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社労士の私が大学院でアートを学ぶ理由

4月から大学院生となりました。しかも、芸術大学。

アートやデザインについては、知識も経験もありませんが、「MFA(美術学修士)」の学位取得を目指し、京都芸術大学大学院でのチャレンジを始めます。

1年前には自分でも想像していなかったチャレンジとなりますが、なぜ人事分野の世界で生きてきた私が、今このような勉強を始めたのか、本格的に勉強が始まる前に、その理由を整理しておきたいと思います。



1. 「機能」の限界と、「記号」の時代

今の世の中、モノもサービスも、機能や利便性だけでは差がつかなくなってきています。 かつては「モノを作れば売れる時代」があり、その次は性能や品質といった「機能によって選ばれる時代」が長く続きました。しかし、モノに溢れて豊かになった現代では、選ばれる基準がさらにその先へと変化しています。

それが、「記号」としての価値です。

「それを持つことで、自分をどう表現できるか」  
「そのブランドの背景にあるストーリーに、自分の価値観が重なるか」

例えばAppleの製品を持つことが自分のクリエイティビティの表明になったり、テスラに乗ることが未来やテクノロジーへの支持になったり。あるいは、環境への姿勢を貫くパタゴニアを選ぶことで、自分の生き方を表現する。

今の私たちは、単なる「道具」を買っているのではなく、自分のアイデンティティを表現するための「記号」を選んでいるのだと感じます。



2. 組織もまた、「選ばれるための記号」になっていく

この「記号化」の流れは、私の本業である「人事・組織」の世界でも全く同じことが起きています。

少子高齢化が進み労働力の確保が困難になっている中、働く場所も、雇用形態も、時間も、驚くほど多様化しました。そして、企業が引き止めたい優秀な人ほど、より魅力を感じる組織に転職したり、自ら独立・起業をしていく傾向があるように感じます。

そのような中で、優秀な人に自社を選んでもらい、長く活躍してもらうためには、もはや初任給や年収といった「条件(機能)」を整えるだけでは限界があります。

商品やサービスと同じように、組織もまた一つの「記号」です。

「なぜ、自分はこの組織に所属しているのか」
「ここで働くことが、自分の誇りやアイデンティティの一部になっているか」

これからの会社には、数字や論理だけでは語れない、人を惹きつける「魅力」や「ストーリー」をデザインする力が不可欠です。だからこそ、私はアートやデザインの視点を学び、組織開発の新しい形を模索したいと考えました。



3. 大学院で何を学ぶのか?

ここでよく聞かれるのが、「美大で何を学ぶの? 油絵? それとも趣味の写真?」という質問です。実は、私が専攻するのは「学際デザイン」という領域です。

「学際」とは、複数の専門分野の境界を越えて、それらを結びつけることを意味します。

これまでのデザインは、色や形といった「モノ」を作るのが主流でした。しかし、今のデザインはもっと広い意味を持ちます。

体験などの「コト」を含む総合的なプロデュースもデザインの領域の一つとなってきています。複雑な社会課題やビジネスの現場に、アートの感性やデザインの思考を持ち込み、これまでにない解決策を導き出す。

いわば「異なる世界を繋ぎ、新しい価値を創造する力」です。

20年以上培ってきた「人事労務や組織開発」というビジネスの世界と、正解のない「アート」の世界。

この二つを学際的(横断的)に掛け合わせることで、これまでとは違う視点から「ビジネスや組織のあり方」を創造する。そのための感性、知識、思考法を研究する予定です。



4. まずは、真剣に学びに向き合いたい。

……と、ここまで仕事に結びつけた理由を散々書きましたが、最後にもう一つだけ、個人的な本音があります。

「純粋にアートやデザインの勉強をしてみたい」

実は私、高校受験のときに両親から「美術コース」のある高校への進学を勧められたことがありました。しかし当時は、恐らく自分に自信が持てなくて、結局は無難な「普通科」を選んでしまった過去があります。

以来30年以上、心のどこかにはずっと「アートを勉強してみたい」という思いが、モヤモヤと残っていたようです。

京都芸術大学は、全課程をWEBで学べることとから興味を持ち出願したところ、無事に入学できることとなりました。せっかくのチャレンジなので、久しぶりの学生生活と勉強に真剣に向き合いたいと考えています。

教授の先生方からも「大学院での勉強は大変で相当の覚悟が必要だ」と何度も説明を受けています。仕事も勉強も手を抜かず頑張りますので、応援して頂けると嬉しいです。

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