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1918年(大正7年)9月8日 本を買いに

9月8日 日曜日 雨

目には見えねど秋風に驚かされ、朝起き見れば鳥の声やかまし。
ようやく昼になるほどに雨ますます降り、風さえ加わりける。
大洞に行き、三千三君の書を見た。
思うことありと目的を決める
夜、代数の学び方及びつれづれ草を買いに行く。
されどつれづれ草のみありて他は無し。
これよりいよいよ灯火親しむべき時は来るなり。


古今和歌集の
「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風のおとにぞおどろかれぬる」(藤原敏行)
を意識して書いているようです。
昨日の日記で、歌(和歌)について先生に問われたけれど、答えられなかったと書いていました。すぐに和歌を勉強して日記に取り入れるところ、祖父の素直な性格が現れています。

「大洞三千三」君というのは、祖父の一級上に在学中の学生で、母によると遠縁かもしれないそうです。「みちぞう」と読みます(サインする時は3003ですね)。
調べてみたところ、慶應義塾大学法学部を卒業後、刑務官として日本各地で働かれていたようでした。

「灯火親しむ」とは、中国の古いことわざで、
「気候がさわやかで夜が長い秋は、灯火の下で読書するのがよい」
という意味です。
それにしても9月初頭で秋の気配とは。
気象庁のデータによると、1918年9月8日の高山市は、最高気温21.3℃、最低気温15.7℃でした。肌寒いくらいですね。

「代数の学び方」という本が書店に無かったようです。
こちらの本のことかなと思います。
藤森良蔵「代数學 學び方 考へ方と解き方」
写真は、国立国会図書館 次世代デジタルライブラリーより
1915年に刊行された版

定価60銭