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【美大院日記 #03】MFA受講2ヶ月経過。「世界の解像度」が変わり、見えてきたもの。

みなさま、こんにちは。 前回の記事から、気づけば約1ヶ月が経ってしまいました。

「仕事が忙しかったから」と言い訳をしてしまえばそれまでなのですが、5月は、本業のコンサル業務の傍ら、京都芸術大学大学院(MFA)の複数のレポートやワークの提出期限が重なり、締切に追われる日々を過ごしていました。

病院の待ち時間のデザイン、日本のアニメの伝統化や東寺の考察、自分の志向を具現化するためのスケッチやスナップなどの演習ワーク、絵の具の素材研究……。普段のビジネスの現場ではまず使わない「脳の別の領域」をフル稼働させ、レポートやワークに必死に喰らいつく、怒涛の1ヶ月でした。

そして今、すべての提出を終えてどうなっているかというと……正直なところ、ちょっと燃え尽きています(笑)。

4月、5月と続いた緊張の糸がフッと緩み、ここ1週間は放心状態のような時間を過ごしていました。

しかし、緊張の糸が緩み立ち止まってみたことで、気づいたことがあります。 凄まじい密度だったこの2ヶ月を経て、僕が何気なく見ている「世界の解像度」が、いつの間にかガラリと変わっていたのです。

1. 「モノゴトを見る視点(OS)」のアップデート

この2ヶ月で何が変わったのか。一言で言えば、自分自身の「観察のOS」が書き換わったような感覚です。

5月に提出したレポートや演習では、受講生同士で徹底的に調べ、ディスカッションを重ねました。そのプロセスを経て、今まで何気なく通り過ぎていたものが、全く違う解像度で脳内に飛び込んでくるようになったのです。

例えば、5月から継続して研究している、私の事務所がある「神田須田町」でのフィールドワーク。 以前なら単なる「戦前からの建物がある古い街並み」として見ていた景色が、今は全く違って見えます。

「ここに明確な境界線があるな」
「ここが人の集まる『ノード(結節点)』だな」
「人の流れはこう回遊しているのか」

そんな都市デザイン的な視点が、街を歩いているだけで勝手に頭の中に立ち上がってくるのです。

また、レポートの題材として深く向き合った「日本のアニメ」も同様です。 これまでは単なるエンターテインメントとして消費していましたが、今は構造的な見方に変わりました。

海外のフルアニメーションとは異なり、日本の作品はあえてカット数を減らす「引き算の表現」をしていたり、立体的ではなくあえて「平面的な絵画(漫画の延長線上)」の表現を多用していたりすること。そして、その中で人間の細やかな「感情描写」に重きを置いて作られていること。

これらはすべて、課題に向き合い、仲間と議論しなければ気づけなかった視点です。自分の視点が少しずつではあるものの、確実に変わり始めている手応えがあります。

2. ぼんやり見えてきた「僕のデザインの方向性」

もう一つ、4月から続いている「自分のデザイン思考を探るワーク(学際デザイン演習)」を通じて、少しずつ、本当に少しずつですが輪郭が見えてきたものがあります。

自分が気になったものや違和感をスナップに収めたり、やってみたいイメージをスケッチに描いたりする中で、僕の中にまだ言語化しきれない「手触り感」「感情の結びつき」というキーワードがあることに気づきました。

僕が惹かれ、そしてこれからデザインしていきたい方向性。 それは、機能だけではない「感情の結びつき」であり、「人とデジタル(あるいは機械)の心地よい関係」ということが、おぼろげながら分かってきました。

急速な効率化やDXが進む現代だからこそ、デジタルという冷徹になりがちな仕組みを通じて、いかに「ちょっとした温かみ」や「手触り感」を感じられるようにするか。 人事の仕事を通じてずっと「組織」に向き合ってきた僕が、美大院という越境の地でこの問いに辿り着いたのは、不思議であり、どこか必然のようにも感じています。

3. おわりに:濃密な時間は、裏切らない

最初から覚悟はしていたので想定どおりですが、美大院での2ヶ月はそれなりにハードです。正直なところ、もっと学びたいことや追求したいことがあるのですが、とても時間が足りません。

それでも、身の回りにあるものの見方が変わったり、自分の創造力を磨いたりする学びは、想像していた以上に面白さがあると感じています。モヤモヤすることや上手くいかないことも多いのですが、それこそが「新しいことを学んでいる実感」にも繋がっています。

今週末は、日本デザイン学会の研究発表を同じクラスの仲間と聴講しに行く予定です。このような課外活動も、今の僕にとっては新鮮な楽しみのひとつです。

濃密な時間を過ごしていたせいか、振り返ってみて「まだたった2ヶ月しか経過していないこと」に驚きも感じていますが、この新しく手に入れた「世界の解像度」を磨きながら、このまま駆け抜けるつもりです。

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