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微妙ですてきなハンドメイド



年の瀬が近づいてくると、毎年祖母の腕が鳴っている。


80代で一人暮らしの祖母は、編み物が得意でNHKのすてきにハンドメイドを見ては色んなものを作っていく。そんな中、いつしか恒例となったのが“干支のあみぐるみ”である。毎年一種類ずつリビングに鎮座するものが増えていく。

いつも概ね見本通りに作られてはいるものの、祖母とは好みの違いがあるもので、私は「また作ったん~」と笑ってはお茶を濁し、決して持ち帰ることはしない。喜んで持って帰ったら嬉しいのかな?と、胸をヒリヒリさせつつ、やっぱり持って帰らない。そんなことを言い持ち帰りでもしたら、嘘をつくことになって、なんか嫌だなぁ~と思っている。


先日家に行くと、すてきにハンドメイドの雑誌を見つけ、何気なくぱらぱらとめくってみた。すると読者からのおたよりコーナーの欄で、既視感のあるものたちがこっちを見ていた。


パッと前を向くと、祖母の作った歴代のあみぐるみ達もこっちを見ている。


2025 巳


!おんなじ?


いや…でも作る人によって表情が全然違う~!と、まじまじと視線を交互にして見比べた。


全国各地でこれらはたくさん作られていて、それを目にしている人たちがまた大勢いるのかと想像すると、なんだか笑えてきた。
もしかすると中には、自分と同じような「微妙な気持ち」をもつ人もいるかもしれないと思うと、ニヤリとせざるを得なかった。

妙なツボに入り、けらけら笑い転げていると、祖母が「なんがおかしいんね」とピシャリ。続けて「友達は玄関に飾って、帰ってくるたんび『ただいま~!』って話しかけようってよ!!」と声高に言った。


友達というんだから、きっと80歳前後だろう。その友達が家に帰るたびに、祖母のあげたあみぐるみは、そっと出迎えているという。

え?


なにも私のように「微妙な気持ち」をもつ人ばかりではなく、祖母の作ったものが、暮らしの一部となる人もたしかに存在している、らしい。


それは嘘の世界とはベクトルの異なる、純粋に受け取りたい人が受け取った世界の話なような気がした。

2022 寅


「ふーん」と素っ気なく応答したが、何かを感じてほろりときそうだった。


もしかしたら、なんでもかんでも正面から「受け取ろう」としなくてもいいのかもしれない。大体「喜んで持って帰ったりしたら嬉しいのかな?」と考えている時点で、何かがずれているのだと思う。


たしかに私は「そのもの」を受け取ってはいないけれど、祖母から実に多くのものをすでに与えられていて、受け取っているみたいだ。みんなそれぞれの関係性の中、与えて受け取るという循環をぐるぐるさせているのだろう。そう思うと、わざわざ嘘ついてもらわなくても大丈夫な気がして、ヒリヒリしていた胸の痛みがひいていくようだった。



前を見ると、いつものあみぐるみたちがいる。ずいぶん見慣れたものだが、そのとき初めて目が合ったような気がした。そしたら思わずウィンクしたくなるような愛らしさだった。



そして数日後、LINEをひらくと馬がいた。

2026 Coming soon


また新しい年が、はじまろうとしている。



おしまい


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