【ピリカ文庫】アーヤと森のモフモフ(コぐるみ)

1
ある山のふもとに“ココナツ村”という小さな村がありました
ココナツ村の外れには薄暗い森がありました
村の人たちはその森にちかづくことはありません
なぜなら
森には大きなバケモノが住んでいたからです

2
それは夏の暑い日のことでした
ココナツ村にひとりの女の子がやってきました
麦わら帽がよく似合う女の子の名前は”アーヤ”
アーヤはお母さんと一緒におじいさんとおばあさんがいるこの村に遊びにきたのでした

3
「アーヤ、よくきてくれたね」
おじいさんとおばあさんはアーヤに会うと気持ちが優しくなって思わず笑顔になります
微笑むおじいさんとおばあさんから真っ白な綿毛がポッと舞いました
綿毛はフワフワとどこかへ向かって飛んでいくようです
綿毛がどこに向かっているのか気になったアーヤは綿毛のあとをおいかけていきました

4
「アーヤどこに行くの?ひとりであぶないわよ」
「だいじょうぶ!ちょっとだけ探検してくる!」
心配するお母さんにかまわずアーヤは綿毛についていきました
どうやら綿毛は森に向かっているようです
綿毛はひとつではありませんでした
いくつもの綿毛がつぎつぎと森へと飛んでいきます
まっくらな森の前で立ちどまったアーヤでしたが勇気をだして森の中へと進んでいきました

5
森の奥まで進むとそこには白くて毛むくじゃらの大きなバケモノが寝ていました
フワフワと舞う綿毛がバケモノの毛にふれた瞬間パッと消えてなくなりました
ふしぎそうにアーヤはバケモノにたずねました
「わたしはアーヤ、あなたはここでなにをしてるの?」
バケモノはギョロリとした大きな目でアーヤを見つめると「フア~ア」とあくびをしました
「僕はこの森に住むモフモフさ
毛むくじゃらの僕はこんなに暑い日は日陰で寝そべって“優しさの綿毛”がやってくるのを待っているのさ」

6
「やさしさのわたげ?」
キョトンとするアーヤにモフモフは言いました
「人間が優しい気持ちになった時に生まれる綿毛のことさ
僕のからだは優しさの綿毛でできているんだ」
そう言ってモフモフはゆっくりとおきあがると左手から赤い花を咲かせました
「これはさっきアーヤのおじいさんとおばあさんからもらった優しさの綿毛で咲いた花さ、君にあげるよ」
モフモフから赤い花をうけとったアーヤはとてもよろこびました

7
「わあ!ありがとうモフモフさん!お礼にこれをあげるね」
アーヤはかぶっていた麦わら帽をぬぐとモフモフにウインクをしました
モフモフはうなずくとアーヤをゆっくりと持ちあげました
「はいどうぞ、これで暑い日も平気だね」
大きなモフモフのあたまの上に小さな麦わら帽がのりました

8
「とっても似合うわ!」
「本当かい?ありがとう」
ずっとひとりぼっちだったモフモフはアーヤの優しさにうれしくなりました
「モフモフさん、一緒に遊ぼ!」
それからふたりはまるで昔からの友だちのように時間を忘れて遊びました
しばらくたったあと
森の外からアーヤを呼ぶ声が聞こえてきました

9
「アーヤどこにいるの?そろそろかえってらっしゃい」
心配したお母さんが探しにきたのでした
「ごめんねモフモフさん、わたしもうかえらないと」
アーヤの言葉にモフモフはさびしくなりましたがすぐに笑顔になって「じゃあね」と言いました
モフモフのさびしそうな笑顔を見たアーヤはこのままモフモフとはなれたくありませんでした

10
「そうだ!モフモフさんも一緒に村にいこうよ」
「村に僕が?でも僕は村人たちからきらわれているんだよ」
「だいじょうぶ!だってモフモフさんはアーヤの友だちだもん」
アーヤの笑顔を見るとモフモフは勇気がわいてきました
モフモフはアーヤと一緒に村へと向かうことにしました
「お母さーん!友だちのモフモフさんだよー!」
アーヤは森の外で待つお母さんに手をふりました

11
モフモフの手の中にいるアーヤを見たお母さんはおどろいて大きな声をあげました
「キャー!アーヤをはなして!」
その声にモフモフはあわててアーヤをおろしました
「だれか助けて!バケモノよ!」
お母さんがアーヤをだきしめてさけびました
さけび声を聞いて集まった村人たちはモフモフに向けて次々とこうげきを始めました
村人たちのはげしいこうげきをうけたモフモフは大切な麦わら帽をおとしたことにも
気づかないほど必死に身をまもりました

12
「やめて!モフモフさんはアーヤの友だちよ!」
アーヤは村人たちを必死で止めようとしました
けれどもお母さんにだきしめられてうごけません
「やめて!お願いやめて!やめてよ……」
アーヤは涙を流して声をあげましたがその声は村人たちやお母さんにはとどきません
アーヤの涙を見てモフモフはむねがズキズキといたみました
「森へかえろう……」
モフモフは森に向かってトボトボと歩きはじめました
途中で麦わら帽がおちていることに気がつきましたがモフモフが拾うことはありませんでした

13
「もう二度とくるなバケモノめ!」 ボワッ
「村のやくびょう神め!」 ボワッ
「ずっとひとりで森にいろ!」 ボワッ
森へ向かうモフモフのうしろから村人たちがひどい言葉をあびせます
その言葉と一緒に黒い煙がボワッとうかびました
たくさんの黒い煙は空へと舞いあがると大きな”モクモク”の雨雲になりました

14
ピカッ!ゴロゴロゴロ!ザーザー!
空が光りモクモクの黒い雲から雷がおちてたくさんの雨もふりだしました
雨はどんどんとはげしさを増してふりつづけました
あまりのはげしさに山頂の土や砂はくずれていきました
それはやがて大きな土砂となり村めがけていきおいよく流れていきました
村人たちが土砂くずれに気がついた時には
すでにふもとの森まで土砂は流れてきていました
土砂を止めるのはもう手おくれでした

15
「ああ、もうダメだ……」
村人のだれもがあきらめかけたその時でした
土砂くずれの前に白い大きなかべが立ちはだかったのです
それはモフモフでした
ズザザザー!ズザザザー!
モフモフの真っ白な毛はみるみるうちに茶色く染まっていきました
土砂をすいこんだ毛が
体からどんどんとはがれおちていきます
モフモフの体は次第に小さくなっていきました

16
やがて雨が止み土砂くずれがおさまったころそこにモフモフの姿はなく茶色に染まった毛がわずかにのこっているだけでした
「モフモフさーん!モフモフさーん!」
アーヤは必死でモフモフのなまえをよびました
けれどもへんじがかえってくることはありません
アーヤは足元におちていた麦わら帽に気がつきました
麦わら帽をひろったアーヤはわんわんと声をだして泣きました

17
大声で泣くアーヤを見てお母さんもそしておじいさんもおばあさんも涙を流しました
村人たちも村をすくってくれたモフモフにかんしゃをして涙を流しました
ポッ
アーヤから白い綿毛が舞いあがりました
ポッ ポッ ポッ
アーヤだけではありません
お母さんや村人たちからも真っ白な綿毛が舞いあがりました

18
たくさんの綿毛は森へ向かって飛んでいきます
森の中で綿毛は次々とかさなりあいやがてひとつの白い毛になりました
それはまるで小さなモフモフのようでした
アーヤは涙をふいて白い毛にちかづいていきました
アーヤが麦わら帽をそっと毛の上にのせるとそこから赤い花がすくすくと咲いたのです
アーヤは赤い花に優しくかたりかけました
「おかえりモフモフさん」
おしまい

作:コぐるみ
絵:着ぐるみ
文:コッシー
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ども!着ぐるみです!
みなさん、お読み頂きありがとうございました😊
文学フリマ東京40(2025年5月11日開催)
に出品予定の絵本を惜しげもなく公開してしまいました。
※本文および絵のすべてに関する著作権はコぐるみに帰属しており、無断での複製や他のメディアなどへの転載は厳しく禁じられています。ご理解とご協力をお願いします🙇♂️
いかがでしたでしょうか?
着ぐるみとコッシーの絵本は。
実際の絵本を手にとって見て頂いたら
また違うと思います!
是非文フリ東京で読んでみて下さい🥺🥹
良い子のみんな、東京ビックサイトで僕と握手!
ここからはおまけです。
🎉だん吉なお美のおまけコーナー!🎉
絵本の制作秘話については
いつも人様の制作秘話を聞くのが大好きなコッシーが、ここぞとばかりに自分の制作秘話を語ってくれると思います。
ですので僕は
少しのこぼれ話を。
今回絵本を作るにあたってイラストを何枚も描きました。
その中には絵本に載らなかったイラストもあるんです。
このまま僕のiPadに閉じ込めるのはかわいそうなので、ここで皆さんに見て頂こうかと思います。
ジャッキーチェンの映画のエンドロールで流れるNG集みたいでしょ。
僕アレ大好きです。
noteでしか見れないよー😏

お顔が見えないバージョン


ちいさいバージョン




なかなかいいでしょ?
ここで見てもらえて良かったです😊
絵本に使われたイラストも何度か描き直ししてます。
相棒コッシーと血で血を洗う争い
打ち合わせを繰り返してお互いのイメージをぶつけて、イラストや文章を直していきました。
だから物語に出てくる『モクモクさん』も何パターンか描きました。
なかなかOK出ませんでした😓
それがコレです
↓

「もっと怖くして欲しい」とコッシーに言われました。

ドラクエっぽい。

最終的にこれが採用されました。

ちょっと躍動感を意識しました。
以上!
おまけコーナーでした!😆
本番の絵本では少し修正が入るかもしれません。
文フリにいらっしゃる方とお会いできるのを楽しみにしています!
今度は人酔いしないぞ!オーッ( •̀ㅂ•́)و
相棒コッシーが書いてくれた記事はこちら!
貼り忘れてた😆
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サポートして頂けたら画材を買いたいです!