異世界とは何か――異世界ではなく模造世界になっていないか
「異世界」という言葉は便利である。
しかし、その言葉を使った瞬間に、ある問題が発生する。
それは「何を基準に異なるのか」ということだ。
多くの異世界作品では、基準となっているものは地球である。
人間の寿命。
人間の身体能力。
人間の社会構造。
人間の歴史観。
そこへ魔法やモンスター、特殊能力を追加する。
しかし、それは本当に別世界なのだろうか。
それは別世界というより、地球を基盤にした模造世界ではないか。
もちろん、模造だから悪いという話ではない。
読者が理解しやすいという大きな利点がある。
しかし、本当の意味で世界を創造するならば、変えるべきなのは表面的な装飾ではない。
生命そのものの仕組みである。
例えば、人間が100年程度しか生きられない世界と、1000年生きる世界では、文明の形も、価値観も、人生の意味も変わる。
短い命では、世代交代によって知識を継承する。
長い命では、一人の存在が何千年もの経験を蓄積する。
そこでは「人間」という存在の定義そのものが変化する。
魔法があるから異世界なのではない。
見たことのない生物がいるから異世界なのでもない。
時間、生命、進化、精神、文明。
その根本構造が違うからこそ、世界は別物になる。
世界を作るということは、地球に新しい道具を置くことではない。
「なぜこの世界では、そうなるのか」
という根源から考えることだ。
異世界という言葉に頼るのではなく、世界そのものを構築する。
そこに、本当の創造がある。
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