CGアニメーターを目指すのに、最も必要なこと
CGアニメーターを目指すなら、何を勉強すればいいのか。
3DCGソフト。
モデリング。
リギング。
アニメーション。
エフェクト。
コンポジット。
最近ならHoudiniやUnreal Engine、AIなどもある。
CGを仕事にするために覚えることは、とにかく多い。
専門学校やスクールのカリキュラムを見ても、たくさんの技術やソフトが並んでいる。
ただ、20年以上この仕事をしてきて思う。
本当に最初に身につけるべきものは、そこなのだろうか。
ソフトを使えることと、CGを作れることは違う
Blenderを使える。
Mayaを使える。
リグを動かせる。
キーを打てる。
これらはもちろん必要だ。
でも、それだけでは映像は作れない。
アニメーターなら、
「このキャラクターをどう動かすか」
と考える前に、
「このカットで何を見せるのか」
を考える必要がある。
何をしているのか。
何を感じているのか。
どこを見せたいのか。
どこからどこへ動くのか。
どの瞬間が重要なのか。
カメラはなぜそこにあるのか。
こうしたことを考えたうえで、ようやく「どう動かすか」が決まってくる。
ソフトを操作することは、その後にある。
アニメーションは、キーを打つことではない
アニメーションを始めたばかりの頃は、どうしてもソフトの操作に意識が向く。
ポーズを作る。
キーを打つ。
グラフを触る。
タイミングを変える。
もちろん必要な作業だ。
でも、そこだけを覚えてもアニメーションは良くならない。
どのポーズを置くのか。
どこで動きを速くするのか。
どこで止めるのか。
どこに力を感じさせるのか。
どの瞬間を見せるのか。
アニメーションで考えているのは、結局こういうことだ。
ソフトの機能ではない。
「どう見せるか」という設計である。
修正する力
もう一つ、CGアニメーターにとって重要なものがある。
修正する力だ。
仕事では、最初から正解のテイクを作れるとは限らない。
むしろ、修正のほうが多い。
「もう少し速く」
「ここはもっと大きく」
「重量感が足りない」
「カメラを変えたい」
そんな指示が来る。
そこで、
「言われたから直す」
だけではなく、
なぜ違って見えたのかを考える。
タイミングの問題なのか。
ポーズの問題なのか。
カメラの問題なのか。
そもそも演出意図を理解できていなかったのか。
問題を切り分けて、次のテイクに反映する。
これを繰り返すことで、少しずつ修正する力が身についていく。
ただし、ここには一つ問題がある。
実務だけでは、この力を十分に身につけられるとは限らない。
修正する力とは
制作現場では、修正の指示が来ても、最後まで自分の判断で仕上げる機会が少ないことがある。
時間が来たら、そこで上げる。
工程が進めば、そこで区切られる。
別の人に引き継ぐ。
途中で終わる修正も多い。
それ自体は、制作を進めるうえで必要なことだ。
ただ、そうした環境では、
「なぜ違って見えたのか」
「別の方法ならどうなるのか」
「もう一度試したら、どこまで良くできるのか」
といったところまで、じっくり考える機会が少なくなることがある。
本当なら、
作る。
↓
見てもらう。
↓
違いを考える。
↓
修正する。
↓
また見てもらう。
↓
さらに修正する。
という経験を繰り返したい。
でも、実際の制作では、いつもそれができるとは限らない。
つまり、
「修正する仕事」と「修正力を身につける経験」は、必ずしも同じではない。
ここは、CGアニメーターを目指す人にとって意外と重要なところだと思う。
修正力は、修正回数だけでは決まらない
修正を一回経験したから、一つ成長する。
十回経験したから、十倍成長する。
そんな単純な話でもない。
大事なのは、
「何を直したのか」
だけではなく、
「なぜ直したのかを考えたか」
だと思う。
言われた通りにポーズを変える。
言われた通りにタイミングを変える。
それだけでも仕事としての修正はできる。
でも、
「なぜこのポーズでは弱く見えたのか」
「なぜこのタイミングでは重く見えないのか」
まで考える。
そこまでやって初めて、次に似た問題が出てきたときに、自分で判断できるようになる。
修正力とは、修正作業そのものではない。
修正の理由を理解し、それを次の判断に使えるようにする力だ。
作品を作るときにも大事になる
CG制作を学ぶとき、何か一つの作品を作る。
そこで大切なのは、完成した作品そのものだけではない。
自分で見返して、
「ここはもっと良くできる」
と気づくこと。
そして、そこで終わらせず、実際に修正する。
タイミングを変える。
ポーズを変える。
カメラを変える。
必要なら、最初から作り直す。
そして、もう一度見返す。
まだ違う。
また直す。
そうやって、自分が納得できるところまで修正を続ける。
「問題に気づく」だけではなく、「問題を見つけて、修正し、仕上げるところまでやり切る」。
この経験は、実務に入ったあとにも生きてくる。
実際の制作では、納期や工程の都合で、いつも最後まで自分の判断で修正できるとは限らない。
だからこそ、学ぶ段階で一度でも、
「自分で問題を見つけ、自分で修正し、最後まで仕上げる」
という経験をしておくことには意味がある。
ソフトはどうするのか
もちろん覚える。
仕事で使う以上、使えなければ困る。
ただ、順番を逆にしないことだと思う。
「3DCGソフトを覚えるために作品を作る」のではなく、
「作品を作るために3DCGソフトを覚える」。
こういう表現を作りたい。
だから、この機能を使う。
こういう動きを作りたい。
だから、この方法を試す。
そのほうが技術が目的につながる。
道具をたくさん知っていることより、必要な道具を選べることのほうが重要だ。
CGソフトは、これからも変わっていく
新しいソフトが出る。
新しい機能が追加される。
AIによって、今まで時間をかけていた作業が簡単になることもある。
だからこそ、
「このソフトが使える」
という能力だけでは、少しずつ差がつきにくくなる。
ソフトが変わっても、
「このカットなら、こう見せたほうがいい」
「ここは止めたほうが力が出る」
「このカメラなら空間が広く見える」
「この動きなら、ここを変えたほうが重量感が出る」
と考えられる人は残る。
使う道具が変わっても、考えることは変わらない。
CGアニメーターの仕事を目指すなら、まず覚えるべきなのはソフトの機能ではない。
何を作るのか。
どう見せるのか。
なぜそうするのか。
そして、作ったものをどう良くしていくのか。
その力だと思う。
ソフトを使える人ではなく、ソフトを使って映像を作れる人になる。
そのためには、作って、失敗して、考えて、直す。
その繰り返しが必要になる。
CGアニメーターとして仕事をするために最も必要なのは、「技術」そのものではない。
修正の理由を理解し、それを次の判断に使う。
その過程で身につく、「自分で考えて修正する力」。
その判断力こそが、仕事の質を左右する。
