営業の「面倒な作業」を全部AIに任せたら、月60時間が返ってきた話
こんにちは。kickflowでフィールドセールスをしている林佳浩です。
突然ですが、こんな経験はありませんか?
商談が終わって一息ついたら、もう次の商談の準備をしなければいけない時間になっていた
営業をやっていると「お客さんと話す時間」より「それ以外の作業」に追われている感覚、ありませんか。私はずっとそれに悩んでいました。
商談数が増えるほど、準備と記録の質が落ちていた
FSとして商談数が増えてくると、こんな悪循環が生まれました。
翌日の商談相手を調べる → 商談直前に慌てて調べる → 調査が表面的になりがち
議事録をHubSpotに残す → 商談後に記憶を辿りながら書く → 抜け漏れが出る
フォローアップメールを送る → 期限切れのタスクに翌朝気づく → 送るのが遅れる
HubSpotのプロパティを埋める → 業種・都道府県・競合製品など空欄だらけ → レポートが機能しない
1件の商談あたり、準備に30分、議事録整理に30分、フォロー作業に15分……気づけば1日2〜3時間を「商談の周辺作業」に費やしていました。
「もっとお客さんのことを考える時間に使いたい」
そう思いながら、AI活用を試み始めました。
やったこと:商談サイクル全体をAIで自動化する
試行錯誤を経てたどり着いたのは、商談の前から月次振り返りまで、10本の自動化タスクを組み合わせるという構成です。
使ったツールはこの4つ。
Claude(Cowork) — AIの頭脳。考えて、まとめて、書いてくれる
HubSpot — 商談・企業情報の一元管理
Circleback — 会議の自動文字起こし・要約
Slack / Gmail / esa — 情報の入出力
自動化タスクの全体像
【商談前】毎日16:45に動く「前日準備ボット」
平日16時45分になると、AIが勝手に動き出します。
翌営業日にある商談の相手先企業をウェブで調査し、「業種・上場有無・競合製品・利用中のワークフローツール・認知経路」などをまとめたサマリをHubSpotのDealメモに自動保存。さらに空欄になっているプロパティを調査結果から自動補完してくれます。
翌朝の私は、すでにHubSpotにメモが届いている状態でコーヒーを飲むだけ。
【商談中】Circlebackが議事録を作る
会議に参加しているだけで、Circlebackが発言をすべて文字起こし。商談後数分で「AI議事録」が生成されます。
設定しているのはこのフロー:
「林が会議に参加している」がトリガー → AI要約を自動生成 → Slackの専用チャンネルに投稿 → HubSpotにタスクを自動作成
「自分がやるべきこと」と「相手がやるべきこと」がタスクとして仕分けされるので、フォロー漏れが激減しました。
【商談後】フォローメールの下書きを自動生成
受信トレイを30分ごとに監視して、導入検討企業からの問い合わせメールを検知。社内のナレッジ(esa・HubSpot・過去議事録)を横断して、FS向けの返信下書きをGmailに自動保存します。
送信は自分で確認してから。でも「ゼロから書く」という一番しんどい作業が消えました。
【週次・月次】振り返りレポートも自動
毎週・毎月、商談の傾向や課題をAIがまとめてくれます。「今週何件商談したっけ?」と振り返る必要がなくなりました。
結果:月間40〜60時間が返ってきた
正直、ここまで効果が出るとは思っていませんでした。
1日あたりの削減時間の推計は2〜3時間。月換算で40〜60時間です。
それだけの時間が「お客さんのことを深く考える」ことや「提案の質を上げる」ことに使えるようになりました。
数字の変化より大きかったのは、「準備できていない」という焦りがなくなったこと。商談前にHubSpotを開くと、すでに調査メモが届いている。これだけで、心理的な余裕がぜんぜん違います。
チームへの展開:「自分だけの便利ツール」で終わらせない
自分用に作ったものが安定して動くようになったので、FS/PSチーム全員が使えるよう汎用化して社内公開しました。
誰がCoworkで実行しても、自分のGoogleカレンダーを自動参照して動作するように設計。セットアップガイドも書いて、エンジニアに頼まなくても自分でできる状態にしました。
AI活用って、一人でやっていてもすぐ「で、それって自分だけ得してるよね」という話になりがち。チーム全体に広げてはじめて意味があると思っています。
そもそも、なぜここまでできたのか
正直に言うと、こういった取り組みを思いっきりできているのは、kickflowに「AI 1st」というバリューがあるからだと思っています。
「AIをどんどん使っていこう」という文化が会社全体にあるので、「こんなこと試していいのかな」「どうせ変な目で見られるかも」みたいな躊躇が生まれにくい。新しい自動化を試したとき、Slackで共有するとすぐに「それ面白い、自分もやりたい」と反応がくる。そういう環境が、実験を続ける原動力になっています。
もしこのバリューがなかったら、「まあ手作業でいいか」と途中で諦めていたと思います。ありがたいし、純粋に楽しいです。
やってみてわかった3つのこと
① 「AIが使いやすい状態」にデータを整えることが先決
HubSpotのプロパティがバラバラな形式で入力されていると、AIがうまく読み取れません。AIに任せたいなら、まず「AIが処理しやすい形」に業務フローを整えることが大事でした。
② 小さく作って、少しずつ育てる
最初から完璧な自動化を目指すと詰まります。「商談前調査だけ」から始めて、少しずつ範囲を広げていきました。今も改善し続けています。
③ 時間削減より「思考の余白」が大きい
数値で見れば月60時間の削減ですが、本当の価値は「考える余裕が生まれる」ことだと感じています。準備作業に追われているとき、人は目の前のことに精一杯で、俯瞰した思考ができません。
おわりに
「AIで営業を自動化する」というと、なんか怖い感じがするかもしれません。でも実際にやっていることは、**「準備と記録という面倒な作業を代わりにやってもらう」**だけです。
お客さんと話すこと、課題を一緒に考えること、提案のストーリーを磨くこと——そういう「人じゃないとできないこと」に集中するために、AIを使っています。
同じように営業の「周辺作業」に悩んでいる方がいたら、ぜひ試してみてください。最初の一歩は思ったより小さいです。
kickflowは、稟議・申請・承認のワークフローをノーコードで作れるSaaSです。この記事で紹介した「申請内容のAI自動要約機能」なども、kickflowのプロダクト自体に搭載されています。気になった方はぜひ。
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