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ぱんくん と 点滴

獣医師の水越です

4月6日に愛犬 ぱんくん(13歳) が亡くなりました

タンパク漏出性腸症を発症し、8年くらいの闘病でした

その8年間、ステロイドを量を調整しながら飲み続け、食事療法を併用していました

最後はステロイドが効かなくなり、シクロスポリン、クロラムブシルという第2、第3の薬も効かずで亡くなってしまいました

最後の2〜3週間は、次の薬が効いてくれることを祈りながら、衰弱してしまわないように毎日静脈点滴をしていました

亡くなる数日前


タンパク漏出性腸症でアルブミンの数値が低い状態だと、皮下点滴をしても水分の吸収が悪く、浮腫んで逆効果になります

静脈点滴を行なっても、アルブミンがかなり低い状態であれば、血管から水分が漏れ出て浮腫んでしまいます

アルブミンが低いと浸透圧の関係で、血管内に水分を保持しにくくなります

そのため、血管内の水分不足により血圧が下がり、循環不全によって生命の維持が難しくなります

この場合は適切な点滴剤を選び、静脈から点滴しなければなりません

皮下点滴はアルブミンが低い患者さんには実施すべきではないということです

ちなみに、手術中に点滴をするのは麻酔の影響で血圧が下がることを最小限にするためです


静脈点滴が良くて皮下点滴がダメかというと、そうではありません

血管のルート確保が必要なく、短時間で実施できるというメリットは大きいです


慢性腎臓病の猫ちゃんにはなくてはならない治療法です

慢性腎臓病は腎機能が低下して、水のような薄い尿がたくさん出てしまいます

尿がたくさん出るので水を飲んで補おうとしますが、追いつかなくなると脱水します

そのために、病気がある程度進行してからは点滴がやめられなくなるのです


その他、嘔吐や下痢、その他の原因で脱水がひどい場合、入院せずに脱水を補うには皮下点滴はとても有効です(静脈点滴はゆっくり流す必要があり、時間をかけて行うので入院が必要です)

もちろん、嘔吐がなく、口から必要量の水分を摂れるのであれば、点滴をする必要はありません



ミモザ動物病院は必要な状況であれば、適切な方法で点滴を積極的に行います

点滴は悪、ただの延命処置、無駄な治療 などの誤解を解きたいので書きました

フィーカ と ぱんくん


ぱんくん の話に戻ります

完治が難しい病気と闘っていて、最期の時が近くなってしまった時、点滴するかどうか? いつまで続けるのか? という難しい選択を迫られます

ぱんくんにも迷いました

第3の薬が効く可能性は高くないけれど、可能性が無い訳ではなかったです

腸の病気なので下痢はしていましたが、薬の副作用はほぼ無く、亡くなる前の日まで少しだけ食べてくれていました

血圧が維持できず、点滴をしなければ低血圧で亡くなってしまいます

点滴が多いとすぐに浮腫みます

低血圧で死なせてしまうより、多少の浮腫みは仕方ないという考えと、第3の薬が効くことを祈って点滴を続けました

結局、その薬は効きませんでした



最期の瞬間を家族全員で見守ることが出来ました

寂しいし悲しいですが、あまり悔いはないです

小さい身体で最後まで頑張ったと思います

もう少し早く楽になりたかったかもしれないけれど、飼い主のわがままだったかもしれないけれど、これで良かったと思います


今回は以上です



獣医師 水越健之 の自己紹介の記事です

その①
少年時代から獣医師になるまでの生い立ちを綴りました


その②
いわゆる、自己紹介の記事です 


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