【プラトーという成長の伏線】 −サッカー選手だけでなく誰もが陥る停滞期−
序章|「成長しない時間」こそが、未来をつくる伏線である
多くの人が、「成長とは階段を登るように、常に上へ向かって進んでいくもの」と思いがちです。
特に、努力をしている最中や、目に見える成果を追いかけている時ほど、「停滞すること」や「結果が出ない時期」に対して不安や焦りを感じやすくなります。
ですが、実際の成長曲線はもっと複雑で、もっと人間的です。
まるで呼吸のように、吸っては吐き、伸びては止まり、進んでは立ち止まりながら、長い時間をかけて少しずつ育まれていくもの。
そしてこの“立ち止まっているように見える時期”こそが、次の成長に向けた「内なる準備期間=プラトー」なのです。
人は、新しい技術や知識への挑戦が「今の自分のキャパシティ(潜在能力)」と絶妙に噛み合ったとき、心が燃え、モチベーションが高まり、一気に成長のスパートがかかります。
トレーニングの質も高く保たれ、努力が結果に直結しやすいため、周囲からの評価も上がり、自己肯定感も高まる。
まさに“成長のゴールデンタイム”です。
この時期の過ごし方は非常に重要です。
指導者や親、コーチ、教師といった伴走者たちは、この黄金期を見逃さず、「高すぎず、低すぎない、ちょうどよい課題設定」を共有し、支え、伸ばす役割を担います。
しかし問題はその後に訪れる、“成長の止まり”です。
順調に伸びていたものがある日ピタッと止まり、「自分はもうこれ以上伸びないのではないか…」という疑念が心に忍び込む。
この時、選手自身も指導者も、その停滞をどう捉えるかで、未来が大きく変わります。
今回の記事では、この「プラトー(停滞期)」をネガティブなものではなく、成長に不可欠なプロセスとしてどう活かすかを、育成年代からプロフェッショナルまでの視点で掘り下げていきます。
第1章|急成長のあとに必ずやってくる“スランプ”
■ それは後退ではなく、「内なる再構築」の時間
一気に成長した後には、必ずといっていいほど“スランプ”がやってきます。これは決して特別なことではなく、むしろ自然な現象です。
人間の心身は、急激な変化のあとに「一度立ち止まって整理する時間」を必要とするのです。
たとえば、短期間でフィジカルとスキルが飛躍的に伸び、チームの中でも中心的な存在となった育成年代の選手が、ある日を境に思うようなプレーができなくなり、自信を失っていく…。
プロの現場でも、シーズン序盤に絶好調だった選手が、代表選出後に明らかなスランプに陥るという場面はよく見られます。
このスランプは、一見すると「成長の終わり」「才能の限界」のように感じられますが、実際はその逆。
體と心が、次のステージに備えるための“準備期間”なのです。
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