内緒のドーナツで満たされる
浮かび、近づき、香る
さらり、やわらかく、貼り付く
どこまでも続くなめらかなチョコレート
まだ5月なのに暑い日が続いている。
家のことをしたり、仕事に出かけたり、夫とドライブやカフェに出かけたり、田んぼの手伝いをしたり、自分と息子のお弁当作ったり、「これ見てこれ見て」と夫や息子から渡されたスマホの動画を見て笑ったり、本を読んだり、音楽聴きながらお風呂でゆっくりくつろいだり。
家族とともに日々は流れていく。
そして平和に過ごしている中に、たまに(時に連続して)やってくる嵐。
思春期&反抗期の息子は、時々行き場のない感情を強いパワーでぶつけてくる。いろいろな不安が大きくふくらむとこの世の終わりかのように感情が爆発する。とても激しい。そのパワーに向き合うとぐったり疲弊してしまう。向き合い方をかえりみたり、反省したりすることもしばしば。
夫のささいな言葉に、時々傷つく。やんわり気持ちを伝えることもあれば、強く言い返すこともあるし、あまりに腹が立つと、私は会話することをシャットダウンしてしまう。しばらく不穏な空気が流れるものの、黙り込んでることがおかしくなってきて、思わず吹き出してしまって、またいつも通りの空気に戻る。私もついちくりとトゲのあることを言ってしまう時がある。
毎日顔を合わせて、いいところも悪いところも、いい顔してる時も、だらけてる時も、ダメになってる時も、全部知っていて、言いたいことを言い合えるからこそ、本気で腹が立つ時もある。そして、たぶんそれはお互い様で、私の言動で腹を立てられていたり、うんざりされていることもあるはず。
そんな気持ちを、たぶん私は音楽を聴いたり、車を運転したり、家族と離れて働いたり、スーパーで買い物したり、すきま時間に本の中に入り込んだり、家で1人の時間がやってきた時にぼんやりしたり、眠気に負けてうとうとしたりして発散している。
「いやになる」とつい溢れそうになる時があるけど、きっとそう思ってるのは、家族の中で私だけじゃないし、困っていたり悩んでいる姿を見ると、こちらまで悲しくなるし、笑っていてほしいと思うから、時々うんざりしながらも、やっぱり1番大切なのは家族なのだと思う。
大切だとわかっていながらも、時々、ため息つきながら家を出て仕事へ向かう日があるし、1人でふらりと出かけたくなる時がある。そして、ちゃんと「ただいま」と帰ってくる。
今日は予定のない土曜日。
本を読んだりして過ごしていたら、夫の電話が鳴り、知り合いの人の小さな困りごとのために出かけて行った。
ふと訪れた息子と2人の時間。「ドーナツ食べたい」と息子が言うので、待ってましたとばかりに「じゃあ買いに行こう!」と即答。
いつものドーナツ屋さんでもよかったんだけど、ふいに訪れたひととき、前から行ってみたかったおいしそうなドーナツ屋さんへ行くことにした。
小さなかわいいドーナツ屋さん。カウンターに並べられたまるくてふかふかのドーナツ。私はシナモンドーナツ、息子はチョコのドーナツ。紙袋を抱えて家に帰り、お父さんが帰ってくる前に、と内緒でこっそり2人で食べた。ふかふか甘くておいしかった。ごめんね、えへへ、と思いながら。夫とはいつも通りで、喧嘩してなんていなかったけれど。
たまにはこんな特別な時間があるとうれしい。
きっと夫にも息子にも、こんな風にそれぞれの息抜きの時間があるんだと思う。
いつも穏やかにふんわりした空気で過ごせるのがいいけど、なかなかむずかしく、時にぶつかり、すーっと深呼吸出来ることをして満たしながら、また日々は流れていく。
