつ辞めてもいいと思っていた。
ただ、その代わりに一つだけ決めたことがあった。
どうせ長くいるつもりがないのなら、この会社を丸裸にしてやろう。
そんな気持ちだった。
スパイのように観察して、盗めるものは全部盗んでやろう。
そう考えた。
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## そこで気づいたこと
最初は意味がわからなかった。
なぜこんな面倒なことをするのだろう。
なぜこんな非効率なことを続けるのだろう。
そう思うことばかりだった。
だが、見続けているうちに気づいた。
そこには理由があった。
大きな会社は長い歴史の中で何度も失敗している。
失敗して、改善して、また失敗して、改善してきた。
その結果として仕組みが残っていた。
それは効率を追求した結果ではなく、失敗を防ぐための知恵だった。
まるで何十年も継ぎ足された秘伝のタレのように。
一見すると無駄に見えるものの中に、多くの失敗の歴史が詰まっていた。
もちろん、過度に失敗を防ぐ仕組みが多いのも真実。この辺はまた番外編でも書くことにする。
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## 仕事は点ではない
新人の頃は、目の前の仕事がつまらなく見える。
コピー。
データ入力。
資料修正。
メール送信。
確認作業。
どれも単純作業に見える。
しかし仕事は点ではない。
必ず前後の仕事が存在する。
その先には顧客がいる。
会社がいる。
利益がある。
社会がある。
目の前の仕事は、一連の流れの一部なのだ。
だから私は常に考えるようにしていた。
この仕事は何のために存在するのか。
誰を助けているのか。
何を防いでいるのか。
何を実現しようとしているのか。
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## 洞察する癖をつける
大事なのは作業をこなすことではない。
意味を洞察することだ。
求められていることは何か。
逆に、してはいけないことは何か。
この仕事の本当の目的は何か。
それを考え続ける。
すると不思議なことが起きる。
少しずつ、期待されていることが見えるようになる。
言われなくても先回りできるようになる。
失敗しそうなポイントが見えるようになる。
仕事を「作業」として見ている人と、「仕組み」として見ている人では、同じ一年でも得られる経験値が全く違う。
何より怒られないか、褒められるかななどの評価を気にしなくなる。これは人生における心の揺らぎの中でいらない揺らぎ。
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## 火力の差はここで生まれる
若いうちは能力差より姿勢の差の方が大きい。姿勢の差が能力の差につながると言っても良い。
今の仕事への向き合い方。
仕事を見る角度。
意味を探そうとする姿勢。
その小さな差が積み重なり、数年後には大きな差になる。
火力とは、才能だけで決まるものではない。
目の前の仕事から何を学び取るかで決まる。
ちなみに、才能は存在すると思う。ただ、積み重ねだことで得られるセンスは才能とは違う、芯の強さがある。
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## 火の鍵Ⅰ
目の前の仕事の意味を洞察せよ。
どんな仕事にも理由がある。
どんな仕組みにも背景がある。
その理由を探し続ける人は成長する。
その積み重ねが経験になり、能力になり、信頼になる。
そしていつか、揺るがない自分をつくる。
火の鍵の第一歩は、目の前の仕事をただの作業で終わらせないことだ。
火の鍵Ⅰで伝えたかったことは一つだけ。
目の前の仕事の意味を考えること。
「なぜこの仕事が存在するのか」
「誰のために行われているのか」
「何を防ぎ、何を実現しようとしているのか」
そんな問いを持ちながら仕事に向き合うだけで、得られる経験値は大きく変わる。
その積み重ねが経験になり、能力になり、選択肢になる。
そして選択肢は自由になる。
だが、自由を得るにはまだ足りない。
仕事の意味が見えるだけでは、組織の中で大きな価値は生み出せないからだ。
次に必要なのは、相手が本当に求めていることを理解する力。
言われたことをやるだけではなく、期待されていることを読み取り、その少し先を返す力だ。
火の鍵Ⅱでは、「期待を超える」について書こうと思う。
