天神岬温泉 しおかぜ荘
福島県というと中通りも会津地方もいたるところに温泉が湧いていて、名だたる名湯も多く、昔から多くの人々を癒してきました。浜通りといえばいわき湯本温泉が有名ですが、それ以外の温泉というとあまり馴染みがないかもしれません。
茨城県から福島県にかけて、太平洋沿岸は湧出温度が25度に満たない「鉱泉」が点在しています。中には成分的にも珍しい鉱泉の沸くエリアもあり、僕が訪れた中だといわき市の吉野谷温泉がとても印象的でした。ストロンチウムやプロミンなどの珍しい成分を含む冷鉱泉は昔からリウマチに効くと評判ですが、ニュータウンのど真ん中にあるはずの鉱泉宿は森の緑に囲まれ、庭にはヤギが歩き、なんだか不思議な世界……。格安で宿泊できますので、気になる方はぜひどうぞ……。
東日本大震災の影響で残念ながら閉館してしまった鉱泉宿があるのも事実です。富岡町にある岩井戸温泉は福島第一原子力発電所事故の影響で警戒区域内になってしまったため、鉱泉宿は取り壊され、温泉地としての歴史は幕を閉じてしまいました。
楢葉町も事故の影響を大きく受けましたが、2015年に町の避難指示が解除され、2016年から天神岬温泉「しおかぜ荘」は日帰り温泉の運営を再開し、訪れた人々の心と体を癒しています。

データ
源泉名:新天神岬の湯
泉質:ナトリウムー塩化物泉
入浴料:700円
住所:福島県双葉郡楢葉町大字北田字上ノ原27番地の29
アクセス:JR常磐線竜田駅から徒歩30分
施設
天神岬スポーツ公園内に日帰り温泉施設があります。食堂や休憩所などを併設しており、町の名産品であるゆずや野菜などが売店で販売されていました。
内風呂にはジェット風呂や寝湯、サウナ、水風呂があり、スーパー銭湯感覚で楽しめます。特筆すべきはオーシャンビューの露天風呂でしょう。オーシャンビューと謳っていても湯舟に浸かると柵しか見えない温泉施設もありますが、ここは本物です。高台に位置しているので、肩まで温泉に浸かっていても雄大な太平洋の眺めが楽しめます。自分が訪れた時は露天風呂に壺湯がありましたが、露天風呂に寝湯がある浴場もあり、男女交代制となっています。
泉質
ナトリウムー塩化物泉ですが炭酸水素イオンも含まれており、ウーロン茶みたいな色のモール泉です。ほのかにアンモニア臭も漂います。ちょうど埼玉県東北部の百観音温泉や久喜和みの湯温泉のような泉質で、福島県内だとかなり珍しいと言えるでしょう。
メタホウ酸の含有がとても多いのも特徴的です。メタホウ酸は切り傷に良いと言われます。
温泉の湧出温度は38.1度なのでここは冷鉱泉ではありませんが、加温や循環ろ過は行っているようです。とはいえ、このお湯独特の香りは癖になりますし、何より太平洋を眺めながらぬるめのお湯にまったり入浴できるのはとてもありがたいです。
宿泊施設やカラオケ等も併設しており、一日中楽しむことができます。1992年にふるさと創生事業を使って掘り当てられ、人気を博しました。東日本大震災による営業中止もありましたが、久々に故郷へ戻ってこられた人々、被災地で作業に当たる人々、さまざまな人々がこの黄金の湯で体を癒してきました。
元旦には早朝から営業し、湯舟から初日の出を見ることができるそうです。雄大な太平洋を眺めながらの温泉入浴、楽しんでみませんか。
