JW922 久自国から
【東征激戦編】エピソード63 久自国から
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦111年、皇紀771年(景行天皇41)。
東征をつづける、日本武尊(以下、タケル)一行は、久自国を訪れていた。

ケソミ「ちなみに、久自国は、二千年後の地名で言うと、茨城県の常陸太田市や大子町の辺りだがや。」

タケル(30)「おお! 見てみよ!」
ケソミ「どうしたんです? 小さな丘が有るだけですよ?」
タケル(30)「丘の形だ・・・。」
ケソミ「えっ?」
タケル(30)「まるで、鯨のようではないか・・・。」

オータン「こうして、皇子が『鯨のようだ』と言ったので・・・。」
タケル(30)「この国の名は『くじ』となったのだ。」
ルフィ「久自国が、誕生した瞬間でやんす!」
イゴット「ちょっと待てぇ! ほな、それまでは、何て呼んでたんや?」
ルフィ「そこは・・・ロマン?」
わかたけ「出たっ。ロマン!」
オクタン「その後、久慈の郡となりまするぞ。ちなみに、『常陸国風土記』に、書かれておりまする。」
タケル(30)「うむ。では、『長幡部の連の多弖』に会おうぞ。」
長広「ということで、やって参りましたぞ。長幡部神社にござりまする。鎮座地は、常陸太田市の幡町ですぞ。」








そこに、多弖が、やって来た。
多弖「お初にお目にかかりまする。我が『多弖』にござりまする。エピソード329以来の登場となりまする。」
タケル(30)「汝が、この地で、絁を織っておる者か?」
多弖「御意。」
武日「蝦夷(東北地方の人々)から、酷い目に遭っちょらんか?」
多弖「武日様・・・。そも、我らには、ヤマトも蝦夷も有りませぬ。頼まれた先に、絁を納めるだけのこと・・・。」
タケル(30)「されど、国、乱れていては、絁を運ぶ道が、由々しきことと相成るのではないか?」
多弖「御尤もに、ござりまする。我らが憎むは、蝦夷でも、ヤマトでも有りませぬ。この乱れ、『そのもの』にござりまする。」
武日「そのもの?」
多弖「御意。蚕を養うには、桑の葉が要り様となりまするが、桑が育つ地を巡り、国々が争うておりまする。昨日はヤマト、今日は蝦夷と・・・。仕入れ先には困りませぬが、納め先が『ころころ』変わり、振り回されておりまする。また、絁を運んでいる時に、奪われることも、しばしば・・・。」

タケル(30)「暮らしが平らかではないと・・・そういうことだな?」
多弖「御意。」
タケル(30)「民にとって、暮らしこそが全て・・・。俺は、世を平らかにする為、ここまで来たのだ。蝦夷には悪いが、この地は、ヤマトの地とさせてもらう。」
オータン「ということで、神を祀るのですね?」
タケル(30)「そうだ。七か所の地に、神世七代の神々を祀る。」
オータン「天地開闢の折に生まれた、七代の神々ですね?」
タケル(30)「そうだ。」
多弖「間坂の外、六か所に祀って、戦勝祈願したと伝わっておりまする。」
オクタン「分かっている地名は、間坂だけなのか?」
多弖「御意。間坂も、詳しい場所は、分かりもうさず・・・。」
ケソミ「その後、江戸時代になって、水戸藩主の徳川光圀が、神々を稲村神社に合祀したんだがや。」
オータン「ということで、二千年後は、常陸太田市天神林町の稲村神社に鎮座しておりまする。」





わかたけ「されど、稲村神社の祭神は、物部氏の始祖である、饒速日命になっておりまするぞ?」
オータン「わかたけ? 七代の神々も祀られておりまするよ?」
わかたけ「えっ?」
とにもかくにも、神社が建ったのであった。
つづく
