【70】至高の男⑧「菌活ボーイがゆく」
発酵の世界にハマるきっかけは、いつも小さなひと匙から🥄✨
こうじの魅力にはまった猫サラリーミャンの菌活実践記です。
「育て上げた醤油こうじを食べてしまうのが心苦しくて」の心境で菌との触れ合いの日々を送る。
さっちー師匠ににゃんだかんだ巻き込まれながら“菌友”づくりに励む。
文/菌活ボーイ
イラスト/ちぐ

(前回のお話:トラさんは究極のヨーグルトを放った)
雄にゃん先生がふっと笑った。
「勝負あったようだな」
わっ、と大歓声が巻き起こった。
「トラさん」「お兄ちゃん」「アニキ」
みんながトラさんの周りに駆け寄った。
「くぷぷぷ。まさか、俺様が負けるなんて」
ラオにゃんはがっくりとうなだれて、歩き去ろうとした。
「待って」
呼び止めたのはユキちゃんだった。
「素晴らしかったわ。ネバネバ菌も、あなたも」
ラオにゃんの背をぽんぽんとたたいた。
ラオにゃんはびっくりして、ユキちゃんを見つめた。
静かに肩に手を回し、抱き合って道場を出て行った。
みんなは、後ろ姿に惜しみない拍手を送った。
もちろん、トラさんにも高らかに。
「あいつは勝負に負けて、大切なものを得たようだな」
ラオにゃんが消えた戸口を見て、雄にゃん先生がほほ笑んだ。
「これこそ、先代が伝えたかった精神。よいか、菌道とは相手を打ち負かすものではない。お互いが切磋琢磨し、ともに高みに登るための手段なのだ。あいつも、そのうちに分かるだろう」
(続く)
