「なんかイヤ」を話せる子は強い。子どもの"もやもや"を一緒に大切にする5つの関わり方
「なんかイヤ」
お子さんからこの言葉を聞いたこと、ありませんか。
「何がイヤなの?」と聞いても、「わかんない……」としか返ってこない。こっちだってモヤモヤしますよね。つい「そんなの気にしなくていいよ」と言いたくなる気持ち、よくわかります。
でも、ちょっとだけ立ち止まってみてください。
あの「なんかイヤ」には、実はとても大きな意味が隠れているんです。
あの"もやもや"って、いったい何なんだろう?
はっきり怒っているわけでもない。悲しいとも違う。でも、心の奥がざわざわする——それが「もやもや」です。
大人でもうまく言葉にできないこの感覚を、子どもが抱えているとしたら? 相当しんどいですよね。
ただ、ここでひとつ知っておいてほしいことがあります。
この"もやもや"は、子どもが自分自身を理解し始めるサインでもあるんです。
「なんか変だな」「納得いかないな」——こういう小さな引っかかりが、「自分はこう思う」「自分はこれが好き、これはイヤ」という感覚の出発点になっていきます。
つまり、もやもやは"困った感情"ではなく、"育ちの種"。
ここに蓋をしてしまうと、だんだん自分の気持ちがわからなくなったり、周りに合わせすぎて疲れてしまう子になりかねません。
もやもやと向き合える子って、どんな子?
こんな場面を想像してみてください。
友だちに「一緒にドッジボールしよう」と誘われた。本当は読書がしたかったけど、断れなかった。帰り道、なんだかモヤモヤする——。
このとき、「自分は本当は読書したかったんだな」と気づける子もいれば、もやもやを抱えたまま「まあいいや」と流してしまう子もいます。
前者のように、自分の気持ちに気づける子には、こんな力が少しずつ育っています。
心の中で自分と対話できる
「わからない」状態にじっと耐えられる
気持ちをなんとか言葉にしようとする
安心して話せる相手がいる
「この違和感、大事かも」と思える
「うちの子には難しそう……」と思いましたか?
大丈夫です。これ、もともと備わっている力ではなく、日々の関わりの中で少しずつ育っていくものなんです。
今日からできる5つの関わり方
1. 「そう感じたんだね」——まず、もやもやの存在を受け止める
子どもが「なんかイヤだった」と言ったとき。
「そんなことで?」「気にしすぎだよ」
——つい言ってしまいがちですよね。忙しい夕方、余裕がないときなんて特に。
でもこの一言が、子どもにとっては「自分の感覚は間違っているんだ」というメッセージになってしまうことがあります。
代わりに、こんなふうに声をかけてみてください。
「そう感じたんだね」
「その気持ち、大事だよ」
「まだうまく言えなくても大丈夫だよ」
たったこれだけで、子どもは「自分の気持ちと向き合っていいんだ」と感じられるようになります。受け止めてもらえた安心感が、もやもやを探る最初の一歩になるんです。
2. 「どのへんで変な感じがした?」——一緒に"なぜ"を探ってみる
「なんでモヤモヤしたの?」とストレートに聞いても、子どもは答えられないことがほとんどです。大人だって「なんで怒ってるの?」と聞かれたら、うまく説明できないことありますよね。
ポイントは、探偵になったつもりで一緒に手がかりを探すこと。
「どのあたりで変な感じがした?」
「そのとき、おなかのへん、どんなふうだった?」
「前にも似たようなこと、あったかな?」
こんなふうに聞いてみると、子どもは出来事と気持ちを少しずつ結びつけられるようになります。「あ、あのとき○○くんに順番抜かされたのがイヤだったのかも」と、ぼんやりしていたもやもやの輪郭がはっきりしてくる瞬間がきっとあるはずです。
答えが出なくても焦らなくて大丈夫。「一緒に考えてくれた」という体験そのものが、子どもの力になっています。
3. 言葉にできなければ、描いたり動いたりすればいい
「気持ちを言葉にしてごらん」——これ、大人が思っている以上にハードルが高いんです。
特に低学年のお子さんや、気持ちを表す言葉のストックがまだ少ない子にとっては、「言葉で説明して」と言われること自体がストレスになることも。
そんなときは、言葉以外の表現を使ってみてください。
「今のもやもやに色をつけるなら、何色?」
「気持ちを音にするなら、どんな感じ? ドンドン? シクシク?」
「このブロックで、今の気分の形をつくってみない?」
「えっ、そんなことで?」と思うかもしれません。でもこれが意外なほど効きます。
絵や音や形にすることで、心の中にあったものが"外"に出る。外に出ると、子ども自身が「あ、こういう感じだったのか」と気づけることがあるんです。言葉はそのあとからついてきます。
4. 答えを急がない——「わからない時間」を一緒に過ごす
ここが一番難しいところかもしれません。
子どもがモヤモヤしていると、大人はどうしても早くスッキリさせてあげたくなります。「こうすればよかったんじゃない?」「次からはこうしてごらん」と、つい解決策を出したくなりますよね。
でも、子どもにとって本当に必要なのは、正解をもらうことではなく、自分で感じて、考えて、「なるほど」にたどり着くまでの時間だったりします。
「まだはっきりしなくても、全然OK」
「この気持ち、今のあなたにとって大事な手がかりかもしれないね」
こう伝えるだけで、子どもは「考え続けていいんだ」と安心できます。
もやもやに正解はありません。考える時間を持てること、それ自体がもう立派な成長です。
5. 大人のもやもやも、話してみる
「お母さん(お父さん)だって迷うことあるんだよ」——この一言、実はものすごく大きな力を持っています。
大人がいつも正解を出して、迷いなく生きているように見えると、子どもは「迷ったり悩んだりするのはダメなことなんだ」と思ってしまいがちです。
だから、ときどきでいいので、自分のもやもやを言葉にしてみてください。
「お母さんも今日、ちょっとザワザワすることがあってね」
「まだ答えは出てないんだけど、考え続けてるんだ」
完璧じゃなくていい。悩んでいい。考え続けていい。
そんな空気が家庭にあると、子どもは安心して自分のもやもやと付き合えるようになっていきます。
もやもやは、"問い"のはじまり
ここまで読んでくださった方の中には、「自分も子どもの頃、もやもやを言葉にできなかったな」と思い出した方がいるかもしれません。
あの頃、誰かが「その気持ち、大事だよ」と言ってくれていたら——そう思うと、今わが子にできることが、少し見えてくる気がしませんか。
もやもやは不快で、不確かで、できれば避けたい感情です。 でも、「なんか引っかかるな」と感じられるのは、自分の心が動いている証拠。
そこから逃げずに「なんでだろう?」と考えられる子は、自分を理解する力、相手の気持ちを想像する力、壁にぶつかったときに別の道を見つける力——そういったものを、自分の中から自然と育てていけます。
もやもやは"厄介者"じゃありません。子どもが自分らしく生きていくための、最初の問いかけです。
お子さんが次に「なんかイヤ」と言ったとき。
「そっか、それ大事な気持ちかもね」と、隣に座って一緒に考えてみる。
今日から始められる、小さな一歩です。
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