制度を増やす前に、支える人をどう守るのか
※これは、障害者グループホームを批判する記事ではありません。
実際に現場にいた立場と、社会福祉士を学ぶ立場の両方から、「支援の質を守るには何が必要か」を考えた記録です。
障害者グループホームの質をどう守るのか。
最近、そのことを改めて考えています。
これに関してはB型就労事業所なども含めて障害者関連事業所全体として同じ事を言えるのかも知れません。
昨今、ニュースで大きく取り上げられるような事業所の問題を見るたびに、開設基準や資格要件、研修、監査体制の見直しが必要だと言われます。
それはその通りだと思います。
「単なる書類ではなかった」
例えば障害者グループホームは、利用者さんにとって生活の場です。
だからこそ、誰でも簡単に始められてよいものではないし、一定の知識や経験、運営体制は必要です。
開設基準を上げること。
管理者やサービス管理責任者の要件を見直すこと。
研修や運営指導を強化すること。
どれも大事なことだと思います。

ただ、現場にいた立場として感じるのは、
「制度を増やすだけでは、現場は守れない」
ということです。
障害者事業所の運営と実地指導
以前、私は障害者グループホームの運営に関わっていました。
その中で、実地指導を経験しました。

当時の私は、未経験だったのもあり、正直なところ、分からないことだらけでした。
障害福祉の制度。
報酬算定。
加算の根拠。
個別支援計画。
モニタリング。
研修記録。
虐待防止。
身体拘束適正化。
非常災害対策。
今なら、それぞれがなぜ必要なのか、少しずつ分かります。
社会福祉士の勉強をしている今だからこそ、
「あれは単なる書類ではなかったのだ」
と思います。
記録は、行政に見せるためだけのものではありません。
加算のためだけでもありません。
利用者さんの生活を守るため。
職員を守るため。
支援の根拠を残すため。
何かあった時に、誰が、何を見て、どう判断したのかを確認するため。
そのためのものだったのだと思います。
でも現場では、そこまで理解して運用する余裕がないこともあります。
制度はある。
書式もある。
研修もある。
委員会もある。
計画もある。
でも、それを現場に落とし込み、職員に伝え、継続して運用できる人がいない。
ここが大きな問題なのではないかと思います。
資格者がいることと、現場を支えられることは同じではない
看護師や介護福祉士の資格があっても、障害福祉の視点を十分に理解しているとは限りません。
管理者がいることと、職員を育てられることも同じではありません。
サービス管理責任者が配置されていることと、利用者さんの生活を見て、支援の質を保てることも同じではありません。
書類上は体制がある。
でも、実際にその役割が機能しているか。
そこまで見なければ、本当の意味での質は守れないのだと思います。
共同生活援助について
共同生活援助(障がい者グループホーム)は、障がいのある方が地域で少人数で共同生活を送る福祉サービスです。世話人や生活支援員から食事の提供、入浴・排せつなどの介助、日常生活の相談などのサポートを受けながら自立を目指します。
「利用者さんの家で仕事をするということ」
以前、ある方から言われたことがあります。
「利用者さんのおうちの一室で、私たちは仕事をさせてもらっているんだよ」
当時の私は、まだ障害福祉のことを何も分かっていませんでした。
だからその言葉を聞いた時、驚きました。
でも考えてみれば、本当にその通りでした。
障害者グループホームは、職員にとっては職場かもしれません。
でも、利用者さんにとっては生活の場です。
私たち職員の家は、別の場所にあります。
でも利用者さんは、そこに帰ってきて、食べて、眠って、日々を過ごしている。
そこは、その人の家なのです。
自分の家で、
「これはダメ」
「あれはルールだから」
「食べ物はこうして」
「生活はこうして」
と言われ続けたら、誰だってストレスがかかると思います。
もちろん、共同生活である以上、必要なルールはあります。
安全を守るための支援も必要です。
でも、支援する側が「管理する場所」として見てしまうと、利用者さんの暮らしは窮屈になります。
支援とは、職員の都合で生活を整えることではなく、その人の暮らしをどう支えるかを考えることなのだと思います。
このあと、私自身が現場で感じた「管理と見守りの違い」「多職種連携」「役割が一人に集中する危うさ」、そして「制度を動かす人をどう守るのか」について考えていきます。
ここから先は
¥ 500
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費や将来の居場所カフェ運営に使わせていただきます。
