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「英語教育」と「教育の英語化」について思うことーNY生活者の視点からー

過去、米英国が世界で覇権を握ったことで、今では世界標準語として話される英語

我々日本人も中学あるいは小学校の頃から英語教育を受けますが、実際に会話をする場面で上手く話せる人は少ないのが現状です。

今回は、社会部部長さんのYoutube動画も取り入れつつ、

実際にアメリカ、ニューヨークで29歳から生活を始めた自分の視点で日本の英語教育について語っていきたいと思います。

なお、社会部部長さんのYoutube動画は、どれも根拠となる事柄・資料に基づいてご本人の考察を交えて話される動画になっております。

とても気に入っているチャンネルですので、興味がある方はぜひご覧になってください。


日本人は本当に英語が下手か?

一部、社会部部長の動画をもとに話していきます。

動画のテーマは、大学の授業の英語化に対する問題提起ですが、各国の英語能力についても触れています。


さて、そもそもの問題提起を、「本当に日本人は英語が下手か?」というところから始めたいと思います。

これは、社会部部長の動画に上がっているデータと彼の主張に基づくと、「下手ではあるかもしれないが、国民全員のレベルに差はない」という結論に落ち着くようです。

そもそものデータの元は、寺沢拓敬「日本人と英語の社会学」より。


一見、他のアジア圏の人々の方が英語が話せるようなイメージがあります。
例えば、シンガポールやマレーシア、中国、台湾、韓国など。

後でも触れますが、文法の違いは英語を話す上でかなり重要です。

これらのアジア圏の国々には、確かに英語を話せる人は一定数存在するようですが、それらの人々は、データによると、ある程度所得がある人たち、あるいは教育上恵まれた側にいた人々なのだそうです。

つまり、国内における英語能力には大きな開きがあるということ。

話せる人は話せるが、話せない人は全く話せない。

一方で日本人は、話せる人こそ少ないが、一般にみんなある程度のレベルの英語はなんとなく理解できる


実際に、NYに暮らしていて思いますが、日本人の英語は下手な方だと思います。

他の国の人たちほどスムーズに話せないし、単語も出てきにくい。発音も日本訛りがけっこう強く、いわゆるネイティブ発音からは程遠い

そもそも、ネイティブではない言語を話している時点で上手いとか下手とか優劣をつけるべきものでもないと思いますが。

ちなみに、自分は高校2年生の時に英検準一級を取得しましたが、実際の英会話の現場ではそんなものかけらの役にも立っていません(笑)。

しかし、高校・大学の試験でも読解力という点で英語の文章を読む機会はありますので、読解力については悪くはないのではと思います。

だからこそ、科学の現場でも、論文は英語で書き・読まなければならないにも関わらず、それを解釈して素晴らしい研究成果を上げてきたわけですから、
一概に、世界的に見て英語力が低いというものでもないでしょう。

英会話能力を伸ばすには?

前の項では、日本人の英会話能力が高くないことをデータおよび肌感覚での感想を述べました。

では、全く伸びないことがあるのか?

そんなことはないですし、ある程度のレベルにまで会話力を伸ばすことは誰しも可能です。

そもそも、注意したいのが、日本語と英語の文法が全く異なること。

文法の点では、日本語と韓国語が同じだそうなので、韓国語の習得は比較的楽なのだとKazu Languageさんも述べていました。

しかし、これはどれくらい重要なのか?

自分も最近、趣味としてスペイン語を勉強していますが、会話という点で、圧倒的にスムーズに単語を並べられます。

それはどちらの言語も、主語・述語・目的語の順で文章が構成されるからです。

スペイン語は日本語と同じく主語を省略する傾向がありますが。

日本語は、主語・目的語・述語の順で基本的に成り立ちます。

日本語をスムーズに話すことに慣れている日本人にとって、まずこの文法の壁が立ちはだかることになります。

これはどんなに英語に慣れていても、咄嗟に口から出る単語の順番が思わず日本語順になってしまうこともしばしば。


次に立ちはだかるのは発音の壁です。

日本でもカタカナを使って外来語(英語以外の単語も含むので)を表現します。

しかし、その発音はネイティブの発音とは全く異なります。

このカタカナ発音に慣れてしまっている日本人にとって、同じ単語でも、ネイティブが発音する単語が全く違うように聞こえてしまって聞き取れない

ということが発生してしまうのです。

ヨーロッパ圏の国々は元々、ラテン語に由来する言語であり、用いる文字体系もおよそ似ています。日本語や中国語、韓国語と比べて。

つまり、彼らにとって
英語は発音的にも文法的にも比較的習得しやすい言語なのです。
もちろん、上手く話せない人も多くいます。

加えて、ヨーロッパ圏は陸続きで、それぞれの国同士の交流が少なからずあるため、多言語話者が多くなる傾向にあります。


話を戻しますが、では、どうやったら日本人は英語の話す能力を上げられるか?

身も蓋もない話ですが、これは

話す量・会話する量を増やすしかありません

読むだけ、書くだけでは会話にはなりません。

書くことで文法的なものをアウトプットはできますが、瞬発性が伴いません。

また、会話をするためには、聴く力も必要です。

先にも述べたように、英語の発音は日本人が思っているカタカナ発音とは大きく違います。その語句をきちんと聞き取れるようにしない限り、会話力は伸びることはないでしょう。


教育の英語化は解決策となりうるか?

これは社会部部長も述べていますが、自分も賛同します。

答えは、NOです。

そもそもここまで、日本人一般に英語での会話力が乏しいことを述べてきました。

大学で授業を行う先生たちは、確かに高等教育を受け、人によっては留学し、さらに現在も英語論文を読んでいる人たちですが、

先にも述べた通り、読解力と会話力は同じではありません。

読解力に優れた人でも、会話する場となるとほとんど話せない人を自分も多く見てきました。

そんな人が授業をしたところで結果は見えたようなものです。

しかも、そういった高等教育は深い理解が必要になります。

一つ目の項でも触れたように、多くの日本人がノーベル賞を受賞してこれた、他の分野でも素晴らしい功績を残してきた一つの要因は、

母語である日本語で現象を理解し、議論することで更なる理解を相互に深めることができたからに他なりません


実際に、ニューヨークで研究を行っている私ですが、英語でディスカッションするとなると、あまり頭に入ってくる印象がありません。
これは単に自分の英語能力の低さゆえだとも思いますが…。


これは、いくら英語がうまく話せる中国人といえど、です。英語ネイティブの人とのディスカッションは聞いている限りではあまり深いものではありません。

おそらくそれぞれが英語という共通言語で話しながらも、理解自体は母国語に落とし込んで行っているのではないかと思うのです。


海外で活躍する日本人研究者の多くは、日本で博士号を取得し、その後海外に出て研究を行う人が多いです。

彼ら・彼女らの理解の源泉は、やはり母国語である日本語であって、英語は単なるツールでしかないという印象を抱きます。


ここまで述べてきて、改めて、教育の英語化が正解となりうるか?の問いを考え直してみていただけたらと思います。


おわりに

グローバル化が一気に進み、アメリカとの接点が多い我々日本人にとって、英語を話せない・聞き取れないことはある種のコンプレックスとして

人々の心に根を生やしているものだと思います。

しかし、それは実は、西洋圏だけを見た際の感想に留まっているのではないでしょうか?

先にも述べたように、西洋圏は言語体系がそもそも似ています。彼らが比較的うまく話せるのは言語的特徴の上では確率の上では高くなります。


自分はこれまでにも同じ研究の現場で英語がうまく話せない中国人や韓国人を見てきました。

西洋圏の人であってもうまく話せない人は多くいます。


英語を使ってもっとグローバルに頑張りたいという人は会話面をもっと重点的に機会を増やして鍛えていけばいいと思いますし、

そうでない人は、今はAIが発達してきているので、それらを頼って、翻訳機能を使うなりしてコミュニケーションを取ればいいのではないかとも思います。


いずれにせよ、高等教育の現場で、慣れない英語を使って教育することはいい方向には向かわないでしょう。


ヘッダーは、UnsplashBrett Jordanが撮影した写真


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