初台って、どこ?
「服部くんってどこに住んでるの?」
「初台です!」
「お〜、初台って…どのへんだっけ?」
「新宿の隣です!」
この会話をするようになってから、早くも3年半が経った。
大学を卒業するまでの22年間、仙台で生まれ育った自分にとって東京に住むことは人生の憧れの1つ。
1歳上の兄に影響されて洋服が好きになり、実家でPOPEYEやBRUTUSを読みふけっていた「シティーボーイになりたいボーイ」こと服部少年。
初台という町との出会いは突然だった。
上京して最初に住んだのは千葉県の浦安駅。
新卒の就職と同時に兄も東京に転勤することになり、親の勧めでルームシェアをすることになった。
よくよく考えたらまだ「京」にすらいなかった。
「浦安駅」とは言っても自分が住んだのはディズニーランドとは真逆の市川市寄り。
なんなら住所も市川市で、最寄り駅が東西線の浦安駅というだけだった。
なんだかんだで2年半ほど住んだが、兄の都合でルームシェアが突然解散することに。
1か月ぐらいのうちに引っ越し先を探さないといけなくなってしまった。
当時駆け出しの放送作家で稼ぎもほとんどなかった自分にとって、都内に住むことはあまり現実的ではなかった。
とはいえ、仕事場はほとんど都内。
芸人の家でラジオを録るために板橋に行ったり、
手伝っていたYouTubeの撮影をする為に和泉多摩川の野球場に行ったり、
FMの生放送スタッフとして半蔵門に行ったり。
固定の職場というものがない分、都内を駆け回って仕事をしていた。
賃貸情報サイトで都内の家賃が安い物件を見ては、ため息を吐く日々。
そんな時に偶然発見したのが今の家だった。
家の条件はそこそこ良く、今の自分でも頑張れば家賃ぐらいは払えそう。
「いや、初台ってどこだ…?」
ご多分に洩れず、初台という町自体を知らなかった服部青年。
物件の地図を見て驚愕した。
歩くのが好きな自分からすれば新宿は徒歩圏内。
POPEYEで何度も見たおしゃれタウンの幡ヶ谷、代々木上原も近い。
自転車に乗れば南は渋谷や中目黒、北は中野や高円寺にもすぐ行ける。
「なんっっじゃこの町は!!」
まだ内見にすら行っていなかったが、あまりの立地のちょうど良さにほぼ確定。
内見に行くと、日当たりの悪さこそすごかったが思ったより綺麗な家だった。
一人暮らしが初めてすぎて何も考えずに物件を決めた。
まさかこの家を更新することになるなんて、この時の服部青年は知る由もない。
それからあれよあれよと引っ越しの手続きが進み、あっという間に新生活スタート。
11月という変すぎる時期に一人暮らしが始まった。
まさかの落とし穴だったのが、内見の時には分かりきっていなかった日当たりの悪さ。
唯一の窓を開けても、そこにあるのは隣の一軒家。
正真正銘「日当たりゼロ」の物件だったのである。
今となっては気にしていないが、「日当たりの悪い部屋に住むとうつになりやすい」なんて話を引っ越し情報サイトで植え込まれていたあの頃。
一人暮らし2日目からめちゃくちゃ不安になったことを今でも覚えている。
それからというもの、自分の人生は初台という街を中心にたくさんのエピソードが生まれている。
個人経営のおしゃれなカフェやバーから昔ながらの精肉店、タバコ屋に和菓子屋まで。
優しさが宿る不動通りの商店街。

駅直結のオペラシティには、大体のものがある。
新宿に行けば何もかも揃うけど、最寄りの駅なんて「大体」で十分だ。
オペラは聴かないけど、アート展示は定期的に見に行っている。
雨が降り頻る中、板橋からシェアサイクルで駆け抜けた山手通り。
中野寄りの住宅街に突如現れる、ありとあらゆる桜が咲き誇る公園。
引越し早々Wi-Fiが通らず、仕事をする為に1週間連続で通った西新宿のルノアール。
友達の結婚式で使う動画を編集したり、転職のためのエントリーシートを書いたり、時には半べそかきながら夜食を食べたこともあった新宿三丁目の「珈琲貴族エジンバラ」。

カフェ、古着屋、レコード屋。
シティボーイに憧れていた服部の理想を全て叶えるスーパーおしゃれタウン、西原商店街。
仕事の作業をする為に行ったのに、仕事そっちのけで漫画を読みまくってしまった笹塚の「漫画と珈琲」。
今でもここで読み進めている漫画がある。買えと言われればそれまでだが、俺はあそこで読みたい。

Googleマップで見て興味本位で行ったら、今でも通うくらいお気に入りになった「Sunday Bake Shop」。
近所に住む後輩と外のベンチ席で朝ごはんを食べたり、季節に応じて変わるケーキを食べ比べたり。
自分の初台生活を語る上で欠かせない店だ。
去年熊本を旅行した時には以前Sundayでコーヒーを担当していた方と再会することもできた。
東京で知り合った人と地方で会うなんてことはそうそうない。

今の仕事に就いてから、上司のオススメで食べたクロワッサンに度肝を抜かれた「steppin'」。
クロワッサン以外も、毎日お店に並ぶラインナップ全てがおいしい。
お昼過ぎにお店に並ぶウフマヨを使ったサンドが最推し。
日替わりのお菓子が最近のお気に入りだ。
お店では店主の方がセレクトしたレコードがいつも流れている。
今や手に入れるのが難しいSAKEROCKのレコードが流れていた時はテンションが上がった。
京王新線沿いに来る用事がある人はぜひ立ち寄ってもらいたい。

…結局食べてばっかりでした。
ライフスタイルによって様々な街に足を伸ばすことができる街、初台。
今、この中途半端な時期に上京や引越しを考えているあなた。
そもそもそんな人はこのnoteを読んでいないかもしれないが、そこのあなただ。
もし住む街を悩んでいるなら、一度初台を選択肢に入れてみてほしい。
お酒を飲まないので飲み屋はほとんど知らないけど、案内します。
あ、日当たりは良いところにした方がいいですよ。
いつかこの街を出る時が来たらまた書きます。
