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【8/7】実質賃金6カ月プラスと消費7カ月マイナス 三つの統計が映す伝達経路の断絶を分解する

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今週発表された日本の三つの統計が、奇妙な断絶を描き出しました。6月の実質賃金は前年比プラス1.6%で6カ月連続のプラス、名目賃金の3%超は34年ぶりの5カ月連続です。一方、同じ6月の実質消費支出はマイナス3.3%と予想を4ポイント超下回り、7カ月連続の減少。そして景気動向指数の一致指数は118.2へ上昇し基調判断は改善の据え置きでしたが、内訳では卸売と投資のプラスが小売と耐久財のマイナスを打ち消す跛行的な構成でした。賃金は伸び、雇用は堅調、企業部門は改善しているのに、消費だけが減り続ける。この伝達経路の断絶を、四つの説明候補と日銀9月会合への含意まで含めて分解します。




三つの数字の同居

同じ6月の日本経済を測った三つの統計を並べます。

今週発表の6月分統計

  • 実質賃金 前年比+1.6%(6カ月連続プラス、8月5日発表)

  • 実質消費支出 前年比-3.3%(7カ月連続マイナス、8月7日発表)

  • 景気動向指数一致指数 118.2、基調判断は改善(8月7日公表)

賃金はプラス、消費はマイナス、景気全体は改善。教科書的には、賃金が伸びて雇用が堅調なら消費は増えるはずです。この断絶がどこで生じているのかを、各統計の内側に入って確認します。

賃金統計の中身 34年ぶりの持続力

厚生労働省が8月5日に発表した毎月勤労統計(6月速報、事業所規模5人以上)の主要数値です。

名目賃金(現金給与総額)

  • 実績 53万1,677円

  • 前年比 +3.4%(54カ月連続の増加)

  • 3%超の伸び 5カ月連続(1992年3月以来34年ぶり)

賃金の内訳

  • 所定内給与 27万9,189円、+3.4%(5月+3.0%から加速)

  • 所定外給与 +2.8%(5月と同率)

  • 特別給与(賞与等) +3.5%(5月改定値+7.4%)

実質賃金

  • 前年比 +1.6%(6カ月連続プラス)

  • 実質化に用いたCPI(持家の帰属家賃を除く総合) +1.9%(5月1.7%から上昇)

所定内給与の加速は、春闘の賃上げと昨年の最低賃金引き上げの波及が基調に定着しつつあることを示します。名目の伸びが物価上昇を1.6ポイント上回るという構図は、賃金と物価の好循環の賃金側の条件が満たされつつあることを意味します。

海外の評価は角度が割れました。ロイターは8月5日の記事で、日銀の追加利上げの論拠を支えると位置づけ、政府が7月の経済見通しで2027年度まで名目賃金年3.1%増を想定していることも併記しています。一方、新華社は同日、円安が輸入コストを押し上げる中、ガソリン等への政府対策がインフレを2%未満に抑えているから実質賃金がプラスを保てていると、補助金の役割を強調する角度で報じました。実質プラスが賃金の実力と政策効果の合成物であるという指摘は、この統計を読む上での重要な留保です。


家計調査の中身 予想を4ポイント超下回る

総務省が8月7日に発表した家計調査(6月分、二人以上世帯)の結果です。

実質消費支出

  • 前年比 -3.3%(市場予想+1.0%)

  • 連続減少 7カ月

  • 季調済前月比 -6.4%(予想-3.1%、前月+3.7%)

予想との乖離は前年比で4ポイント超、前月比では予想の倍以上の落ち込みです。前月がプラス3.7%と強かった反動を考慮しても、7カ月連続の前年比マイナスという持続性は単月のノイズでは説明できません。インベスティングライブは8月7日、賃金の購買力は伸びているのに消費者は財布を閉じ続けており、この分裂が9月の利上げを判断する日銀の視界を曇らせると総括しています。

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