火災保険に加入した話。

火災保険の更新を忘れていた。
賃貸マンションに住んでいるので、火災保険は2年更新。入居からとっくに2年が経過して、更新のお願いハガキが来ていた。が、フルシカトした。先送りにしていた。

だから、しばらく火災保険には加入していなかった。保険屋の風上にも置けない。「あー、そろそろ入らないとなぁ」と、漠然と加入を考えていた。妻からも「火災保険入りなよ。家にいると、何かあったらと思うと少し不安だよ」と言われていた。そうだなぁ、なんて答えていた。

今から半年前にある若者の転職を支援した。
営業未経験だが、営業がやりたいと言う20代前半の男性。結婚を考えている恋人がいて、転職して同棲を始めたいらしい。困ってる人が目の前にいたら、出来るだけ助けてあげたいし、自分の能力が役に立つなら、と思って転職のやり方から面接の受け方まで全部教えた。転職エージェントも真っ青な支援だったと思う。ドラえもんとのび太くんの関係みたいな。

「なんでこんなに親切にしてくれるんですか?」と聞かれたけど「理由はないよ」と答えた気がする。かなりキリッと答えた、はず。

彼の元からの素養もあって、転職は成功した。
損害保険の営業の仕事に就くことが出来た。同棲も始めることが出来たらしい。とても感謝してくれて、私としては嬉しかったけど、これは本当に彼のためになってるのかな、という気持ちもあった。そうは思っても、目の前で喜んでくれてるから、良しとした。

さて、話は冒頭に戻る。
私は火災保険の更新を忘れていた。
というか先送りにしていた。

転職を支援した彼は、まだ営業活動をスタートしたばかりで、契約が取れていないそうだ。そんな彼と先日ランチをする機会があった。札幌市内のカレー屋さんだ。

「仕事はどう?営業は結構大変じゃない?」
と聞くと

「そうですね。今は研修で覚えることが沢山あって、その中で営業活動しないとならないので、大変ですね」

やっぱり大変そうだ。
未経験だし20代前半だしなぁ、と思って、カレーを食べながら話す。お昼ど真ん中の時間を避けたので店内には私たちを含めても4人くらいしかいない。

「商品はどんなものを扱えるんだっけ?」

「自動車保険とか、火災保険とかですね。一部、医療保険だとかも扱えます」

「そうなんだ…火災保険かぁ…ん?待てよ?」

カレーを食べている私のスプーンが止まる。


そうだ!火災保険!入ってないんだ!!!
ちょうどいいじゃん!


「ちょっと、○○くん!俺、火災保険入ってないわ!入りたいんだけど、今度教えて!」

「え!いいんですか!」

「いいも何もないよ!だって俺、火災保険入ってないんだもん!第一号契約者になるかもしれないね!」

というわけで、後日、火災保険の詳しい話を聞くことにした。賃貸契約書を確認して、任意の火災保険を契約してもいいことはチェック済みだ。


で、即契約した。


契約当日、彼はこんなに早く契約に至るとは思っていなかったらしい。どんな話をしようか沢山準備して、資料も用意してくれていた。勉強したばかりの知識だ。手前味噌だけど、営業スキル自体は拙いものだった。けど、たくさん教えてくれた。

「どんな話をしようか、昨日練習したんです」

そう言われると弱い。どんな風に練習したのか想像も出来た。とにかく一生懸命だった。「昨日練習したんです」と言っちゃうあたり、ダメダメだ。けど愛しさがあった。だから言った。

「なんだかすごく愛しさ感じるなぁ」

彼はまだ始まったばかり。これから色々と学んでいく。営業スキル、コミュニケーションスキル、やり切る力、思いやり、だとかそのあたり。マジで頑張ってほしい。

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