【ショートショート】カトウの過当なこだわり(774文字)
なぁ、ビトウくん。
さすがに無糖はないんじゃないかな。
君もビトウという名に生まれたんだから、ここは微糖を選ぶべきなんじゃないか?
僕はカトウだから、もちろん加糖を選んでいるよ。
いや、もし君がムトウくんだったら、どれを選んでも良いと思うんだよ。
「ムトウはやっぱり無糖なんだ!」
って言われるのも良いし、
「ムトウなのに微糖?!」
ってのも悪くない。
「ムトウなのに加糖?!」
も然りだ。
逆に、僕が無糖を選ぶのも、実はアリだと思うんだよね。
「カトウなのに無糖?!」
…どうだい? アリだろ?
「カトウなのに微糖?!」
…実は、これは、無い。分かるかい?
…そう。加糖の中に微糖があるからだよ。
だからさ、ビトウくん。
こと缶コーヒーに関しては、カトウの顔を立てて微糖を選んでくれないか?
…分かってくれてありがとう。
え? 「カトウさんなのに甘くない」って?
まぁ、「カトウたるもの、カトウを貫くべし」という家訓のもと、厳しく育てられてきたからね。
缶コーヒーやヨーグルトは加糖タイプ…しかも上等なものよりも下等なものを選んできた。もちろん勝負事は、常に「勝とう!」と思っているよ。
ビトウ家にはそういう“こだわり”って無いの?
買った株は高騰前の“微騰”くらいで売り抜けるとか、ヘッドライトよりも尾灯が好きとかさ…。
…あぁ、無いか…。
僕はね、布団は吹っ飛ぶべきだし、みかんはアルミ缶の上にあるべきだって思ってるんだよ。スーパー銭湯が好きな人の割合も数パーセントであってほしい。
だからこそ、もし僕が副操縦士になったら、服装重視な副操縦士であろうと思うし、正操縦士に昇格したら、清掃を重視する。それだけの覚悟がある。
…どうだい?
カトウだけに過当なこだわりだろ?
え? ただのダジャレ好きだろって?
しかも笑いのタイプも古い?
どうも失礼しました…。
(了)
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