期間工ループは一生回らない。だから無期雇用派遣PEOの話をする
給料明細の手取り欄を見て、ため息だけで終わる夜があるか。
俺もそうだった。期間工で半年走って、満了金が振り込まれて、また次のメーカーへ。この繰り返しで、たしかに食えてはいた。
世間ではこれを「期間工ループ」と呼ぶ。期間工と失業保険を交互に回しながら、工場勤務を続けていく生き方だ。
目先の金だけ見れば、悪くない。でもな、このループにはちゃんと終わりがある。それも、自分で決めた終わりじゃなく、向こうから勝手にやってくる終わりだ。
今日はそのループの正体と、ループから降りるための現実的な一手として「PEO」という無期雇用派遣の働き方を、いいところも悪いところも全部ぶっちゃけて話す。
期間工ループは、時間を質に入れてるだけだ
先に言っておく。期間工ループそのものは、頭のいいやり方だと思う。
有期雇用のうまみだけを抜き取って、契約満了金と失業保険でつないでいく。仕組みとして破綻はしていない。
問題はそこじゃない。このループが回り続ける前提が「採用され続けること」一本でしか成り立っていないという点だ。
つまり、おまえの体と年齢が元気な間しか回らない。エンジンが止まった瞬間に詰む構造なんだよ。
30代後半から、書類で落ちる回数が静かに増える
募集要項に年齢の上限が書いていないことは多い。だが現場の温度感は別物だ。
俺の周りでも、35を過ぎたあたりから「今回は見送り」のメールが増えていったやつが何人もいた。
前の職場に、再入社を繰り返して50近くまで期間工を続けている人がいた。気のいい先輩だったよ。

でも、リーマンやコロナみたいな波が来たとき、真っ先に契約を切られるのはああいう立場の人だ。本人もそれを分かっていて、それでも次のループに乗るしかなかった。あの背中は、見ていて正直きつかったな。
ループの怖さは、キャリアが1ミリも積み上がらないことだ
期間工の仕事は、どこのメーカーへ行っても基本は単純作業の反復だ。
3年やっても5年やっても、履歴書に書けるスキルがほとんど残らない。これがループの一番タチの悪いところだと俺は思っている。
金は回っている。でも年齢だけが増えて、市場での価値は据え置きのまま。
稼げているように見えて、実は将来のリスクを後ろへ後ろへ蹴飛ばしているだけなんだ。気づいたときには、選べる札がごっそり減っている。
正社員になれって正論はわかる。でも直登用は宝くじに近い
じゃあどうするか。工場で長く食っていくなら、答えは単純で、正社員になるのが一番安定する。
雇用が切れない。昇給がある。退職金も社会的信用もついてくる。ここに異論はない。
引っかかるのは、その「正社員になるルート」のほうだ。
王道は期間工から直接雇用への登用だが、これを狙っている人間は山ほどいる。登用に積極的な一部のメーカーを除けば、現実はかなりの狭き門だと思っておいたほうがいい。

どのメーカーが登用に強いのか、その前提を整理したいなら、PEOと期間工を比べた元記事の解説はこちらを先に読んでおくと話が早い。
「いつか登用される」で何年も待つのが、一番危ない
登用試験に挑むこと自体は悪くない。挑戦する価値は確かにある。
ただ、保証のないものに自分の30代を丸ごと賭けるのは、賭け金がデカすぎる。
何年も期間工でがんばって、結局登用されないまま年齢だけが重なる。これが一番もったいないパターンだ。
だからこそ、登用を待つ以外の「もう一本のルート」を、頭の引き出しに入れておいてほしい。
そこで出てくるのが、無期雇用派遣の「PEO」という選択肢だ
PEOというのは、製造業向けの大手派遣会社グループの正社員になって、その立場のまま大手メーカーの工場で働く仕組みのことだ。

雇い主はメーカーじゃなく、派遣会社のほう。でも勤務先は期間工と同じ、あの自動車工場やその関連工場になる。
最大の価値は、契約満了でいきなり放り出されないことだ。
派遣先との契約が終わっても、派遣会社の正社員という身分はそのまま残る。だから次の勤務先を会社が手配してくれる。
期間工ループの「採用され続けないと詰む」という弱点を、ここで一気に潰せるわけだ。
PEOの本当の強みは、金じゃなく「クビにならない身分」だ
正社員だから、社会的信用がまるで違う。ローンや賃貸の審査で「契約社員」じゃなくなるのは、地味だがデカい。
40代でも採用されやすいのも特徴で、年齢の壁にビビらなくていい。これは期間工ループにはなかった安心感だ。

寮も、雑魚寝の集合寮じゃなく、風呂トイレ付きのワンルームが用意されるケースが多い。
夜勤明けに自分だけの部屋でシャワーを浴びられる、たったそれだけで人間らしさが戻ってくる感覚があった。「腐っても正社員」という立場が、暮らしのあちこちで効いてくるんだ。
でも金の話は正直にする。手取りは期間工より下がることがある
ここは盛らずに言う。収入だけで比べると、期間工のほうが上になりやすい。
求人票には「月収見込み29万円から」みたいな数字が並ぶが、ここにはカラクリがある。
たとえば寮費の5万円が一度給料に乗っかって、そこから天引きされる形が報告されている。
見かけの年収は60万円ぶん高く見えるが、手元に残る額は別の話だ。実際の手取りは、月24万円台に落ち着いたという声もある。
さらに、期間工の楽しみである満了金がPEOにはない。入社祝い金も、期間工が20万から50万のところ、PEOは10万円前後というケースが目立つ。
代わりに年2回のボーナスはあるが、同じ職場の派遣先正社員と比べると3分の1以下なんて指摘もある。

ここだけは夢を見ないほうがいい。
見落としがちな、3年異動と「5年ルール」の話
もう一つ、応募前に知っておけ。PEOは同じメーカーでずっと働けるわけじゃない。
派遣の仕組み上、だいたい3年をめどに勤務先が変わる前提がある。住み慣れた土地と職場を、また移ることになるかもしれない。
その異動のとき、空白期間が欠勤扱いになることもある。
実際、メーカー間を移ったタイミングで欠勤控除が7万5千円ほど引かれて、総支給が8万円台まで落ちた月の明細をさらしている人もいた。移動月の財布は本気で冷える、と覚えておけ。
ちなみに有期雇用には、労働契約法の「無期転換ルール(通算5年を超えると無期転換を申し込める)」というものがある。
期間工ループでこれを狙う手もあるが、契約の通算がリセットされる空白期間の置き方なんかで揉めやすい。制度を当てにするなら、自分で条文まで目を通しておけよ。
で、結局おまえはどっちを選ぶんだ
整理するぞ。短期で一気に稼いで抜けるつもりなら、満了金もある期間工が合っている。
これは間違いない。数年スパンで貯金を作る瞬発力なら、ループに分がある。
逆に、工場で長くやる腹をくくっていて、雇用の安定と正社員の身分がほしいなら、PEOは有力な一手になる。

「目先の手取り」を取るか、「切られない安心」を取るか。判断軸は、結局そこに尽きるんだ。
両方の働き方を数字ごと並べて比べたいなら、期間工ループとPEOを比較した元の記事はこちらにも目を通しておくといい。前提がきれいに整理されている。
まとめ
期間工ループは、賢いやり方だ。でも、一生は回らない。
体と年齢が元気な間だけ有効なチケットなんだと、忘れないでほしい。
将来の安定がほしいなら、進む道はだいたい2つだ。
期間工から直接雇用の正社員を狙うか、PEOで今すぐ正社員の身分を確保するか。前者は理想だが狭き門、後者は手取りでの割り切りが要る。どっちもメリットとデメリットが、ちょうど裏表になっている。
本当に大事なのは、ループに乗ったまま考えるのを後回しにしないことだ。
俺みたいに、気づいたら30代後半、なんてことになる前に、一度は立ち止まって自分で選んでほしい。PEOの仕組みをもっと詳しく見たい人は元記事をどうぞ。最後に決めるのは、おまえ自身だ。
