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engrowth
「あれ?亀?」【せりふ三題噺】
はらとけいさんの企画に参加します。
今週のお題は下記の通りです。
■セリフ
「あれ?亀?」
■三題
・観覧車
・靴下
・マシュマロ
大学の友人たちとキャンプに来ていた。
飯盒で炊いたばかりの白米とカレーは、最高に美味しかった。 食後に焚き火を囲みながら、友人がデザートに持ってきたマシュマロを串に刺して焼いていた。
「川で遊んでたらさ、岩が動き出してびっくりしたんだ」
「それ、まぼろし~」
「まぼろしじゃなくて、よく見たらデカい亀だったんだ」
「どれくらい?」
「これくらい」
「…相当デカいな」
「そんでさ、妙な歩き方をしてたんだ」
「なんでまた?」
「頭に靴下を被ってたんだよ」
「足じゃなくて?」
「誰かが落とした靴下に、うっかり頭を突っ込んじまったんだろうな」
「それで」
「靴下を取って、川に返したよ」
「へえ、命の恩人じゃん」
焚き火の爆ぜる音を聞きながら話していると、暗がりの向こうから、隣接する遊園地の制服を着た初老の男が近づいてきた。
「今日は助けてくださって、ありがとうございます」
「なんのはなしですか?」
「ほら、靴下を取ってくださいましたでしょう?」
「あれ? 亀?」
「そうです。あなたを竜宮城へご招待します」
「竜宮城?」
男が指差した先では、閉園したはずの遊園地の観覧車が点灯し、ゆっくりと回転を始めていた。 すると、友人がふらりと立ち上がった。
「俺、ちょっと行ってくるわ」
「おい、マジで言ってんのか? やめとけよ」
「だって、なんか面白そうじゃん」
「浦島太郎が最後どうなったか、知ってるだろ」
友人は制止の声に耳を貸すことなく、初老の男に付いて遊園地の方へと歩き出した。 遠ざかっていく男の足元を見ると、右足だけ、靴下を履いていなかった…
(おわり)
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