『スマホが子どもを壊す前に』 −Z世代の體と心の危機−
序章|Z世代の“劣化”とは何か?
私たちはいま、子どもたちの心と身体に起きている異変に、もっと敏感になるべき時期に来ているのかもしれません。とくに小学校高学年から中学生にかけての世代、いわゆる「Z世代」に属する子どもたちに見られる変化は、単なる“時代の流行”や“個性”として見過ごせるものではありません。
スマートフォンを長時間使用することで生じる「スマホ首」、急速に進む視力の低下、そしてなにより深刻なのが、無意識のうちに進行する“スマホ依存”です。多くの親や教育関係者が「気にはしているけれど、どうすることもできない」と感じているのではないでしょうか。
しかし、本当にそれで良いのでしょうか。
Z世代という言葉には、便利さや情報リテラシーを身につけた“デジタルネイティブ”という肯定的な意味合いも込められています。しかし、その裏では、デバイスとの過度な接触によって、本来育まれるべき感覚や思考力、そして身体の健やかな発達が大きく損なわれているという現実があります。
「最近の子は落ち着きがない」「言葉遣いが荒い」「やたらと情緒が不安定」──こうした声が教育現場や家庭内から聞こえてくるたびに、私は強い危機感を抱きます。もちろん、私の家も例外ではありません…
これは単に性格や教育の問題ではなく、現代の環境そのものが子どもたちの心身に与えている“構造的なストレス”の影響ではないかと考えているからです。
そしてもう一つ、見落としてはならないのが、動画コンテンツの無秩序な影響です。YouTubeやTikTokに代表されるショート動画には、制作者の意図や倫理観がほとんど問われることがなく、そこには「子どもの育ち」を守るモラルの介在がありません。露悪的な言葉遣い、極端な主張、過激な編集——これらを日常的に浴び続けている子どもたちの思考や言語が、健やかに育つはずがないのです。
「Z世代だから仕方ない」「うちの子に限って」は、もう通用しない時代に私たちは生きています。
これから数章にわたって、スマホがもたらす身体と心の影響について、科学的視点・身体的視点・社会的視点から掘り下げていきます。そのうえで、私たち大人ができる「守る知恵」について、一緒に考えていきたいと思います。
六三、 丸一日デジタルデバイスに触れない日を作れ。
— 續池均(kintsuzuike)@MTR Method Lab®︎ (@kintsuzuike) July 13, 2021
第1章|スマホ首と視力低下
―「姿勢」がすべてを狂わせる
私たち大人の身体でも、長時間スマートフォンを使用した後に「肩がこる」「目が疲れる」「頭が重い」といった不調を感じることは珍しくありません。ましてや、まだ成長過程にある子どもたちの身体にとっては、その負荷は想像以上に深刻です。
とくに顕著なのが、「スマホ首」と呼ばれる状態です。
スマホ首・PC首に要注意。
— 續池均(kintsuzuike)@MTR Method Lab®︎ (@kintsuzuike) March 21, 2025
首の正常な角度が0度のとき、頭の重さ(約5kg)は真っすぐ支えらる。 しかし、スマホを見るときのように60度まで首を前に傾けると、その負荷は約28kg。
これはちょうど、小学生ひとり分の体重を首で支えているようなもの。
その結果…
①背骨が変形し、姿勢が崩れる。… https://t.co/VmmGpFQEyd pic.twitter.com/U5jH45ySKL
スマホを覗き込むとき、子どもの首は前方へ傾き、自然な湾曲(生理的前弯)を失っていきます。本来であれば、首の骨(頸椎)はS字状のカーブを保ちながら、頭部の重さ(約5〜6kg)を効率よく支えています。しかし、前傾姿勢が続くとこのカーブが失われ、頸椎が真っ直ぐに固まり、重力の負荷をまともに受ける構造へと変化してしまいます。
その結果どうなるか──
首・肩・背中の筋肉が常に緊張したままとなり、血流が悪化します
脳に供給される酸素が減り、集中力や認知機能が低下します
交感神経優位となり、イライラしやすくなり、情緒も不安定になります
呼吸が浅くなり、副交感神経が働きにくくなって睡眠の質も低下します
つまり、姿勢の乱れは筋骨格の問題にとどまらず、神経系・循環系・ホルモンバランスにまで波及する全身の問題なのです。
さらに見逃せないのが視力の低下です。
ここから先は
在宅勤務が長かったことで、4人の子どもたちの「成長の現場」に立ち会う時間が増えました。 家庭では父として、現場では経営者兼研究者として。…
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