【散文詩】私が「無」になる瞬間
「無」の瞬間が訪れることがある。
それは、好きな音楽を聞いているときや、絵を眺めているとき、
「無」の瞬間は様々あるけれど、
最も好きなのは、休日の朝にコーヒーを飲んで寛いでいるとき。
心地よい、いつもの席から見える景色は、
ゆっくりと立ちのぼるコーヒーの湯気で、向こうがぼんやりとしている。
静けさのなかにある光と風は柔らかく、すべてのものをそっと包みこむ。
徐々に、酸味と苦味、甘さが混ざり合う香りが部屋中へと広がっていく。
昨日の出来事も、今からの予定も、明日の仕事も、頭の中からすっかり消え、不思議と心の重さもまでも消えさっている。
ただ、感じるのは、カップの温もりだけ。
何も、
考えなくていい、思い出さなくていい、頑張らなくていい時間。
自分が何者でもなくなる瞬間。
すべてが優しい世界に思える。
コーヒーの香りが次第に消えていき、カップを置くカチンという音で、現実がゆっくり戻ってくる。
けれども、なぜだか、ほんの少しだけ心が軽い。
「無」とは、次へと進むための準備段階なのかもしれない。
それは、鳥が飛び立つ瞬間と似ている。
月が、満ちるまでの時間とも似ている。
その一瞬のため、心を整えることは、必要なのだと思う。
たぶん、「無」は「ない」のではなく、満たすところ。
静かにエネルギーを、蓄える場所なのだろう。

最後までお読みくださりありがとうございました🍂
皆様の一歩が、輝く光で照らされていますように
心より お祈りいたします🍀
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