見えない、見えにくい方々へ。スマホで日常が変わるアプリ10選
📱 スマホは「見る道具」じゃない
スマホは、目で見て使うもの。
そう思っている人が多いと思います。
でも、私は全盲です。
画面は見えません。
それでも、スマホを毎日使っています。
買い物もする。記事も書く。動画も作る。
見えないから使えない、ではありません。
見えないからこそ、使いこなす方法を知っています。
今回は、視覚障害者や各種眼科疾患をお持ちで画面が見づらい人が「これがあれば日常が変わる」と感じるアプリを10個紹介します。
全部、実際に存在するアプリです。
機能の羅列ではなく、「何ができるか」に絞って書きます。
「読む」「歩く」「お金を扱う」「画面操作を強くする」。自分がどれを強化したいかで、選ぶアプリが変わります。
なお、この記事にはiOS専用・Android専用のアプリも含まれています。
自分の端末で使えるかどうかは、各アプリの説明を確認してください。
🔄 iOS・Android両対応のアプリ(6つ)
👁️ Be My Eyes(ビーマイアイズ)
目の前のものを「これは何?」と誰かに聞きたい人に。
無料。
スマホのカメラで映したものを、ボランティアやAIが教えてくれるアプリです。
世界中に約1,000万人のボランティアがいます。
2025年にはApp Store AwardsのCultural Impact(文化的影響)カテゴリを受賞しました。
GPT-4を搭載したAIアシスタントにも聞けるので、人間がいなくても答えが返ってきます。
185以上の言語に対応。日本語も問題ありません。
「これは何?」と聞ける。それだけで、世界が広がります。
ちなみに、支援者は自分の位置から遠い人につながる仕組みになっているそうです。
たしかに、隣の人につながったら個人情報の問題がありますからね。こういう配慮があるからこそ、安心して使えます。
👀 Seeing AI(シーイングAI)
文字、顔、お金。カメラをかざすだけで読み取りたい人に。
無料。Microsoft製。
カメラをかざすだけで、文字を読み上げてくれます。
人の顔を認識して、表情まで教えてくれます。
お金の種類も識別できます。
最近の大型アップデートで、Read・Describe・Moreの3つのタブに整理されました。
シンプルで迷わない。それが大事です。
私の使用感: 今はエンビジョンに移行
リリースされた当初は使っていましたが、今はエンビジョンが相棒です。
📄 Envision AI(エンビジョンAI)
手紙や書類を、自分で読みたい人に。
無料。2022年に全機能が無料化されました。
60言語のOCR(文字認識)に対応しています。
手紙や書類を、音声ガイド付きでスキャンできます。
オランダ発のアプリですが、日本語の認識精度も高いです。
郵便物が届いたとき、誰かに頼まなくても中身がわかる。
その安心感は大きいです。
私の使用感: 作業机で困ったらこれ
以前は有料でした。リリース当初から課金して使っていたので、無料化されたときは驚きました。
自作PCのマザーボード上の小さな文字でも読めたことがあります。認識精度に驚きました。
Windowsのスクリーンリーダーが不調なときの代替手段としても使えて、急場をしのげる安心感があります。
🤖 Sullivan+(サリバンプラス)
シンプルな操作で、物やお金を識別したい人に。
無料。韓国のTUAT Corp.が開発。
AIが物体を認識して教えてくれます。
日本円の紙幣識別にも対応しています。
ボタンは3つだけ。シンプルなUIで迷いません。
17言語対応。
余計な機能がない。だから使いやすい。
私の使用感: 急ぎの確認はこれ
ワンボタンでAIが自動認識し、画像を説明してくれる。迷ったときにとりあえず起動して状況確認できます。
細かい設定を詰めなくても使い始められるので、初動の速さが強みです。
🔊 Uni-Voice Blind(ユニボイス ブラインド)
行政の書類や公共施設の案内を、音声で受け取りたい人に。
無料。日本発。
「Uni-Voice」という音声コードを読み取る専用アプリです。
行政の文書や、公共施設の案内に、この音声コードが使われています。
役所から届いた書類。病院の案内。
紙に印刷された情報が、声で届く。
千葉県の「耳で聴くハザードマップ」など、防災分野でもこの音声コードの活用が広がっています。
日本で生活するなら、入れておいて損はありません。Android版もあります。
💰 Cash Reader(キャッシュリーダー)
お金の識別に特化したい人に。音を出さずに確認できる。
基本無料(全通貨対応は有料)。
100以上の通貨に対応した紙幣識別アプリです。
オフラインでも動きます。
サイレントモードにすれば、振動で金額を教えてくれます。
レジの前で、音を出さずに確認できる。
この配慮が、当事者には嬉しいです。
🍎 iOS専用のアプリ(2つ)
🚶 Eye Navi(アイナビ)
歩行中の道案内や障害物検知がほしい人に。
基本無料。プレミアムは月額1,000円。日本発。
AIが道案内をしてくれます。
障害物を検知して教えてくれます。
信号の色も認識します。
プレミアムプランには歩行保険も付いています。
歩くことへの不安が、少し軽くなる。
外出のハードルを下げてくれるアプリです。
白杖や同行者の代わりではありません。歩行中は、安全が最優先です。
iOSのみ対応。iOS 16以上、iPhone 8以降が必要です。
🗺️ BlindSquare(ブラインドスクエア)
今どこにいるか、周囲に何があるかを音声で知りたい人に。
買い切り約6,000円($39.99)。
GPSとFoursquareのデータを使って、周囲の情報を音声で伝えてくれます。
世界で最も使われている視覚障害者向けGPSアプリです。
「今、自分がどこにいるのか」を、目を使わずに知ることができる。
有料ですが、その価値はあります。
白杖や同行者の代わりではありません。歩行中は、安全が最優先です。
私の使用感: 外出時にまずこれ
自分の位置がわからなくなったとき、目的地までの距離と方向がすぐ把握できる。
Googleマップと組み合わせて、状況に応じて案内方法を切り替えられるのも便利です。
海外でも日本語表示のまま使えました。移動の不安を大きく減らしてくれるアプリです。
iOSのみ対応。iOS 15.6以降が必要です。音声コマンドは有料のクレジット制です。使った分だけ消費されます。
🤖 Android専用のアプリ(2つ)
🔍 Google Lookout(グーグル ルックアウト)
Androidで文字の読み取りや通貨識別を一通りやりたい人に。
無料。Google製。
テキスト読み取り、ドキュメントスキャン、通貨識別、食品ラベル読み取りなど、7つのモードがあります。
Geminiとも連携しています。ただし、Geminiによる画像説明は現在英語のみ対応です。
Googleが作っているという安心感。
Androidユーザーなら、まずこれを入れてください。
🗣️ TalkBack + Gemini
新しいアプリを入れずに、今のスマホで画面読み上げとAIを使いたい人に。
無料。Androidに標準搭載。
TalkBackはAndroidの画面読み上げ機能です。
2024年からGemini 1.5 Flashが統合されて、カメラで映したものについて質問できるようになりました。
Gemini Nanoを使えば、オフラインでも画像の説明が可能です。
ただし、この機能はPixel 9シリーズ対応端末で利用できます。
端末内で動く説明と、オンラインでより詳しく聞ける説明がある。状況に応じて使い分けられます。
特別なアプリをインストールしなくても、手元のスマホで使える。
これが一番のポイントです。
🎯 アプリは「目の代わり」ではない
10個のアプリを紹介しました。
でも、勘違いしないでほしいことがあります。
これらのアプリは、目の代わりではありません。
目が見えるようになるわけではないし、見える人と同じ体験ができるわけでもない。
でも、自分で判断するための情報を、自分で手に入れることができる。
それが、これらのアプリの本当の価値です。
ただし、AIの説明は万能ではありません。誤認識はあります。大事な判断は、複数の手段で確認してください。
誰かに聞かなくても、手紙の内容がわかる。
誰かに頼まなくても、道を歩ける。
誰かを待たなくても、買い物ができる。
「自分でできる」が増えること。
それは、自由が増えるということです。
テクノロジーは、見えない人を「見える人に近づける」ためにあるのではありません。
見えないまま、自分の力で生きていくための道具です。
0から1へ。
1が大きいなら、0.1でいい。
まずは一つ、気になったアプリを入れてみてください。
そこから、あなたのスマホの使い方が変わり始めます。
各アプリのダウンロードリンクは、記事の末尾にまとめています。
2026年3月時点で、紹介した10アプリはいずれも主要ストアで配信中です。
🔗 リンク一覧
Be My Eyes
iOS: https://apps.apple.com/us/app/be-my-eyes/id905177575
Android: https://play.google.com/store/apps/details?id=com.bemyeyes.bemyeyes
公式YouTube: https://youtube.com/c/bemyeyes
Seeing AI
iOS: https://apps.apple.com/us/app/seeing-ai/id999062298
Android: https://play.google.com/store/apps/details?id=com.microsoft.seeingai
紹介動画: https://www.youtube.com/watch?v=bqeQByqf_f8
日本語動画: https://www.youtube.com/watch?v=-mvffQoh6QU
Envision AI
iOS: https://apps.apple.com/us/app/envision-ai/id1268632314
Android: https://play.google.com/store/apps/details?id=com.letsenvision.envisionai
紹介動画: https://www.youtube.com/watch?v=oGWinIKDOdc
Sullivan+
iOS: https://apps.apple.com/us/app/sullivan/id1475001234
Android: https://play.google.com/store/apps/details?id=tuat.kr.sullivan
Uni-Voice Blind
iOS: https://apps.apple.com/jp/app/uni-voice-blind/id1070819206
Android: https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.uv.blind
使い方動画(福岡市制作): https://youtu.be/KOfqjCNI85c
Cash Reader
iOS: https://apps.apple.com/us/app/cash-reader-bill-identifier/id1344802905
Android: https://play.google.com/store/apps/details?id=com.martindoudera.cashreader
Eye Navi
iOS: https://apps.apple.com/jp/app/アイナビ/id6446274102
BlindSquare
iOS: https://apps.apple.com/us/app/blindsquare/id500557255
Google Lookout
Android: https://play.google.com/store/apps/details?id=com.google.android.apps.accessibility.reveal
TalkBack + Gemini
Androidに標準搭載(アプリのインストール不要)
🎬 見えない映像クリエイターが作った動画
画面が真っ暗でもiPhoneは使える。視覚障害者が当たり前にやっている「スクリーンカーテン」の日常を、15秒で体感できるショート動画です。
この記事で紹介した機能も、まさにこの「画面を見ずに操作する」世界の上に成り立っています。
📎 よろしければ、こちらの記事にも目を通していただけると嬉しいです
今回ご紹介したスマホアプリの土台となる「スクリーンリーダー」について、PCとスマホの全11製品をまとめた記事です。
アプリを使いこなすには、まずこの読み上げ機能を知っておくと世界が広がります。
子どもたち、目は悪くならないでほしい→全盲クリエイターが語るスクリーンリーダー全11製品
https://note.com/kind_fish6099/n/n845315400116
記事の中で「AIの説明は万能ではありません」と書きましたが、実際にAIの「目」に振り回された日の話がこちらです。
便利さの裏にある落とし穴を、笑いながら知ってもらえたらと思います。
AIの「目」は、ときどき嘘をつく。白杖が魔法の杖になった日の話
https://note.com/kind_fish6099/n/n1aac2eb05c01
スマホアプリだけでなく、PCのブラウザでも壁はあります。
音声ユーザーとして自分でツールを作って乗り越えた話です。「自分でできる」を増やすという点で、今回の記事とつながっています。
noteの壁、壊しました。音声ユーザーが自作したChrome拡張
https://note.com/kind_fish6099/n/n8ce0d4589978
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