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【ショートショート】パセリは焦り、セロリはケロり(1152文字)

「あぁ、もう、焦りが止まらない!」
パセリは今日も焦りまくっていた。

「僕なんて、どうせ添え物ポジション! 飾られて、残されて、使い回すワケにもいかないから捨てられて……」

その声を聞き、セロリはヒョロリと背伸びして、ケロりと笑いながら言う。
「なに言ってるんだ? お前がいなけりゃ、皿が締まらないだろ?」

パセリは焦り顔のまま言い返す。
「“彩り”って話でしょ? だから焦りが止まらないんだ。寿司とか弁当に入っている“バラン”って知ってる?」

セロリは、ジロリとパセリを見ながら答える。
「緑色でペラペラのプラスチックの仕切りみたいなヤツだろ?」

「そうだよ! あれは元々“葉蘭はらん”っていう植物だったけど、腐らないし便利だからって、ほとんどプラスチック製のバランになっちゃったんだよ!」

「そりゃ、波乱含みだな」
セロリがポロリとダジャレをこぼす。

「笑い事じゃない! このままじゃ、僕もプラスチックに取って代わられるかも……。何しろ僕は、『堂々と残しても怒られない野菜ランキング』の第1位なんだから」

「そのランキング、どこ調べだよ?」

「僕調べだよ。見てれば分かる。食べ物じゃなくて飾りだと思われてるんだ」

「でも、プラスチックになったら食べ物に散らせないだろ? 添えるだけじゃなくて、散らせるのもお前の魅力だ」

「散るのが魅力なんて……」

「なんだかんだ、日本人は“パッ”と散るのが大好きなんだよ。桜、花火、パセリが、日本の“散りもの御三家”って言うだろ?」
セロリはギョロリとした目で冗談めかす。

「そんな御三家、聞いたことないよ。大体、君はサラダでもスープでも存在感たっぷりで目立ってる。そんな君には、僕の気持ちは分からないだろ!」

そんなパセリの叫びに、セロリはコロリと表情を変え、真剣な顔になった。

「俺はクセが強くて、好きな人からは愛されるが、嫌いな人からはとことん嫌われるんだ……」
セロリがホロリとつぶやく。

「子どもなんか、いくら俺がトロリ、ドロリと煮込まれても、存在に気付いてギロリとにらむ。当然、ペロリと食べてはくれない」

セロリの手がソロリと伸びて、パセリの肩に置かれた。

「だから、俺はお前がうらやましい。彩り、栄養、登場回数。三拍子揃った香味野菜界のエースだよ」

「僕が、香味野菜のエース?」

「そうさ。香味の風味は人の興味を引き、調味されて賞味につながる。そんな香味野菜たちが加入を目指すユニットが、香味の花束“ブーケガルニ”だ。スタンダード用、肉用、魚用、どのユニットにもだいたいパセリは入ってる。これ、正味な話」

スジの通ったセロリの話に、パセリの悩みがパッと散った。

「お前の実力Show me! 焦った時にはCall me ! だぜ」

最後のセロリのセリフは、たまらなくクサかった。

しかし、さすが香味野菜。臭みはすぐに消えたという。

(了)


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