ジャパンウォーズ14 三代目
【神武東征編】エピソード14 三代目
安芸国(今の広島県西部)にて、船団を整え、武具や食料などを調達した狭野尊(以下、サノ)一行は、再び海路を進んだ。
ここで、筋肉隆々の日臣命と息子の味日命、そして、サノの妃、興世姫が解説を始めた。
日臣「我々は、途中、江田島の切串に立ち寄っているじ。長谷川の河口にある丘陵地に宮を作り、しばらく滞在したと伝わっちょる。」







味日「じゃっどん、洪水に遭遇して、広島県府中町にある、多家神社に戻ったんや。」

興世「エピソード9で紹介した、多祁理宮といわれている、神社のことですね。」




日臣「補足説明かたじけないっちゃ。」
味日「ちなみに、多祁理宮は『古事記』にだけ記されている宮のことっちゃ。」
興世「されど、どうして江田島に立ち寄ったのでしょう?」
味日「江田島でも、水稲耕作教室をおこなったんやないですかね。」
日臣「その可能性は否めぬな。」
その後、一行は再び海路に出て、次は広島県呉市に向かったようである。
ここで、次兄の稲飯命と三兄の三毛入野命(以下、ミケ)が解説を始めた。
稲飯「呉市の天応にも立ち寄ったという伝承が残っているじ。」
ミケ「この地は、名前も天皇を由来として名付けられたそうやじ。」




さて、呉に着いた一行であったが、この時、里の者から、このような話を聞いた。
里の者「山に賊がはびこっていて、我が物顔で振る舞い、我々を苦しめとるんじゃ。」
サノ「けしからぬ輩じゃ。よし、我らが平らげようぞ!」
サノたちは船に乗り、討伐に向かった。
そのとき、一羽のカラスが舞い降り、先導を始めた。
よく見ると、カラスの足が三本ある。
三本足なのである。

サノはカラスに尋ねたかもしれない。
サノ「汝は何者じゃ? もしや、亀のようにしゃべれぬのか?」
カラス「・・・・・。」
カラスは無言で、唐突にフリップを出してきたかもしれない。
『本来の登場シーンではないので、セリフは控えさせていただきます。』
サノ「どういうことじゃ!? 本来とは如何なることぞ? しゃべれるのに、しゃべらぬのか!?」
再びカラスはフリップを出した。
『今回は特別出演で、ノーギャラなので、セリフは控えさせていただきます。』
サノ「全く意味が分からん!」
カラス・・・もとい八咫烏は、船に先立って賊の住む山で羽を休めた。
賊たちは、その美しさに恐れ慄き、サノたちと戦う気力を削がれ、降参したのだという。
日臣「呉市の清水にある亀山神社には、市内に八咫烏神社という摂社があるっちゃ。」











稲飯「賊がいた山は、高烏山と呼ばれ、現在も山中に、八咫烏神社の奥宮があるそうや。」



ミケ「地元の人々に守られているみたいやな。」
興世「ちなみに、なぜ奥宮と呼ばれているのかと申しますと、山中まで踏み入るのは大変だということで、昭和になって麓に下ろされたからとのことです。」
味日「補足説明かたじけないっちゃ。」
ここで、カラスが再びフリップを出してきた。
『八咫烏って、バラすな! この、馬鹿作者!』
変なカラスを無視して、天孫一行は旅を続けた。
その時、緊急事態が発生した。
南風を受けて、舵が折れてしまったのである。
急遽、修理することになり、一行は、二つの島に挟まれた海域に入り、浜辺に船を着けた。

ここで、椎根津彦(以下、シイネツ)が解説に加わった。
シイネツ「余談になるが、島と島との間の海域を瀬戸と呼ぶんやに。この瀬戸がたくさん有る内海ということで、瀬戸内海と呼ぶんや。」
日臣「我々は、修繕を施す作業場を確保するため、近隣の蒲(水辺に生える植物)を刈り取ったんや。このことから、二つの島は上蒲刈島、下蒲刈島と呼ばれるようになったんやじ。」


興世「ちなみに、上陸したのは、上蒲刈島の向浦とされておりまする。」

ミケ「両島に挟まれた瀬戸は、三之瀬と呼ばれるようになったそうやじ。」

味日「次に我々が立ち寄ったのが、大崎下島っちゃ。」

稲飯「この島に、大浜という地名があるんやが、ここが上陸地点とされちょる。元々『王浜』と命名されたものが、転訛したそうやじ。」
シイネツ「この島にも、しばらく滞在したようで、行宮(仮の御所)を建てた地が、大長と言われちょる。古くは『王朝』という表記だったそうやに。」
興世「この島の沖合は潮が速く、昭和の頃でも、フェリーが欠航したそうですよ。」
シイネツ「じゃが。危険な海域なんや。」

稲飯「では、我々も、厳しい潮流を避けるため、同島に立ち寄った可能性があるな。」
日臣「なお、この島にあるのが、宇津神社っちゃ。この神社の祭神は宇津彦命と言うんやじ。」







ミケ「何者や?」
シイネツ「芸予海峡を通過するに当たり、我々の水先案内を務めたという神様のことっちゃ。」
そのやり取りは、このようなものではなかったろうか・・・。
サノ「またまた初登場か! 汝は誰ぞ?」
宇津彦「宇津彦と申します。うっちゃん・・・って呼んでください。」
サノ「そうか・・・だが、断る! 汝を三代目と呼ぼう。」
宇津彦「三代目?」
サノ「じゃが。椎根津彦が初代水先案内人。この『しゃべれない亀』が二代目。そして、汝が三代目っちゃ。」
宇津彦「分かった! 僕は三代目として頑張るよ!」
シイネツ「頼むぞ! 三代目! 屋号をしっかり継承し、次代につなげてくれよ!」
二代目「ンア~」
稲飯「ちょっと待てい! 屋号って何ね? いつ、そんなもんが発生したんや?」
シイネツ「いや、いつって言われても・・・。今としか言いようが・・・。」
ミケ「あのう、素朴な疑問なんやが・・・。二代目の必要性って、有ったんやろか?」
シイネツ「えっ!?」
ミケ「最初から、宇津彦殿を呼んでおけば良かったんやないかと・・・。」
シイネツ「そうですね。ミケ様の気持ちも分かりますよ。ただ、いろいろ事情があって、うまく予定の調整ができなかったと申しますか、何と申しますか・・・。まあ、それで、一号にお願いしたというわけで・・・。」
その時、博学の天種子命が話に割り込んできた。
天種子「あの・・・。今、一号と申されましたか?」
シイネツ「えっ!? 言いましたよ。それが何か?」
天種子「と言うことは、二号もおるんですな?」
シイネツ「なっ!? な・・・なにゆえ、汝がそれを知っておる・・・。」
天種子「アホか! 一号がおったら、二号がおるんは、相場にあらしゃいますぞ! 仮面ライダーもエヴァンゲリヲンも、そうでっしゃろ?!」
シイネツ「二千年後のネタを出されても、うちには分かりませぬぞ!」
ミケ「天種子! エヴァンゲリヲンの場合は、一号やない! 初号機っちゃ!」
天種子「あっ!? そうやった! 我としたことが、不覚!」
サノ「まあ、良いではないか。いずれ、分かる日も来よう。」
稲飯「汝は、あまり気にならぬのか?」
サノ「兄上、気にしても仕方のないこと・・・。それよりも先に進むことが肝要と心得まする。」
稲飯「さすがは我が弟よ!」
こうして、二代目・・・もとい一号・・・もとい亀は帰っていった。

宇津彦という新たな水先案内人を迎え、一行は海の難所、芸予海峡を進んでいくのである。
つづく
