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中堅バイオテック12社がMBAA設立:MFN薬価政策「存亡の危機」の背景と影響分析

トランプ政権が推進するMFN(最恵国待遇)薬価政策により、大手製薬16社が政府との価格引き下げ合意を締結する中、交渉から取り残された中堅バイオテック企業約12社が2026年2月11日、新たな業界団体「Midsized Biotech Alliance of America(MBAA)」を設立しました。本レポートでは、MFN政策の全体像、中堅企業が直面する構造的脆弱性、業界への長期的影響について、複数の海外専門メディアの報道を基に詳細に分析します。




1. MFN薬価政策の全体像

政策の法的根拠と目標

2025年5月12日、トランプ大統領は「Delivering Most-Favored-Nation Prescription Drug Pricing to American Patients」と題する大統領令に署名しました。この政策の核心は、米国の処方薬価格を他の先進国が支払う最低価格水準に合わせることです。

MFN価格の算定基準は以下の通りです。

  • OECD加盟国のうち、一人当たりGDPが米国の60%以上の国を参照対象とする

  • これらの国々における当該医薬品の最低価格をMFN価格として設定する

  • 対象はジェネリックやバイオシミラーとの競合がない単一供給源の医薬品

トランプ政権はこの政策により、薬価を30%から80%削減できると主張しています。実際、米国の処方薬価格は他の先進国と比較して約2.78倍、ブランド医薬品に限れば約3.22倍高いという調査結果があります。

TrumpRx.govの仕組み

MFN政策の実施手段として、政府は「TrumpRx.gov」という直接消費者向け(Direct-to-Consumer)プラットフォームを2026年2月に正式ローンチしました。このサイトの特徴は以下の通りです。

  • 有効な処方箋を持つ患者が、保険を介さずに製薬会社から直接医薬品を購入可能

  • 製薬会社の自社オンラインポータルへ患者を誘導する連邦プラットフォームとして機能

  • MFN価格での購入により、リスト価格から最大85%の割引を実現

注目すべきは、PhRMA(米国研究製薬工業協会)も対抗策として「AmericasMedicines.com」という独自の直接消費者向けポータルを2026年に立ち上げる計画を発表している点です。これは業界が政府主導のプラットフォームに対する自律性を確保しようとする動きと解釈できます。

IRA(インフレ削減法)との関係

MFN政策は、Biden政権下で成立したインフレ削減法(IRA)によるMedicare薬価交渉プログラムと並行して進行しています。

IRAによる交渉結果の実績は以下の通りです。

  • 2024年8月発表の第1弾10品目:リスト価格から38%〜79%の削減(2026年1月から適用開始)

  • 2025年11月発表の第2弾15品目:リスト価格から38%〜84%の削減(2027年1月から適用開始)

  • Medicare Part Dへの年間節約効果:第1弾で60億ドル、第2弾で120億ドルと推計

重要な点として、IRAの交渉対象に低分子医薬品が選定されるまでの期間は9年であるのに対し、生物学的製剤は13年となっています。この「ピルペナルティ」と呼ばれる格差についてTrump政権は廃止を支持しており、MFN政策との整合性を図る動きが見られます。

https://www.congress.gov/crs-product/LSB11319



2. 大手製薬との取引状況

合意企業の全体像

トランプ政権が2025年7月に書簡を送付した17社のうち、2026年2月時点で14社が合意に達しています。時系列で整理すると以下の通りです。

【第1弾:2025年9月〜11月】

  • Pfizer(2025年9月30日)

  • AstraZeneca(2025年10月10日)

  • EMD Serono

  • Eli Lilly(2025年11月6日)

  • Novo Nordisk(2025年11月6日)

【第2弾:2025年12月19日】

  • Amgen

  • Boehringer Ingelheim

  • Bristol Myers Squibb

  • Genentech(Roche米国部門)

  • Gilead Sciences

  • GSK

  • Merck

  • Novartis

  • Sanofi

【未合意・交渉中】

  • AbbVie

  • Johnson & Johnson

  • Regeneron

この構図から読み取れるのは、大手製薬企業が概ね政権の要求に応じている一方、一部の企業は依然として交渉を続けているという点です。未合意企業には、免疫疾患治療薬Humiraを持つAbbVieや、抗体医薬で強みを持つRegeneronが含まれており、製品特性による交渉難易度の差異が示唆されます。

合意の具体的内容

各社の合意内容には共通要素と個別要素があります。

【共通要素】

  • Medicaidプログラムへの全製品MFN価格適用

  • 新規発売医薬品へのMFN価格保証

  • TrumpRx.govを通じた直接消費者販売への参加

  • 外国での価格上昇分の米国への還元

【関税免除との連動】

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