文学フリマが開催される東札幌という街について
今週末に「文学フリマ」が札幌で開催される。
というから札幌市民である私として「はて札幌のどこで開催されるのだろう」と調べてみれば「札幌コンベンションセンター」だと言うじゃないか。まったく馴染みがない!
「札幌コンベンションセンター」と聞けば、イベントやフォーラムが開催される場所、との印象があるにはあるのだが、札幌市民の中にはここに一度も行かずに人生を終えるという人もおそらくいる、だろうと断言できるほど市民に馴染みがない。
しかしまあ、けだし「文学フリマ」であるからきっと、全国から文学者がここに集結するのだろう。
ならばこの周辺について書いておくことが札幌市民としての親切心というべきか、文学フリマがなんなのかいまだにわかっていない筆者、「どうせならこれだけは読んでほしい!」とこの記事を書くことにした。
さて、東札幌について書きたいのだった。
「文学フリマ札幌」の会場の最寄駅は地下鉄東西線「東札幌駅」だから。
駅から札幌コンベンションセンターまでは徒歩10分の距離である。札幌コンベンションセンターというションベンみたいな名前の施設についての詳細は書けないが「東札幌」という街のことならば書ける。
まず、ここは「ベッドタウン」である。
しかも中枢に近すぎるベッドタウン。札幌はコンパクトな街だから。
札幌市内中心部の大通駅までは地下鉄東西線で2駅またげば到達できる距離感。すばらしいことに東札幌駅には商業施設の「ラソラ」がある。ここにはユニクロ・GU・しまむら・セカスト、その他飲食店やら雑貨店やらがひしめく中規模の施設であるからして、東札幌の周辺住民はおそらくいや必ず通っている。また、駅にほぼ直結のかたちで古めかしいイオンも存在する。外壁が錆び付いていそうなと言えばイオンに失礼だが、とにかくここのイオンは古めかしい。
いい感じの飲屋街も存在する。東札幌駅は「南郷通」に面しており、ここはなかなかに雑多というか古き良きというか、中央分離帯のあるような動脈的な通りであるから、自然古くからある味わい深そうな居酒屋が数軒立ち並んでいる。
文学フリマの参加者はもしかすると夜、この東札幌周辺の飲食店に行くかもしれないが、行かなくていい。
だったら地下鉄に乗り「大通」もしくは「すすきの」におこしいただきたい。東札幌は地元民が行く場所なのであって、そんなところに観光客というか文学者が来てしまったら場違いも場違い、みんなジンギスカンとビールと明日の暮らしやら税金やらの話ばかりで誰とも話が通じないだろうし、エッセイや物語になるような事件・人間観察もない。ない。
仮にこの文章を本当に「文学フリマ札幌」にお越しになる方が読んだとする。変な気を起こして「筆者の逆をいってやろう」とか「地元民が集まる場所こそ」と思わず、ぜひ「大通駅」まで来てほしい。
たとえば札幌在住の友人に「どこに住んでるの?」と聞いたとする。その人が「東札幌だよー」と答えた場合、私ならどう思うかというと「なかなか筋がいいね」と思う。上段に構えて。
なぜならここは札幌中心街に程近く、地下鉄のアクセスよし、商業施設あり、裏には古き良き住宅街にコメダ珈琲、一人暮らしにもいいところだが、どちらかというとファミリー層が住んでいる街、つまりは「なんか住みやすそう」というイメージが東札幌。
そういうわけであるから、正直なところ、先ほど書いた通り、文学者が好きそうな事件や事象が転がっている街ではない。これは断言する。東札幌には何もない。
古くから住んでいる人ならいいが、ここに新たに住み始めましたという人は、どこか普通の、だけど憧れを捨てきれない、でも結局は効率的に生きざるを得ない、地方の私立大学に通ってましたみたいな領域を出ない。千葉で言えば松戸や柏、神奈川なら相模原、兵庫なら明石。なんかそういう街なのだ。怒られそうだけど悪くは言ってない。
ていうか、誰かに怒られそうだとかそういうことに怯えているこの世の中? 書き手? どうなの? もっと思うままに書いちゃえばいいのに、別にそれで生活している身分でもあるまいし、どこの誰に気を遣っているのか。もっと毒々しいものが読みたい。そうは思わないですか? 思わないですか、そうですか。そうかぁ。
ちなみに、「AINZ&TULPE」という店は全国区だろうか? そうだという前提で話をするが、アインズを運営する「アインHD」の本社はこの東札幌に存在する。住宅街に突如として赤茶けた巨大な建物が出てくるが、それが本社だ。札幌コンベンションセンターの近くに所在している。
アインHDに関しては完全に蘊蓄を垂れたい私の悪癖がでたようなものだが。
つまり何が言いたいかというと、今週末「文学フリマ札幌」にブースを出す北海道外の方は、東札幌はただの通過点、兼会場としてのみ扱い、イベントが終わったのなら「東札幌で何か見つけよう」という気は起こさず、地下鉄東西線に乗って「大通駅」に行ってほしい。そこで打ち上げをするがいい。そして私が約8年を過ごした聖地「狸小路商店街」および札幌市民の聖地「すすきの」に繰り出してほしい。
ぜひ私がここで過去に書いてきた記事のうち「狸小路」を調べていただき、そこに行っていただき「おお、ここが狸小路かぁ」と感慨にふけっていただき、もしくはこの「札幌百随筆」を過去の分から調べていただき、「おお、ここが〜」と思っていただきたい。
ようこそ札幌、我が街札幌であります。
(了)
『札幌百随筆』(14/100)
