お笑い芸人になれば人見知りは治るの?
おはようございます。松竹芸能所属、芸歴3年目のお笑い芸人酒井さっそくと申します。
私は大学時代を関西で過ごしていました。
その時はよく人見知りの子が、
「吉本入ったほうがええんちゃうか?」
とアドバイスされている光景を目にしたものです(笑)
そして実際お笑い芸人の養成所には、
人見知りを克服したいという理由で入所する人もいます。
ただ皆さんの中には
「お笑いを始めたくらいでは人見知りが治らないのでは?」
と疑問に思う人が多いでしょう。
プロの芸人として今まで実際に目にした事例も含め、疑問に答えていきます。
結論:人見知りは治る
正確には治るきっかけにはなるんじゃないかなぁって思います。
私自身芸人を始める前までは、
人から話しかけられないと会話ができない
飲み会怖い。絶対参加したくない
友達の作り方が分からない
という具合でしたが、お笑いの世界に入って下記くらいには改善しました。
自分から雑談できる。むしろしたい
飲み会に対して”嫌”という気持ちがない
相変わらず友達の作り方は分からない
なんとなくお笑いを始めたことで、他者への恐怖感は薄れています。劇的に人格が変わったということはないですが、「社会不適合者レベルの人見知り」から「ちょっと暗い奴」くらいにはなれた認識です。
芸人になることで人見知りが治る理由
次にお笑い芸人になることで、人見知りが治る理由について、私自身の見解を述べていきます。
理由①自己肯定感が上がる

まず人見知りにはいろんなタイプがあると思いますが、
ここでは一旦「人とコミュニケーションが取りたいが、会話が苦手なため思うような人づきあいができない人」としましょう。
(自分の世界を汚されたくなくて自ら関係を絶ってるタイプは除きます)
多分人見知りになる人は多かれ少なかれ、
集団の中に馴染めなかった経験があると思います。
自分の性格が人と違うことが原因なのかもしれないけど、
「また仲間外れにされたくない」という自己防衛から、まともな自分を取り繕おうとして上手くできない自己チューニングのズレが、スムーズなコミュニケーションを阻んでいるんだと思うんですよね。
そういう意味では芸人の環境っていうのは一般社会とは真逆で、
変わった性格の人ほど好まれます。
お笑いには、人(ニン)という文化があるからです。これは、ざっくり言うと”その人が言うから面白い笑い”みたいなことです。
つまり変わった人や一般的な感性からかけ離れた人ほど、芸人としてキャラクターが強いため、周囲から必要とされます。
実際お笑い界でネタが面白いと感じる人やいじられキャラで愛されている人は、過去学校や職場に溶け込めずいじめられていた経験がある人が多いです。
おそらく周囲に溶け込もうと無理していた人が、変わっている自分が求められる環境に身を置くことで、本当の自分を周囲にさらけ出すことが上手くなり、人見知り克服につながっているのではと考えています。
しかし、結局芸人の世界で求められても一般社会では通用しないのでは?
と思う人もいるでしょう。
これについても大丈夫です。
なぜなら、観ているお客さんは一般層だから。
確かに変わっている人がそのまま人前に立つだけでは笑いはおきません。
その変わっている部分をどうにか伝えようとブラッシュアップしていく作業を芸人は何度もします。この作業が一般社会でも生きるんですよね。
今まで人見知りの人は「どうにか周りに合わせよう」として無理していたわけだけど、「変わっている自分を誤解なく伝えよう」というマインドになることで、変に取り繕わず他者に魅力が伝わりやすいコミュニケーションが自然にできるようになっていきます。
理由②人前に立つ機会が増える

あと人の目線が苦手という人も多いと思います。
お笑い芸人の養成所では、何度も人前に立ちます。あらかじめ決まったことを言う場だけでなく、とりあえず何かやってみてみたいな雑なノリで上げられることも。
そういったことを経験する中でたくさん失敗します。(皆の前でスベったり、何もできなかったり)
ただ失敗する中で案外人前でやらかしても皆が笑ってくれたりフォローしてくれたり、何か大丈夫なんだなって思えてきます。
これが所謂”慣れ”。
世間では人前に立つ経験が充分にないため、大人になっても慣れない人が多いのが現状です。そういった意味では一度養成所に通っておくと、人の目線に緊張しなくなります。
こういったスキルも人見知り克服に役立っているのかなと思います。
理由③人から嫌われることに抵抗がなくなる

お笑い芸人としてライブに立っていくと、平気でアンケートに悪口が書かれます。時には表立ってつまらないと批判されることも。
最初こそ傷つきますが、次第になんとも思わなくなります。
いちいち気にしているようだったらたらこの先この人は大変なことになってしまうと、脳が防衛本能で「他人からの見られ方で傷つく」という回路をぶっ壊すんだと思います。
人見知りの根本って「他人に嫌われたくない」があると思うのですが、芸人を続けていけば皆「(全員に好かれるなんて無理だし)嫌われたっていいや」と考えるようになるので、日常生活でもあまり人に委縮しなくなります。
というかぶっちゃけ人見知りのままでもいい
ここまでお笑いが人見知り克服に役立つ理由を述べてきましたが、個人的に人見知りであることは、別に悪いことじゃないなって思っています。
私もお笑いを始めて人見知りがマシになった部類なのですが、
お笑いを始める前のほうが自分は面白かったなと思います。
世間と関わっていなかったことでナチュラルにズレたことを言えてたし、人見知りだったことで本や映画などに向き合えて、自分の世界の厚みがあったと思います。
人見知りの時って、人と話せない分何か自分にしかできないことに時間を注いで何とか自力で社会で生き残ろうとするエネルギーがあったのですが、今人と関われてることで変に堕落している自分がいます。
ぶっちゃけ人見知りを治すことで得たプラスもあればマイナスもあるので、結果プラマイゼロというか、人見知りは人間の欠点ではないと思います。
だからこの記事で言いたいことは、人見知りの人はお笑いに頼って克服すべきだ、ということではなく、
お笑い好きだけど人見知りの自分でも始めて大丈夫かな?って人に大丈夫だよって後押しです。
これだけは伝えたかったので最後補足でした。芸人への質問募集していますのでリクエストもお待ちしています。
著者紹介
酒井さっそく(28)
松竹芸能所属の芸人。日本脚本家連盟(本科修了)。20歳のとき、自身が脚本したラジオドラマ作品がNHK全国放送コンテストラジオドラマ部門第一位。その後脚本制作活動に従事。
大学卒業後は一般企業に就職したものの、25歳のとき芸人を志し、翌年松竹芸能所属。
現在は脚本家の傍らピン芸人として地下ライブに出演しています。相方募集中です。←見つかりました!
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