GASとAppSheetの人間が、Claude CodeとCodexで業務自動化して気づいたこと
「Keiさんって、ノーコードとかGAS、AppSheetの記事はめちゃくちゃ書いてますけど……Claude CodeとかCodexみたいなAI、ぶっちゃけ使ってないんですか?」
最近、これ本当によく聞かれます。
たしかに私の記事は、AppSheetやGASの話が多いです。
紙とExcelの業務を、スプレッドシートやGASやAppSheetでどう置き換えるか。中小企業の現場で、できるだけお金をかけずにどうDXするか。
そういう話をずっと書いてきました。
なので、「この人はAIエージェントの波には乗っていないのかな」と思われるのも、よく分かります。
正直に言うと——けっこう、使っています。
ノーコード畑にどっぷりだった私ですが、ここ最近はClaude CodeやCodexを毎日のように触っています。気づけば、いちばんの仕事の相棒になっていました。
今日は、その「GASとAppSheetの人間が、LLMを本気で使ってみたらどうなったか」を、肩の力を抜いて書いてみます。
使ってみて、少し意外な発見がありました。
まず、「AIは使ってないんですか?」に答えると
なぜこう聞かれるのか。
たぶん、私の発信が「ノーコードでDX」に寄っているからだと思います。
でも実際は、わりと早い段階からAIエージェントを実務に入れていました。
Claude Code、Codex、Gemini CLI、最近話題のAntigravity系のツールも、ひと通り触っています。新しいものが出ると、つい試したくなるタチで。
そうやって一周してみて、なんとなく感じたことがあります。
ツール単体の感想——
「こっちが速い」
「あっちが賢い」
「このモデルの方がコードがきれい」
みたいな話は、あまり長持ちしないな、と。
というのも、その評価は来月にはひっくり返るからです。
少し前まで別の名前だったサービスが、今はまったく違うブランドになっている。昨日までできなかったことが、今日のアップデートで普通にできるようになる。昨夜うなりながら覚えた使い方も、次のバージョンではメニューの場所から変わっていたりします。
だから最近は、ツールそのものには、あまり熱くなれなくなりました。
もちろん、Claude Codeが良いとか、Codexが便利とか、そういう話はあります。
私も普通に使っています。
でも、そこだけを追いかけていると、ずっと「最新ツールの勉強中」で終わってしまう感じがありました。
じゃあ、AIに何をさせてみたのか
「で、結局なにを作っているの?」が気になりますよね。
分かりやすいところでいうと、GASを書かせています。
前は自分で調べながら半日かけて書いていたコードを、今はAIに日本語で頼んで作ってもらっています。
たとえば、複数のスプレッドシートに散らばった発注データを、毎週手作業で1つにまとめて、抜け漏れをチェックしていた業務がありました。
担当者ごとにシートが分かれている。
列名が微妙に違う。
同じ発注番号が重複している。
日付の形式も少しずつ違う。
最後は人間が目視で確認している。
こういう、いかにも現場にありそうなやつです。
GASで自動化したいとは思っていました。
ただ、自力で書くと2〜3時間はかかりそうでした。細かいエラー処理まで考えると、半日仕事になるかもしれない。
それを、
「この形式のシートを集めて、重複を除いて、最新の発注だけ残すGASを書いて」
と、AIに言葉で頼んでみました。
返ってきたコードを動かして、数カ所だけ直す。
列名の揺れを少し補正する。
エラー時にログを残すようにする。
完成まで、だいたい20分。
出来上がったものは、自分が半日かけて書いたであろうコードと、ほぼ同じでした。
これはちょっと感動しました。
ほかにも、いろいろ試しています。
問い合わせメールを内容ごとに仕分けして、返信の下書きまで作らせる
会議の録音を要約して、そのままタスクに落とす
バラバラの顧客リストの表記ゆれを揃えて、名寄せする
Googleドライブ内のPDFを集めて、案件ごとに整理する
スプレッドシートの入力内容を見て、不備があるものだけ通知する
AppSheetで使うマスタデータを整える
こうやって見ると、やっていることは特別なAIアプリ開発というより、かなり地味です。
でも、地味な業務ほど効きます。
毎週2時間かかっていた集計が消える。
毎朝見ていたメールの確認が減る。
人によって表記が違う顧客リストが、勝手に揃う。
「あれ、誰か確認した?」という作業が、通知で拾えるようになる。
こういう小さい自動化が積み重なると、かなり仕事が楽になります。
そして、私がいちばん相性がいいと感じている実装環境が、GWSです。
Google Workspace、つまりGmail、スプレッドシート、Googleドライブ、Googleフォーム、GAS、AppSheetあたりです。
業務で使うなら、正直かなり楽です。
そして、堅いです。
すでに会社のアカウントがある。
権限管理がある。
ドライブにファイルがある。
メールもカレンダーもある。
スプレッドシートは現場が触れる。
GASなら追加サーバーなしで動く。
AppSheetならスマホアプリっぽく見せられる。
AIにコードや処理を作らせたあと、それをどこで動かすか。
ここでGWSはかなり便利です。
AIが作って、GWSが受け止める。
この組み合わせは、中小企業の業務改善ではかなり現実的だと思っています。
使ってみて、いちばん意外だったこと
ここが、今日いちばん書きたかったところです。
これだけAIに乗り換えておいて、自分でも意外だったのですが——
頭の中でやっている作業は、ノーコード時代とほとんど変わっていませんでした。
「何を自動化するか」を決める。
「どこに成果を置くか」を選ぶ。
「どうなれば完成か」を言葉にする。
この3つを考える仕事は、まるっと同じでした。
AIが肩代わりしてくれたのは、主に「書く作業」でした。
GASのコードを書く。
正規表現を書く。
API連携の処理を書く。
エラー処理を書く。
ドキュメントを書く。
ここは、かなり助けてくれます。
でも、設計する部分は、ちゃんと人間に残っていました。
どの業務を消すのか。
誰が使うのか。
どのシートに置くのか。
権限はどうするのか。
失敗したときに、どこで止めるのか。
最終確認は人間がするのか、自動で進めるのか。
ここは、AI任せにはしにくい。
だから、なんとなく腑に落ちたことがあります。
ツールって、消耗品なのかもしれない、と。
今月覚えたAIは、来年には別物になっているかもしれない。
覚え直しを繰り返しても、手元には意外と何も残らない。
残るのは、そのツールで作った「動く仕組み」の方でした。
毎朝の集計を消したスプレッドシート。
勝手にメールを仕分けるGAS。
入力漏れを通知するAppSheet。
ドライブのファイルを案件ごとに整理する仕掛け。
これらは、どのAIで作ったかに関係なく、明日も働いてくれます。
同じAIを触っていても、
「どのツールが最強か」を気にしていた頃と、
「何を作るか」だけ考えるようになった今とでは、
手元に残るものがずいぶん変わった気がします。
前:ツールを気にしていた頃今:作るものだけ考える口グセ「どれが最強?」「何を自動化したい?」新作が出ると焦って乗り換える作り方だけ差し替える残るもの知識。ただしすぐ古びる動く仕組み。業務で働き続ける気分ずっと勉強中実際に業務が楽になる実装先まだ決まっていないGWS、GAS、AppSheetに置く
欲しいのは、最新ツールの知識なのか。
それとも、自分の代わりに働く仕組みなのか。
最近はよく、そんなことを考えます。
私がAIを開く前に、ぼんやり決めている3つ
そんなわけで、最近はAIを開く前に、だいたいこの順番で考えるようになりました。
1つ目は、何を消したいか。
つまり、Whatです。
どの業務の、どの手作業を消したいのか。
まず1つに絞ります。
「業務を効率化したい」だと広すぎる。
「毎週月曜にやっている発注データの集計を消したい」くらいまで落とします。
2つ目は、どこで動かすか。
つまり、Whereです。
成果物をどこに置くのか。
スプレッドシートなのか。
GASなのか。
AppSheetなのか。
Googleドライブなのか。
Gmailなのか。
私の場合、業務用途ではGWSを第一候補にすることが多いです。
理由は単純で、現場がすでに使っているからです。
新しいシステムを入れると、ログイン方法、権限、運用ルール、費用、保守、全部考える必要があります。
でもGWSなら、すでに会社の中にあります。
スプレッドシートは現場の人が見られる。
Gmailは毎日使っている。
ドライブには資料がある。
GASは裏側で静かに動く。
AppSheetを使えば、スマホから入力する画面も作れる。
AIで作ったものを、現場に着地させる場所としては、かなりお手軽で、かなり堅いです。
3つ目は、どんな状態になれば完成か。
つまり、Outcomeです。
「毎週2時間の集計がゼロになる」
「問い合わせメールの一次仕分けが自動になる」
「入力漏れが当日中に通知される」
「月末の確認作業が30分短くなる」
このくらい、できれば数字で言える状態にしておきます。
この3つがなんとなく決まっていれば、使うAIはClaude CodeでもCodexでも、正直どれでも大丈夫でした。
設計図さえあれば、大工さんは誰でも家を建てられる。
そんな感覚に近いです。
逆に、ここが空っぽのまま最新AIを開いても、私の場合はあまり何も生まれませんでした。
道具だけ一級品で、作るものが決まっていない状態。
たぶんこれが、「最強AI探し」で時間が溶けていく正体なんだと思います。
「ノーコードはもう古い」について
最後に、最近よく言われることを1つだけ。
「AIの時代だから、ノーコードやGASはもう要らないでしょ」
これ、私はむしろ逆だなと感じています。
AIは作るのが得意です。
コードを書く。
関数を書く。
画面のたたき台を作る。
仕様を整理する。
ドキュメントを書く。
ここは本当に強いです。
でも、作ったものは「どこかで動かし続ける」必要があります。
この受け皿として、GASやスプレッドシート、AppSheet、Googleドライブは今でもかなり優秀です。
無料、または低コストで始められる。
会社のアカウントで権限管理できる。
サーバーを持たなくても動かせる。
現場の人が見慣れている。
中小企業の業務に、そのまま馴染みやすい。
これは大きいです。
AIがコードを書けるようになったから、GASが不要になったのではありません。
むしろ、
AIが書く
GASが動かす
スプレッドシートが受け取る
AppSheetが現場画面になる
Googleドライブが保管場所になる
GmailやChatが通知先になる
という形で、ノーコードやGWSはAIの良い「出力先」になった感じがあります。
よくある誤解は、
「AIが来たから、ノーコードは時代遅れ」
です。
でも、私の実感は少し違います。
「AIが来たから、ノーコードの着地点を知っている人が強くなった」
です。
これまでノーコードでDXをやってきた人は、AI時代にけっこう有利な場所にいると思います。
なぜなら、すでに「どこに成果を着地させるか」を知っているからです。
スプレッドシートで管理するのか。
AppSheetで入力させるのか。
GASで夜間バッチにするのか。
Gmailで通知するのか。
ドライブにPDFを保存するのか。
この感覚がある人は、AIに何を作らせればいいかを考えやすい。
あとは、書く作業をAIに渡すだけです。
ゼロからAI開発を学ぶより、何歩か先にいるはずです。
これから、作ったものを少しずつ見せていきます
長くなりました。
最後に、これからのことだけ。
この連載では、ツールの使い方解説はあまりしないつもりです。
「Claude Codeのボタンはここです」
「Codexではこのコマンドを打ちます」
みたいな話は、すぐ古びます。
代わりに、私が実際にAIに作らせた「成果物」を、1つずつ見せていきます。
何を考えたのか。
どこに置いたのか。
どんなコードにしたのか。
どこでつまずいたのか。
どこから人間が確認するようにしたのか。
できれば、コピペで動くところまで出していきます。
最初に公開する予定なのは、この記事自体をAIで下書きし、整形し、投稿直前まで持っていく仕組みです。
使っているのは、特別な大企業向けシステムではありません。
GAS。
スプレッドシート。
Googleドライブ。
そしてLLMです。
どこまで自動化して、どこから人間が確認するのか。
プロンプトはどう分けるのか。
失敗したときに、どこで止めるのか。
記事のネタ、構成、本文、確認、投稿準備をどうつないでいるのか。
そのあたりを、実際の構成に沿って書いていきます。
ツールの名前は、来年には変わっているかもしれません。
でも、「成果物から考える視点」は、たぶんしばらく古びないはずです。
次回から、具体的な作り方に入っていきます。
よければ、フォローして待っていてください。
なお、この発想の土台は、拙著『中小企業こそゼロ円システム開発 ─ 紙とExcelを卒業して利益を生む現場へ』にまとめています。
AI時代に入っても、現場で大事なのは変わりません。
何を消すか。
どこに置くか。
どう動かし続けるか。
その考え方を先に押さえておきたい方は、そちらもどうぞ。
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チップありがとうございます。
作りたいアプリがあればメッセージください。
微力ながらお力添えさせていただきます。